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廃れた世界のプレイヤー  作者: 春夏 冬
2章 修練の森
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ケイサイド3

あの後俺は正気に戻り、皆に謝る事になった。


流石に違うチームの人がどこにいるかは分からなかったため、今俺が国造りの中心にしている村にいる人のみだが。


しかし、怒られると思っていた俺だが予想とは裏腹に


「いや、あの場面で堂々と意見を言えたのは凄いよ。俺だって飛び出しそうになったし」


「あの時あの場で君が言わなかったらずっともやもやが残っていたと思うわ。ありがとう」


等と感謝する言葉が多かった。


だがライは、


「ケイ!何故あの場で飛び出した!今回はお前と同じ意見の人が多かっただけで下手したら内部分裂が起こっていたぞ!」


と言ってかなり怒られた。


俺もライの言う通り周りに許可を取らずに行った事は反省をしている。


だが、それよりも協力を断った魔物プレイヤーに疑念を抱いていた。


ここは協力する場面じゃないのか?出たくないのか?等々。


その様子が表に出ていたのだろうか。その答えをライが言ってくれた。


「魔物プレイヤーが何故魔物を選んだかを考えて見ろ。好奇心でなった奴もいるだろうが大抵は悪役になってみたかったんだと思うぞ」


「悪役?好き好んで人を傷つけたいって言うのか!」


その言葉に俺は怒りを覚えた。


「まあ、そういう人も居るって事だ。そういう事も考えないと王なんて勤まらないぞ」


だが、ライの言っている事は正しく、そのような考えを持っている事を考えないといけない事は事実だった。


しかし、俺はログアウト不可という状況でそんな事をしようとするという事を俺は理解出来なかった。


後、俺は別にリーダーって事になっただけで王じゃないよ!


