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廃れた世界のプレイヤー  作者: 春夏 冬
11章 生産大会
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ケイサイド29

メデューサ……メデューサ?


いや、ちょっと世界観についていけないんだけど。


ゴンタって言ったら普通犬とかじゃん。


えー、ゴンタ……まあ探さないといけないのは分かるんだけど石化されちゃうよ。


とりあえず、


「どこに行ったとか分かりますか?」


ある程度の場所は知っておかないと。


「そうだなぁ、多分どっかの畑で何か喰ってんじゃねぇか?」


「前もそうだったし」


……なるほど、畑のどこかに居るのか。


それにしても前科あるなら紐でも付けておいた方が良いんじゃないか?


「それじゃあ、よろしく頼むわぁ」


そう言って農家の人は離れて行った。


………さてと、問題はゴンタをどう捕まえるか、だな。


そして俺は考える。


……ん?


そして一つの事実に気付いた。


「メデューサって確か…目を見なければ石化しなかったよな」


そう考えれば、一つの方法も同時に思い浮かぶ。


「気配探知…いや聖魂力探知もか…で探って捕まえれば良いんじゃないか?」


そう思い付いたのが吉、早速やってみた。


気配探知!と聖魂力探知!


…まあ実際常にやってるんだけど、意識するって意味でね。


すると意外と……多かった。


うん、なんか至る所にそれらしい気配がある。


これ、色んな人に頼むクエストだから沢山居るんだな。


とりあえず目を瞑り、その中の一体を捕まえた。


そしてゴンタの目であろうという場所を塞ぎ、目を開けた。


……ゴンタ、意外と可愛いかった。


そして目を塞ぎながらゴンタをその農家に渡した。


「はい、もう逃がさないで下さいね」


「お、兄ちゃん、ありがとうな」


…良かったみたいだな。


「それじゃあこれ、報酬と…」


そう言ってニンジンの入った箱を渡す素振りを見せながら農家の人は…俺の首に刃物を突き立てた。


「あの事、バラしたら兄さんもバラすかんな」


そう脅された。


『ケイはシークレットクエスト、【運営の裏事情】をクリアした!』


そうアナウンスが入ったと思うと、手元に塩、胡椒が置かれていた。


「これで、よろしくな」


そう言って農家の人は離れて行った。


………いや、何がよろしくだよ。


まあ気付いたのは偶々だったけど塩胡椒を手に入れる手間が省けて良かったな。


「おーい、ケイー」


そう後ろから大声で呼ばれ、振り向くと、シズクが居た。


「そっちは終わった?」


「終わったよ」


そう言いながら、俺は考える。


……どうやってこの塩胡椒渡そう。


多分ちょっとの情報の漏洩もダメなんだろうなぁ。


そう思いながら、とりあえず切り出した。


「後ついでに塩と胡椒、手に入れたよ」


さあ、どうなる。


「ええ!?塩胡椒を!?凄っ!」


「……すごい?」


「だってあの時間で別の場所まで行ってクエストこなして来たって事でしょ?」


……あー、そんな感じに解釈してくれたのか。


まあ俺もほんとの事言えないから都合が良いんだけど。


さて……問題はレインさんとカールさんだな。

……………………

…………


暫くシズクと会話をしていると、他の人達がぞろぞろとやって来た。


「お疲れ様!」


「お疲れ様ー」


さて……どう誤魔化すか。


「それじゃあ皆が手に入れた野菜を持って、一旦工房に帰りましょう」


工房?ああ、もう作っちゃうって事か。


あれ?でも…


「材料って足りてるんですか?」


「ええ、ちょっと()()()だったけど、無事足りてるわ」


予想外……もしかしてレインさんも?


あー、まあ確かにレインさんだったら気付くかもな。


「それじゃあ行きましょう」


そう言われるがまま、俺達は工房へと戻った。

…………………

…………


レインさんはものの数分でそれを作り上げた。


「これは…お好み焼き?」


「ええ、そうよ。ちょっと違う部分もあるけど」


……食べたい…でも…


「なんでこんなに小さいお好み焼きを作ったんですか?」


目の前にあるお好み焼きは、一口サイズとも言える大きさだった。


「まだ材料も余ってるのに…」


「まあ、それは後で分かるわ」


「それじゃあ、これを保存箱に入れてっと」


保存箱…ああ、保存箱か。


この生産大会で生産するものは色々ある。


武器、家具…そして料理。


料理の場合、基本的に出来立ての状態を食べるのが一番だ。


それに役立つのがこの保存箱。


出来立ての状態で審査をする為に運営が用意した箱だ。


それにしても…本当にこれで申請する気なのか?


かなり疑わしい。


「それじゃあ次は家具、作りに行きましょうか」


まあでもわざわざここで考える必要も無いか。


そう思い、俺はレインさんの後をついて行くのであった。

………………

………


家具を作るのに一番大切なのは何か。


それは木材だ!


基本的に家具は木材から出来ている。


まあ現代ではプラスチックのものとかも普通にあるが、木だ。


という事で俺達は未開の森林へと来た。


この森林エリアは他と変わっており、ここでは基本的に魔物も出なければ、特にこれといって変わった術が掛けられている訳でもない。


そして奥へ奥へ行く程この木々は良質なものとなって行く。


だが……自然の恐ろしさを甘く見てはいけない。


森林の中は殆ど変わらない景色、方向感覚を失うのは一瞬だ。


甘く見た者達は後悔し、自殺して戻るしか後が無くなるのだ。


「……まあ、シズクのお陰でそんな事にもならずに済んだんだけど」


シズクの絶対記憶能力のお陰で、同じ所をループしたりなんて一切無かった。


そして今、俺達はその森の最奥に居る。


…うん、大分あっさりと来ちゃったよ。


「さて、それじゃあ木材もある程度確保したし、戻りますか」


ええ!?来てから1時間も経ってないのに!?


「恐らく…」


そう小声で呟くレインさんを見ながら、俺達は戻って行った。

………………

………


戻って来て早々にレインさんは保存箱を開け、


「…やっぱりね」


そう声を漏らした。


何事かと思い、俺達も中を除くと…そこには何も無かった。


「え?ちゃんとここに入れてあった筈…」


そう混乱するシズクを見て、ライさんは言う。


「…盗まれたな」


盗まれた?


「まあ予想通りね」


予想通り!?


「どういう事ですか?」


「…この大会は生産大会とは名ばかりの何でもありの大会なのよ」


何でもあり…


「だから当然、完成したものを盗み処分、またはそれを使って出場も十分あり得るわ」


ああ、だから…


「だからレインさんは本当にそんな事が出来るのか試したんですね」


「ええ、あまり材料を無駄にしない範囲でね」


……でも、これは大分大変じゃないか。


「必ず作り上げたら、見張りを用意しないとならない」


「ええ」


…ヤバそうだ。


そう思いながら、夜は更けていった。

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