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廃れた世界のプレイヤー  作者: 春夏 冬
13章 地底の陰謀
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イースサイド29

外へと出て、昼食を食べながら僕はこれからの役割分担について話す。


「このままだと時間がかかり過ぎるし、役割分担をしよう」


そう言って僕は情報屋から渡された紙を見る。


その情報は実に七箇所。


ミネラルが持っているものと、すでに持っているものをあわせて三つ。


後は四つだ。


そしてここにいるのは僕、ムシュ、フォス、ナイト、ミルの合計5人


ある程度配分は決まっている。


「ムシュとフォスはアップデートによって追加されたと言われている世界樹の森の奥深くの建造物へ」


「ミルは墓地関連のイベントが発生したらしいから、その場所で探っていてくれ」


「ナイトはクライムの中にある裏取引の場に潜入し、そこでその鍵を確保してくれ」


ムシュとフォスは外部の人だし、よく知らないから一緒に行動させ、荒事が得意なナイトにはクライムの裏取引の場に潜入してもらう。


ミルに関しては怖いものが苦手だが、しょうがない。


そう考え、この配分にしたのだが、一人、その決定に口を挟んで来た。


「ねー、僕も混ぜてよ」


奴はそう言ってサンドウィッチを両手で掴んでほうばっている。


「なあ、何故ついて来るんだ、ストロマ」


そう聞いてもまだ呑気にサンドウィッチを食べる。


実はあそこで出会ってから何故かストロマがついて来たのだ。


「僕も手伝おうと思ってね。それに……」


そう言いながら、彼は自分のポケットの中に手を入れ、布に包まれた何かを取り出した。


そしてその何かを俺に手渡した。


「これは…」


その布包みを剥がすと、そこからは一つの鍵が出て来た。


「さっき言っていた裏取引されていた鍵」


「ゆみが手に入れて僕に渡してくれたんだ!」


自慢気に言う彼の言葉を聞いてため息を吐き、そして僕は予定を変更した。


「予定変更だ。ストロマが入るのなら、ナイトはミルと一緒にあの墓地へと行ってくれ」


「僕はストロマと一緒に鍵を手に入れて来る」


「……結局スイはどこに行くんだ?」


ナイトが確認を取るように聞く。


「鍵のありかの一つはレインさんの商会」


「僕達は、レインさんと交渉して来るよ」


そうして僕達はバラバラに動き出した。

………………

…………


僕とストロマはそこから数時間ほどかけて移動して、レインさんの商会へと到着した。


「……でかいな」


そう建物の大きさにストロマは圧倒されている。


とはいえ申し訳ないけど今日行くのはこっちではない。


僕はこの建物をスルーして、その隣の小さな古民家へと行く。


「え?こっちなの?」


そう呆気に取られているストロマを置き去りにしてその古民家の中へと入った。


中には電灯もほとんどなく、薄暗い。


僕はポケットに手を突っ込んでとあるものを出す。


「それは?」


まじまじと見るストロマに僕は説明する。


「これはだんだんと規模が大きくなっていく商会に僕とかケイが気軽に出入りする為に生産職大会の優勝景品としてレインさんが用意した装置」


まあ、使う機会はなかなかないんだけどね。


そう心の中で補足しつつ、僕はそれを握りしめる。


「僕に捕まってね」


そう言うと、僕は前へと進む。


すると突然、目の前の景色が変わった。


先程までどこか薄気味悪さを感じる小さな家から、上級貴族が住んでそうな家へと。


まあ、正確に言えばここ家では無いんだけど。


「え?ここどこ?魔回路は?あれ?」


そう混乱するストロマを見て楽しんでいると、少ししてレインさんが入って来る。


以前のような活気は見えず、しかしどこか吹っ切れたような表情をしている。


「久しぶりね、何か用?」


「それとその子は………」


「ああ…まあ商談だから、別の部屋へを用意してくれ」


そう言うと、ドアを開けて彼女は召使いを呼んで、僕達は部屋へと案内された。


「………さて、それで商談って?」


()をくれ……って言えば分かるかな」


その言葉を出すと、


「……どこで知ったの?」


無表情でそう聞く彼女を見て、少し安心した。


「元気そうで良かったよ」


「…で、どこで知ったのか…ねぇ」


そう含みを持たせた言い方をすると、「はぁ」とため息を吐いて、何かを理解した様子が伺える。


