闇人
短いです。すいません!
周りには先程居た筈の彼らが見当たらない。
というか俺一人だった。
そして前にはうじゃうじゃと……闇人だっけ?
が居る。
こいつらを倒して前に進んで行けば良い訳でしょ。
……いや、前戦った時とか全然倒せなかった思い出があるんだけど。
とりあえず狼形態へと変わり、俺は爪でそいつを切った。
…………あれ?バラバラになったままだ。
ん?前戦った時ってこんなに瞬殺出来た?
俺が強くなったのか?え?
いや、ここ数十年間特にそういった修練……まあ日々の特訓とかはしてるんだけど、特別何かした覚えなんてないよな。
ん?闇人さん、弱くなりました?
そう疑問に思いながら、ひとまずここら一帯に居る奴らを妖術で一掃する。
見えざる死ってね。
というかこういう戦い自体も久しぶりな気がして来た。
そうして俺は周りに居る闇人と呼ばれる彼らを倒し続け、気がつくと……別れ道にまで来た。
いくつも道が枝分かれしている。
いや、正確に言うと俺が来た方向にいくつも枝分かれしてて、行ってる方向に道は一つしかないんだけど。
………この枝分かれしてる道って俺達プレイヤーが来る道じゃないか?
そう俺は予想する。
だって行く方向が同じじゃなければ、何の為にこの先に行かせるんだって話じゃん。
いくつも道があったらまずこんな風な送り方はしない。
確実にどこかへ行けば良いかを計測する筈だ。
勿論なんらかの装置を使って見られてる可能性もあるが、その予想を裏付けるある情報があった。
隣の道から、微かに気配がする。
人間の……プレイヤーのね。
ってな訳で俺はその道へと逆走して行った。
すると、大勢の闇人の集団の中に一人の男性が佇む様子が見える。
身体はぼろぼろで、意識も朦朧としているようだ。
というかなんなら……ここで死のうとしている気すら感じる。
……ひとまず助けてみるか。
そう思い、俺は周りに居る闇人を殺し、そして質問した。
「この場所で、何があったんだ?」
するとその男性は震えて、こう言った。
「俺の……友達を、よくも殺したな!!」
……え?
その言葉に、俺は呆気を取られた。
友達……殺した……ん?
「つまり、この闇人と友達だったって事?」
「違う!」
そう俺が予想した答えすら、彼は否定する。
んん?どういう事?
訳が分からなかった。
「……もしかして、知らないの?」
そう先程とは変わって落ち着いた様子で彼は聞く。
いや、知らないって聞かれても。
「何を?」
「このエリアで複数回死んだら……俺達は闇人になるって」
彼は、そう断言した。
………え?いや、どういう事?
前に俺が外へ出た時、あの時俺は一つの予想を思い浮かべていた。
真っ黒な異形、闇人は人間っていうか生物からなってるんじゃないかってね。
まあほぼほぼ確信してたんだけど。
でも、それはこの世界の住民だけだと思っていた。
通常、プレイヤーは死なない。
例外はあっても、基本的にはそうなのだ。
だが、それがこの外で死ぬと闇人になる。
俺は一回、ケイを巻き込んで死んでる。
……いやー、知らない方が良い事実ってあるんだなぁ。
そう思いつつ、俺は楽しんでた。
闇人……か。
「……ありがとね、助けてくれて」
突然彼はそう礼を述べた。
「でも、俺はもう、無理なんだ」
彼はそう、力無く言った。
「後は頼んだよ」
そう言い、ポケットナイフを取り出し、首に当てる。
ザクッ
彼は自身の首を掻っ切った。
それと同時に彼はどんどん変色していく。
気付いた頃には、先程山のように殺して来た闇人へと変化した。
……面倒事を押し付けないで欲しいな。
目の前で闇人になったら、殺すしか無いじゃん。
俺は妖術で、一瞬にして彼を木っ端微塵にする。
……異様に今まで戦った闇人が弱かったのは、こういう理由か。
なるほど、だから説明したリーダー達はこの装置に入らなかったのか。
………はぁ、とんでもない所だな。
初期のクライムよりも酷い気すらする。
ケイは、この事実に耐えられるのか?
分からない。
ただ、俺は進むしかない。
この先にどういったものがあるのかを、確かめるしかない。
死なないと多分あの地底人の場所には戻れないだろうしね。




