ケイサイド32
はい、なんか次章は次になるっぽいです
死というものがある事は、話し合いにより、隠蔽され、同時にカールさんの死も闇に葬り去る事となった。
死人なんかが居なかったり、最終的にイベントとして終わった為、レイヤさんはそのイベントの協力者として動いたとされ、お咎めは無かった。
カールさんの家にあった書物には、様々な薬…というよりかは、この世界の力を使った、名付けるならばポーションと言えるものの製造法が沢山あった。
恐らくあの花を作る過程で出来たものなのだろう。
そのポーションは今ではカールさんの弟子として学んでいた彼らが製造し、あらゆる所で売り捌かれている。
レインさんの知識もあり、かなりの技術発展をした。
そんな状況の中、俺は一つ、気になる事があってとある所へ来ている。
イースも一緒に、だ。
ここはあのカールさんが潜伏していた場所。
あのキノコハウスだ。
その地下の地下。
イースから聞いたあの場所だ。
俺は初めてここを見たんだが、やっぱり何かしらありそうだ。
あの黒天と白夜の二人の変わりよう。
それには何かある筈だ。
そう思い、俺はこの場所に再び戻った。
研究所にあった資料は既に調べ尽くした。
他にあるとしたら、この場所位だ。
そう思って来てみたんだが…やっぱりだ。
「あったな、この世界について書かれた資料」
「うん、前来た時は気付かなかったよ」
早速その資料を読んでみようと思い、俺はその資料を見始めた。
この世界の外に居る者達が、何者かは分からない。
だが、その正体を知り得るイベントはやはりあった。
【真実への鍵】
というクエストだ。
そのクエストはいくつもあり、そのクエストで手に入るものを全て使えば、恐らく分かるのだろう。
そしてそのクエストの最終地は、この世界の中心である、平原。
魔物が局所的に少なく、何もないあの地には何かあると思っていたのだが、そこには数百人ものプレイヤーが居た。
今までソロプレイヤーとして行方知らずだった彼らは、この地に集まっていたのだ。
その場所で分かった情報を頼りに、私は闇化と名付けた薬を作った。
この闇化は頻繁に繰り返すと、現実での死に影響するらしい。
私が守秘義務に触れずに言えるのはこの位だ。
それでは、頑張ってくれよ。
イース、ケイ
最後の部分から、カールさんはここまで予想していた事が分かった。
「……どこまで想定してたんだ?」
「さあね」
そう問答を交わしながら、俺は決める。
「その地へ行こう」
そう言うと、イースはあっさりこう返した。
「うん、行ってらっしゃい」
「え?」
そして次の瞬間、こう言葉を出された。
「今回、僕は行かない」
「ええー!!」
「そろそろいい加減あの国に帰りたいしね」
……あー、そういえばスパイだったな。
そう思い返すと同時に、俺は納得した。
「それじゃあ、俺は一人で行くか」
そう呟くと、
「俺も行く」
後ろからボソリとそう呟かれた。
「……!!」
驚いて後ろを見ると、そこにはレイヤが立っている。
「…それじゃあ、二人で行くか」
そう意気込みながら、俺は国へ戻る。
まあ、許可なしで行ける筈がないしね。
後にライさんらも加わり、更に人数が増える事を、彼はまだ知らない……。