まあ、知らない情報を知っているとなると奴しかいないからね。


そう話していると、つまんなそうにストロマが座っているのが見える。


「それじゃあ本題に移ろうか」


いつまでも待たせる訳にはいけないので、話を進める。


「貴方達の目的は鍵。じゃあ、そのために貴方は何を出すことが出来る?」


そう問われて、僕は自分の手札を確認しようとした。


その時、


「そんなまどろっこしい事しなくても良いでしょ?」


ストロマはそう呟くと、彼は魔術をおもむろに構築して、彼女に向ける。


それを見ても一切同様を示さずに、彼女は周りを確認する。


「…仕事が早いわね」


落ち着いた様子で彼女は呟く。


それと同時に、僕もストロマの所業に気付く。


「僕達が話している間に警備員を無力化したのか」


「ああ…これが、一番手っ取り早い方法でしょ」


自信満々にそう言う姿を見て、改めて確認する。


あの治安の悪かった都市を治めたのが彼であるということを。


僕はあの場所に直接居た訳では無いが、それが実感出来る。


……とはいえ、詰めの甘さが垣間見えるけど。


「それで、答えは?」


魔術を見せつけながら、周囲を警戒する。


しかし、そんな事は無駄な話だ。


突然ストロマは糸の切れた人形のように倒れて動かなくなった。


「まだ、居るんだ」


「ええ、確かに症状は治ったけど、こればっかりは…ね」


僕が感じるのは、本来なら見えない筈の存在。


魔力感知能力によって感じられる、妄想の中の存在。


「こういう事はちゃんと根回しを行ってからしないとって事、ちゃんと教えておいてね」


「うん、そうするつもりだよ」


倒れたストロマを放っておいて…僕は平然と商談の続きをする。


僕は一応腐ってもあの一族の末裔。


こういう交渉は経験済みだ。


そして、彼女は、そんな僕が警戒すべき人物。


決して油断してはいけない。


「あなたは何を用意出来る?」


そう聞く彼女を見ながら、僕は考える。


お金、土地、新たな物資……。


彼女が何が欲しいか、それをひたすらに考える。


……いや、簡単に考えれば分かる事か。


しかし、その求めるものは、彼女を見て理解した。


このゲームを始めて約70年、そろそろだよな。


鍵、謎の新たなエリア…そして、今までの年月を考えると、自然と答えが分かった気がした。


「ーーーーーーで、どうかな」


そう言葉を出すと、今まで無表情だった彼女が笑ったような気がした。


「交渉成立、じゃあ鍵は後で渡しに行くわ」


「分かった、ありがとうね」


「いえ、私も良い話を聞かせて貰ったから大丈夫よ」


そう言うと、彼女は部屋を後にする。


僕はストロマを担ぎ、部屋を出た。


チャットを開き、連絡をする


「………さて、他の所を手伝いに行こうか」


そう呟いて、彼はその商会を後にした。




一方その頃、ナイトとミルは……


「……ねぇ、ナイト」


「言いたい事は分かる」


不気味な雰囲気が漂う墓地の中、俺達は走っていた。


大量のゾンビ達に追いかけられて。


「こんな魔物前まで居なかったわよねぇ!?」


「本当、こいつら何なんだよ!?」


そう悪態を吐くが、実際理解出来ない事が起こっているんだ。


情報屋の情報を元に、俺達は墓地へと向かった。


正直墓地なんて場所が存在していた事に驚きだったが、それ以上になぜそんな場所に鍵があるのかという疑問が隠せない。


プレイヤーはまず死なないのだから、恐らくNPCの墓なのだろうが、だとしたら何故プレイヤーはその墓から鍵を取らないのだろうか。


ゲームっていう事で好き放題しているプレイヤーがいるのだから、そういう輩が居てもおかしくない。


そう疑問を抱えながら、同時に納得する。


墓地という場所ならば俺達以上の適任は居ないだろう。


俺達の能力は死人の残留思念を利用して使う。


俺達の能力は互いに用途は違うが、結局その残留思念が無ければ能力を発動する事は出来ないのだ。


だから俺達と相性が良い。


……そう思っていたのだ。


しかし、着いてみればその疑問も納得も全て消し飛んだ。


周りを見ればゾンビ、ゾンビ、ゾンビ。


もうどうしようも無い程の量のゾンビが大量に蔓延っていた。


そして、その量のゾンビを見れば分かる通り、死人の残留思念なんて一切残っていなかった。


もう、どうしようもない。


という訳で現在に至るという訳だ。


うーん……本当にどうしようか。

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