そしてこの事はこの場で終結した。

………………………

………………

……


その後暫くしてある問題に当たった。


住居が足りないのだ。


今この村には10万人程のプレイヤーにプラスして村人もいる。


天災から逃れた村は最初の方は沢山の人達が逃げ込んで来たため、住居を造りまくった。


だがそこまでここは安全ではなく、襲って来た魔物を倒す為に犠牲になった人や、狩りに出かけて帰らぬ人となった人が続々と現れて住居の空きが沢山増えた。


その後俺達が現れて空き家が埋まっていったのだが、どれだけの人が犠牲になったのだろうか。


それでも空き家が全て埋まる事はなかった。


だが、この前の話し合いで国造りをしている事を知った人達が続々と入り込み、遂に空き家が無くなってしまった。


その為、俺は掲示板でこんな事を呼び掛けた。


______________________________________________________


ケイ 1時間後、村の中央の広場に集まってくれな

   いか。

______________________________________________________


すると1時間後、かなりの人数のプレイヤーが集まった。


「今、この村には10万人程のプレイヤーがいるが、住居が9万程しかない!」


「すなわち1万人も住居を得る事が出来ない状況にある!」


今その人達は住居がある人達と一緒に2人で暮らして貰ってる。


だが、家が小さい為かなり不便だ。


だからこそ早急に解決しないと。


「人間は助け合ってこそだ!住居を建てる為に協力してほしい!」


「NPCを住居から追い出せば良いんじゃないか?」


NPC、ノンプレイヤーキャラクター、村人達の事だ。


そう、俺達人間プレイヤーの中には村人を人とも思ってない人がいる。


俺は逆に何が人じゃないのかと思うのだが、ライの言う通りそういう考え方の人がいると考える事にした。


だがそれ以前に、


「お世話になった人達を追い出すなんて言語道断だ!」


「それに元々ここはあの人達の村だ!どちらかと言えばこちらが部外者だ」


「報酬は特に無いが、強いて言えば国造りの協力になる事だな」


そう、報酬が無いのだ。


というかそんなもの来たばかりの俺は用意出来る訳が無い。


「それらをふまえて協力してくれる人はいるか?」


その言葉でここにいる半分程居なくなった。


「俺達はお世話になった村人に迷惑なんてかけたくないからな、協力するぜ!」


「そうよ、恩を仇で返すなんて事出来る訳ないわ」


こうして俺達の国造りへの第一歩、住居造りが始まった。


『国造りクエストのサブクエスト【住居造り】が始まりました』


そして初めて聞くサブクエストも同時に始まった。


「うわ、なんだ?サブクエスト?」


「何それ?」……………………………


初めて聞くサブクエストに周りの人達は困惑した。


俺も驚いたが、考えても仕方ないのでとりあえず木を蓋手に別れて切りに行った。


その時こんな質問があった。


「1万人分の住居を作る為に木を切ったら森が禿げちゃうけど大丈夫なんですか?」


と、勿論その事については1時間の間にもう村人に質問していた。


「ああ、実はこの森は1日経つとどんなに木を切っても復活するんだ」


そう、復活するのだ。


こう答えられた時はマジで驚いた。


サポートAIは現実に似せるとか言っていたのに森が復活するというあり得ない事が起きると言っているのだ。


ただ、ここに長く住んでいる村人がそう言うのだからそうなのだろう。


あまり考えない事にした。


「ええ、それは…………」


質問した人も、それを聞いた人も絶句している。


因みに他の時間何をしていたかと言うと木を切るための斧を集めていたのだ。


っていうか殆どの時間はそれをしていた。


勿論貨幣なんてないからこの村では物々交換が主流だ。


だが、俺にはそんな物はないからどうしようかと相談したところ、「斧で切って余分になった木をくれればそれで良い」と言ってくれた。


流石にそれでは貰いすぎだと言ったのだが「代価が用意出来るのか?」と強引に押し切られてしまった。


それでも7万個程しか用意出来ず、幾人かの好意を無駄にしてしまうと心配をしていたんだけど。


8万人位しか集まってくれず、結局やるのは約4万人になったんだよな。


あれ?よくよく考えたら8万人もいたなら奥まで声届いて無いんじゃないか?


まあ、なんとかなるだろう。


そして俺達は木を切り始めた。


どんどん木を切るだけだと持ち帰るのが大変なので、持ち帰る人と木を切る人に別れて真っ直ぐ切っていった。


始めは斧の扱いに慣れず、皆木を切るのに時間がかかっていた様だが、数時間続けた今ではかなり良いペースで木を切っている。


ずっと同じ事をしていると飽きてしまうと思い、数時間ごとに休憩を挟んで運ぶ係と木を切る係に別れる事にした。


テッテレ~

『ケイは斧術スキルを手に入れた!』

『ケイの斧術スキルのレベルが2になった!』


それとこれから使う事が無さそうな斧スキルを手に入れたりしてちょっと笑ってしまった。


そして事は2回目の交代で起きた。


ドスン…………ドスン


「何だ?」


「地震か?」「いやこのゲーム地震あんのかよ」…………


そいつが現れた。


「猪だー!デカイ猪が現れたぞー!」


「どうしよう?」「逃げるわよ!」……………


木を切っていた人達は斧を放り出し、慌てて逃げようとした。


この猪…………確実に俺達の事を認識してるよな。


となるとここで逃げて追いかけて来たとしたら確実に村を襲う。


それはダメだ!


「皆!俺達で力を合わせてこいつを倒すぞ!」


「は?」「何言ってんだ死ぬぞ?」……………


「今俺達が逃げたら村を見つけて襲う可能性がある!」


「知るか!俺は逃げるぞ!」「私もよ!」……………


そう言って2/3位の人が逃げた。


「俺達は戦うぜ!」「村を襲うなんてさせない!」


人数としては大体3000人位いる。


だが、流石に数の暴力でとはいかない。


なら、やはり罠にかけるか。


となるともう少し人が欲しい。


よし、


「そこの君」


「は、はい」


「村に戻って協力してくれる人を呼んで来てくれ!」


「え、でも」


一人だけ逃げるのが嫌なのだろうか。


その気持ちは分かるが今は作戦を優先して欲しい。


「早く!」


「はい!」


その少年は走って村の方に行った。


やはり援軍を待つのが良いよな。


だが、それまでの間はどうする?


流石に3000人位いるのに皆で突撃したら味方が邪魔になってしまう。


よし、


「1000人位はあの猪の気を引くぞ!」


「残りの人達は穴を掘ってくれ!」


「はい!」「分かったわ!」「了解だ!」…………


さて、予定には無かったボス討伐作戦開始だ!


それにしてもこのゲームボスとか居るんだ。


普通に居ないと思ってたわ。


さて、まずは俺が持っている斧を投げつけて、常備していた剣を手に持つ!


