表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
廃れた世界のプレイヤー  作者: 春夏 冬
2章 修練の森
14/177

イースサイド2

僕達は国造りに必要な事を考え、生きるのに必要な衣食住を整える事にした。


と言っても、衣は僕達魔物だからあまり必要がない。


だから食と住を優先的に整える事にした。


食は周りの魔物を狩れば良いが、さすがに生で食べるのは抵抗があり、不味いらしい。


まあ、僕には味覚が無いから関係無いけど。


なので、皆からも食をなんとかしようと言われたが、人型に近くないと料理はしずらく、調味料や香辛料もないので、さらにハードルが上がった。


皆で悩んでいたその時!


『何やら悩んどる様じゃな』


いきなりどこかから声が聞こえて来た。


魔物プレイヤーで言葉を話せる者は殆どいない為、僕達は基本的に言葉を発する事は無い。


すなわちこの声は仲間の声じゃ無いという事だ。


皆も敵かもしれないと警戒している。


『そう警戒するでない。わしは』


その瞬間僕達は気を失った。

……………………

……………

……


う、ううん…………………何をしてたっけ。


えーっと……………そうだ!


なんか謎の声に話かけられたんだよね。


丁度自分を名乗る時に気を失って…………ってあれ?


身体に違和感が…………………あ!僕人間の姿に戻ってる!


え?何で?


うーん、多分だけどあの謎の声の正体がやった訳じゃなさそう。


勿論記憶を読み取ったりして元の身体にしたとは考えられるけど、それよりも普通にあそこにいた人数よりもここにいる人の方が多いんだよね。


もし僕達が謎の声の正体に呼ばれたとしたら僕達だけが呼ばれるはずだし。


すなわち僕達が呼んだのは誰?って事になるんだけど………………。


そう考えている間に次々目を覚まして自分達の異変に気づいていった!


「おい、ここはどこだーー!」


煩いなぁ。


怒鳴る気持ちは分かるけど考えてるんだから静かにしてよ。


でも確かに気になるな。


ここはどこだ?


真っ白な空間で他に色はない。


うーん、ナイトと話したいけど人間の姿なんて知らないよ。


って言うか元の姿を知っている人の方が少ないでしょ。


抽選だったし。


「皆さん静粛に!」


なんだ?


いきなり頭上に黒髪の男性が現れ、そう言った。


「皆さんが驚く気持ちは分かりますが、今から説明させて頂きます」


そう聞いて皆が黙った。


「では、まず自己紹介をさせて頂きましょう」


「私がこのゲームにあなた方を閉じ込めた、このゲームの総責任者です」


「ふざけんな!」「此処から出せ!」

「警察に訴えるぞ!」……………………


煩いなー。


それにしても運営か。


確かにログアウト出来ないのは残念だけどこの世界普通に面白いからな。


感謝感謝。


まあ、それでも出たいって気持ちは変わらないけどね。


「このままだと話が進まないので、失礼します」


その瞬間…………あれだけ煩かった声がピタリと止んだ。


「今、皆様のアバターの声帯をなくしました。これで話に集中出来ます」


声帯あるんだ。


「今回私達が貴方方を呼んだのは、このゲームのバージョンアップと、貴方方プレイヤーの人間側と、魔物側でこれからどうするかを話合って貰います」


「丁度始まりの森を抜けたプレイヤーが現れたため、今のタイミングで呼ばせて貰いました。」


始まりの森は多分今いる森でしょ?


もう抜けたんだ。早いなー。


「さて、質問はありますか?」


質問…………手を上げれば良いのかな?


「では、手を上げている貴方」


「あー、あー。よし、喋れる」


「どうやったらログアウト出来るんですか?」


ログアウトが何かは詳しく知らないけど、恐らくここから出るって事でしょ。


ログアウト出来なくても別に良いんだけど一応聞いておかないとね。


「今の所貴方方をログアウトさせる気はありません」


あー、やっぱりログアウト不可だったか。


「ですが、この先定期的にイベントを出すつもりなのでそのご褒美として、でしたらあるかもしれません」


イベントか、楽しみだなぁ。


やるからには勝つぞー!


「他に質問はありますか?」


「では、手を上げている貴方」


あ、真似された。


「はい、クエストとはなんですか?」


え、クエストとかあるの?


「はい、クエストとは重要な事を神からの依頼としてプレイヤー方にクリアして貰います」


「クリア出来た場合は?」


「クリア出来た場合、プレイヤー方だけではなし得ない褒美が貰えます」


「クリア出来なくても何の支障もありません」


「クリア出来た場合の褒美の例としては、国造りが成功したら特定の場所でプレイヤー方がリスポーンする等です」


うわー、それって恐らく本当の事でしょ?


今僕達も国造りしてるし、クエストなんかも後々発生するのかな?


「他に質問ありますか?」


「では、手を上げている貴方」


「このゲームのバージョンアップとは具体的に何をするんですか?」


あ、確かに気になるね。


「はい、このゲームに体力と睡眠のシステムがありませんでした」


「なので、休憩無しで動いたり、開始から3日程経っているのに睡眠をしていない者が少数ですがいます」


ん?僕寝てないな。


皆寝たりしてたんだ。


休憩も一切してなかったしなぁ。


これからは休憩とらないといけないのか。


「このままだとゲームバランスがおかしくなるため、修正させて頂きます」


「他に質問はありますか?…………ありませんね」


「では、これから魔物プレイヤーと人間プレイヤーで分けます。30分程あるので、これからの方針を決めて貰います」


どうやって分け……………うわ、瞬間移動した!


