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廃れた世界のプレイヤー  作者: 春夏 冬
11章 生産大会
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入れ違い

「ゲロー!」


そう叫びながらそのカエルは何かを吐き出して来た。


まあ十中八九毒だろう。


でも、俺は毒に耐性があるから問題無し!


そう思い、その毒を身に受けながら突っ走った。


テッテレ〜

『レンは酸耐性を手に入れた!』


……いや、これ酸なのかよ!


服が一部溶けちゃってるし、なんなら若干皮膚が爛れてる。


これ避けないといけない奴だったのか。


「ゲロ!」


そして再びカエルは酸を吐き出す。


だが!


今度は避ける、避ける。


そして……義手を爪とし、そのカエルを切った。


「ゲロ……」


すると段々とカエルの姿が薄くなり、そして砂糖へと姿を変えた。


……ダンジョンと違って演出凝ってるなぁ。


俺はその姿を見て、そう思った。


だってダンジョンも同じようなシステムなのに何の演出も無しに魔物の死体が消えてドロップアイテムが転がってるんだよ?


ここでそうなるなら多少なりともダンジョンの方も凝って欲しかった。


そう思いながら、俺はさっさとこの沼地を抜けようと思い、彼女の居る方向を見た。


………居ない。


彼女が居た場所には何も……いや、なんか酸が当たった痕跡が見えるけど……多分これは気のせい。


うん、気のせい、気のせい……


……これって俺が避けた酸に当たったっていう事だよな。


そんでリスポーンしたって考えて良いのか?


……やっちゃったー!


いつもなら妖力感知でそういうのも分かるけど、気配探知だけじゃ分からないよ!


急いで戻らないと!


そう思い、俺はダッシュで初期地点へと走って行った。

…………………

…………


彼女は予想通り初期地点の教会の中で……働かされてた。


まあ現実?仮想世界の現実?……うん、では金払わされるからね。


前までは魔物を取ってくるだったけど、今ではお金だからなぁ。


まあ魔物を換金すればお金になるからどっちでも良いけど。


うーん、それに似せて肉体労働なのかな?


「ねぇ、なんで守ってくれなかったの?」


「私確実に弱ってたじゃん!」


っと、現実から目を背けちゃだめだな。


「……気付かなかった」


「気付かなかった!?……はぁ、まあ良いでしょう」


お、許された。


「けど、次やったら承知しないわよ」


そう不満を露わにする彼女の後ろから、一人の男性が近付いて来た。


「サボりは感心しませんよ」


「あ……」


「彼女、30分追加で」


「いやー!」


そう叫びながら、ひたすら雑巾掛けをさせられるのであった。

…………………

…………


「はあ、もう足がパンパンよ」


「お疲れ様」


「元はといえばあんたのせいなのに」


……まあ不注意だったからね。


「で?砂糖は?」


「はい」


そう言いながら、俺は砂糖の入った袋を渡した。


「……少な過ぎる」


「え?」


「これ、大体20グラムしかないじゃない?」


…そうなの?見るだけじゃ分からないけど。


「……周回」


「え?」


「周回して来て頂戴」


えー!?


周回するの?


砂糖手に入れる為だけに?


えー……面倒臭いなぁ。


「私はちょっと着色料を手に入れて来るから」


着色料。


……やっぱりこれ綿飴じゃない?


作ろうとしてるの。


はあ、でも仕方ない。


行ってくるか。


そして俺はあの沼地へと入って行った。

…………………

…………


「あ、こんにちはー」


「こんにちはー」


「あなたもですか?砂糖の為に周回するの」


「あ、もしかしてあなたも?」


「はい。いやー、ただでさえ面倒なのにそれを周回なんてね」


「本当ですよ」


「とはいえお互い、敵同士、砂糖はこちらが先に手に入れますよ」


「いえいえ、こっちが先です」


カエルを倒しに行ったら、同じ境遇の人に会った。


まあしっかりと先に倒し切りました。


砂糖も大量確保出来たしね。


それにしても大変だったなぁ。


酸耐性上げたいからくらいに行ったら変な目で見られたし。


そして漸く戻って来たんだが……集合場所がどこか知らない!


っていうか決めるの忘れてた。


うーん、彼女はどこに居るんだ?


……()()()


よし、物は試しだ。


行ってみよう。


そして俺は走り出した。



一方その頃。


「はぁ、はぁ、はぁ」


彼女は絶体絶命のピンチを迎えていた。


現実世界で使われている着色料は、人工着色料。


意図的に作られたものだ。


ならばこの世界で着色料を使うにはどうするか。


簡単だ。


食料を着色料とすれば良い。


木の実をすり潰したりするだけで、使いやすい色とまではいかないが、着色料としての役目は果たせる。


そんなものを手に入れられる場所といったら一つしか無い。


幻惑の果実園。


勿論この場所はその名の通り魔物が出る訳でも無く、ただ催眠効果のある香が焚かれた果実園である。


その催眠はそれほど強力でもなく、辛い思いをしようが、なんだかんだ目的の物を手に入れられる。


そういう場所だ。


だが、それはあくまでそれ単体の話。


これが()()()()()()()と合わさり、酷く危険な場所となった。


彼は幻術を普段から使う為、この催眠にも掛からず、そして元からある幻術に更に上乗せしたのだ。


「ゥォアアア」


「ひっ!」


幻聴。


「痛っ!」


幻痛。


「あれ?ここは…」


記憶の混濁に、幻覚。


ありとあらゆる幻が入り混じるここはまさに混沌と化していた。


「ひひっ、ひひひ」


そう薄気味悪く笑う彼こそが、この事件、この惨状の主導者。


この生産大会、生産と名を打ってはいるが、妨害、窃盗、なんでもありなのだ。


だからこそ、こういったやからも現れる。


彼女はその渦中の真っ只中に居た。


勿論その催眠等の効果は受けていたが、それでも尚、彼女は果実を取っていた。


それはある意味催眠による凶行であったが、彼女はそれだけではない。


優勝への意識、渇望により、動いていた。


しかし、ここで彼が迫り来る。


「ひひ、ひひひ、こ、これで俺達のペアの勝ち、ひひひ」


そして彼女は……殺された。


彼女の居た場所には取っていた果実が落ちている。


「やった、やったぞ、これでこの果実園は占領…」


そううわ言のように呟く彼の後ろから……レンは来た。


グサっ


「え?」


そう困惑する彼を尻目に、レンは……


……勘が外れたー!


そうショックを受けていた。


実際は殺され、教会へと戻されていたのだが、彼がそれを知る事はない。


ん?これは……


そして目に映るのは彼女が取った果実。


とりあえず持って帰るか。


そう思い、彼は初期地点へと戻って行った。


再び文句を言われるのを知らずに……

今日で毎日投稿終わり!


(宿題が)終わらん!

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