「ブモーーーー!」


木を切るのに邪魔な魔物を倒す為に剣は持っていたけど流石に防具は持ってないからな。


当たったら終わりだ!


「さあ、俺にヘイトが向いている間に攻撃だ!」


あんまりダメージは無いだろうけどそれで少しは精神を揺さぶれるかな?


蹴り 回避 突進 回避 振動 体勢を立て直す。………………


テッテレ~

『ケイは予測スキルを手に入れた!』

『ケイの避けスキルのレベルが2になった!』


蹴り 回避しながら切り付け 突進 回避 振動 体勢を立て直す。


予測スキルを手に入れ、回避スキルが上がった事によって避けるのに余裕が生まれ、多少の反撃が出来るようになった。


テッテレ~

『ケイの予測スキルのレベルが2になった!』

『ケイの剣術スキルのレベルが3になった!』


1時間後…………



「おーい、呼んで来たよー!」


漸く応援が来た。


ここから村までかなり離れてるしそれにしては早いけど流石に1時間動きっぱはヤバイ。


さっきから肺が痛くてもう倒れそうだ。


え?何で交代しなかったって?


何故かこいつ俺よりも攻撃してる人がいても見向きもしなかったからな。


最初に襲った人を追いかける習性でもあるのだろうか。


さて、落とし穴もある程度の深さまで掘ったみたいだしそこまで誘導するのが俺の役目だ!


「はぁ、はぁ、来い…………猪!」


その言葉が分かったのか否か猪は突進して来た。


俺にはもう避ける気力は無かった。


身体はもう動かないし、意識も朧気だ。


ただ、今回は役に立てた。


その事実が何よりも今は嬉しかった。


猪が俺にぶつかる直前。


何かが俺を持ち上げた。


「もう大丈夫だぞ、坊主」


その声を聞き、俺は意識を失った。


テッテレ~

『ケイは気絶耐性を手に入れた!』



ライサイド


俺の名前はライ。


ちょっと訳あってこのVRMMOをやっているプレイヤーの一人だ。


さっきまで俺はケイとは反対側のデカイ大樹の方に木を切っていたんだ。


まとめ役として俺がまとめる事になったが、俺が気に入らない奴もいてさぼる人も少しいた。


まあ、ケイはこの国の王だけど俺はただのケイのパーティーメンバーだからな。


とは言ってもケイはこの国の王のつもりは無いんだろうが。


話を戻すと、俺達が木を切った後、休憩している時に事が起こった。


少年が、


「助けて下さい!大きな猪に、襲われています!」


と言って来た。


どこにもそんな姿が見えないので詳しく聞いてみると、なんとケイ達が襲われていると言うではないか。


すぐに助けに行きたいが、援軍としてここにいる休憩中のあいつらの中で助けに行けるかどうかを聞き、更にあの人にも協力をしてもらおうとしたら時間がかかってしまった。


結局行けたのはあの中の半分ぐらいと、村人達が100人程、そしてあの人と、あの人と一緒にいた人で行く事になった。


そして漸く現場に着くと、なんとケイが死ぬ直前だった。


助けに行こうとしたがその前に、


「婆さん、行ってくるぞ」


そう言ってあの人と一緒にいた人が飛び出した。


「いってらっしゃい」


その人は目に見えない程早く猪の目の前に行き、


「もう大丈夫だぞ、坊主」


そう言って一瞬でケイを助けた。


そして肝心の猪が落とし穴?に足を入れてバランスを崩し、倒れた。


「今だ!」「行くぞ!」………………


そして猛攻撃を始めた。


「ほほ、じゃあ私も参加するかのう」


そう言って巨大な氷の槍をぶっ刺した。


分かった人は分かったかもしれないが、この人は唯一の精霊使いであるヒシリーさんだ。


そしてこの人の近くにいた人は今日帰って来たというライルさんだ。


この人は剣士で武者修行として世界を旅していたらしい。


たまたまこの近くにいたため生き残り、もう行く所が無いから帰って来たそうだ。


そして倒れた猪はプレイヤー、村人達に袋叩きにされ、1時間後、絶命した。

基本的にライやシズクは狩りをする時の仲間なのでずっと一緒って訳ではありません。

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