瞬間移動出来るんだったら気を失わせる必要ないじゃん!


「これから貴方方魔物プレイヤー達には、方針を決めて貰います。上にあるタイマーを見てください」


「このタイマーがゼロになったら話し合いは終了です」


なるほどね。


僕は一応魔物プレイヤー達を一時的だけどまとめてたし、話し合いの進行役になるか。


「では、話し合いスタートです」


「皆さん聞いてください!」


まずは注目を集める。


「今僕達魔物プレイヤーは、人間プレイヤー達と同じように国造りをしています!」


そして今している事を話す。


「そして、人間プレイヤー達とは対立関係でいたいと思います」


更に方針を話す。


「なので、それに異議がある方はいますか?」


そして異議異論を聞く。


うん、バッチリだ!


「あのー、良いですか?」


うわっ質問だ!平静に平静に。


「どうぞ」


「人間プレイヤー達と協力は出来ないんですか?」


あー、それか。


「恐らく魔物プレイヤー達は悪役的な立ち位置でプレーをしようと魔物側になったと考えられるため、同じように考える人は少ないと思います」


かく言う僕もそうだしね。


「そうですか……………分かりました」


可哀想だけど諦めて貰おう。


「良いですか?」


「はい、どうぞ」


「ログアウト不可についてはどうしますか?」


ログアウト不可…………今の所僕はあまりこの世界で何かをしたりとかしてないから、帰りたいって気持ちが強いんだよなぁ。


かと言ってこの世界で暮らしてたら帰りたくないってなるかもしれないから。


「そうですね、今の所こちらで何かが出来る訳ではないのでログアウトの目処が立ったらその時に話し合えば良いと思います」


一旦この場では逃げよう。


「分かりました。ありがとうございます」


「あのー、国造りをしているってどこでやっているんですか?」


え?なんで聞くの?


「それは、メニューにある掲示板で知らせましたよ?」


「そもそもメニューってなんですか?」


「え、メニュー知らないの?」


「はい、知りません」


「俺も知らねー」 「僕も」 「私も」……………


ええー、結構大きな違和感あったから皆気付いてると思ったんだけどなぁ。


「そんなに知らない人がいたなんて…………ではメニューの説明をします」


「メニューには、フレンド登録、フレンドリスト、痛覚設定、現在時刻、掲示板閲覧の5つの機能があり、掲示板閲覧で魔物専用スレがあるので、そこから僕達は情報を共有してました」


「へー」「知らなかった」「そんな機能が」………


結構知らない人多いな。


「もう質問は無さそうなので、最後にこの魔物プレイヤー側のリーダーを決めたいと思います」


どんなものにもリーダーは必要だよね。


「やはりリーダーがいた方が良いかと思いますので…………」


「お前で良いじゃん!」「そうだ!そうだ!」


「こっちは何度も魔物に殺されて心折れちまったんだよ!」


うわ、なんか押し付けられちゃったな。


「え、良いんですか?僕にはそんなに自信がありませんけど…………」


遠慮したいんだけど。


「こんだけの人の前で喋れれば十分だ!」


「そうだ!そうだ!」…………………


「皆さんありがとうございます。では、僕が魔物プレイヤー側のリーダーを努めさせてもらいます」


あーあ、決まっちゃった。


「そういえばリーダーの名前は何ていうんですか?」


なるべく元気っぽく。


「はい!僕の名前はイースです」


「分かった宜しくな!イースリーダー!」


「宜しくな」「宜しくお願いします」……………………


あー、リーダーなんて嫌だな。


それにしてもこんなにスムーズに会議が進むとは思わなかったよ。


だって同じ魔物プレイヤーを殺した奴がいたんだもん。


うーん、「改心してくれた」とか「プレイヤーとは思わず殺しちゃった」って言う勘違いと願いたいけど現時点では分からないよなー。


もし、故意にやったならこの中に犯人が紛れ込んでいるんだけど…………分かるはずないし。


そうこう考えていると会議が終了した。

………………………

………………

……


「さて、30分経ったので、貴方方を元の広場に戻します」


また瞬間移動か。


「貴方方も十分話し合いが出来たみたいですのでそれぞれの魔物プレイヤー、人間プレイヤーの代表、前に出て来て下さい」


はいはい、分かりましたよーだ。


「では、始めに魔物側、どうぞ」


「僕達は、人間達と対立関係でいようと考えています」


その瞬間、人間プレイヤー達は息を飲んだ。


他に言う事は…………ないな。


「こちら側の言う事は以上です」


うん、敵対する人に言う事はない。


「では次に、人間側、どうぞ」


「俺達は、魔物側と協力しようと話し合いで決まったんだけど、まさか魔物側が敵対しようと考えていたなんて…………………」


え!?


「俺達が戦う理由はない!だから、一緒に協力しようじないか」


何を言ってるんだ?


「すまないが、こちら側の総意が対立関係なんだ!」


「どうして?どうしてそこまでして争うんだ!」


逆に何で協力出来ると考えたんだろうね。


僕達は人間と敵対したくてこのゲームを始めたのに。


「以上を持ちまして話し合いを終了させて頂きます」


相手の事情も考えずに相手に自分の意見を一方的に押し付けるこいつ……………嫌いだ。


「ちょっと待って!話は終わって…………」


あー、意識が………………。



この時僕は人間と敵対する道を選んだ。

だが、僕達は戦の恐ろしさ。


争いの怖さ。


そして死とは何かを僕は知らなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