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廃れた世界のプレイヤー  作者: 春夏 冬
10章 入れ替わり
131/177

海へ

はぁはぁ、はぁ。


巻いたぞー!


そう俺は心の中で叫んだ。


あの山籠りの後にも何度か頼み事をされ、ついに後ろから声を掛けられるという無限ループから抜け出せた。


もう本当に疲れた。


フォス、マジであの国で何してたんだ?


よっぽどの事しないとあんな事にはならないでしょ。


あー、疲れた……さて、海に行こう!


俺に休んでる暇なんて無い。


…まあ本音はちょっと休みたいけど。


でもあの宝珠を調べる為には行かないとだ。


でー、問題なのは……海がどこにあるか。


前に行った時は大分前だからなぁ、覚えてない。


まあでも多分前行った道を辿れば多分行ける。


よし!行くか!


そう考え、俺は人間の国へと向かった。

………………

………


そしてその国に着き、周りを見渡し、一つ分かった事がある。


…完全に出遅れた!


いや、勿論それは分かってたんだよ。


でもさ、流石にここまでとは思わないじゃん。


目の前には看板がある。


海への道、行く人はこの荷車にお乗り下さい。


これっ走って行った方が早いだろうけど走って行って良いのか?


そして脳の中に二つの選択肢を思い浮かべた。


まず1.乗らずに走って行く。


荷車に乗るのが強制だった場合、見つかったら終わり。


2.荷車に乗って行く。


この場合走って行くよりかは遅いだろうが、比較的安全だ。


そしてそれと同時に俺の頭の中に、あの無限ループの光景が思い浮かぶ。


……よし、2だな。


もう待つのは嫌だ。


そして俺は荷車に乗り、海へ行く事にした。

………………

…………


その後順調に荷車に乗れ、海への道を進んで行った……が、


「ガオォォォォ」


「グアガァァァァァ」


目の前に二匹の魔物が現れた。


……これって明らかにプレイヤーだよな。


ここら辺で出る魔物じゃないし。


いや、まあ俺が居ない間にアップデートが入った可能性もあるけど


うーん、でもどうしよう。


倒せない事はないと思うんだけど今の状況だと時間が掛かりそうだからなぁ。


「きゃーー!!どうしましょう!」


「まさかこんな所で魔物と会うなんて!」


とはいえここに乗っているの格好的に生産職の人ばっかりな気がするんだよなぁ。


「どうしやしょう…」


運転手も戦えそうも無いしなぁ。


そう戦うかどうかを悩んでいると、


「ここは俺が」


そう颯爽と青年が目の前に現れた。


フードを被って顔を隠してる……あ、多分これ情報屋だな。


これは任せて良いだろう。


情報屋の事は一応あの国に長居してたから知ってる。


っていうか一戦交えたからね。


情報屋なら脅して情報奪っても問題無いだろって思って戦って……あれ?今の状況ヤバくない?


もし俺の正体に気付いたら俺一貫の終わりじゃない?


そうこう考えている間に情報屋は魔物を倒した。


「それじゃあ引き続きよろしくお願いします」


「あ、はい、わかりやした」


そして無事、海に着き、そして……


「お前、レイヤだろ」


やっぱりかー!


「気付いた?」


「ああ、忘れる筈がねぇ」


「俺の店にいきなり侵入して来て、そしていきなり脅し、情報を取ったと思ったら居なくなった」


「マジであれは怒ったからな」


あー、やっぱり怒ってたか。


……まあでもバレたなら仕方ない。


こうなりゃ力失った事を隠して利用するしかないな。


「ちょっと極秘情報があるんだが……聞く?」


「…!!……ああ、頼む」


よし、食いついた。


「この海の下に、このゲームクリアに近付く為の鍵がある」


「…………」


「…………」


さあ、乗るか?


因みにこれはあくまで俺の予想だから外れてたら終わる。


「はぁ、分かった。一緒に来いって言うんだろ」


「ああ」


「俺も情報屋だからな、乗ってやる」


よし!


「まあその前にする事があるんだがな」


「こっちに来い」


ん?なんだ?


そう疑問に思っていると…


数分後……


「何これ…」


「見て分からないのか?」


いや、分かるけど……なんで水着?


「やっぱり海といえば水着だよなぁ」


「さて、それじゃあ今度はバレーでもやるか」


「いやさっさと行くぞ」


なんでこんなに………!!


「お、気付いたか」


「なんで情報屋の俺が、こんなに遅い時間に海の情報収集をしようとしてるのかっていう違和感に」


あ、そっちか。


てっきり俺は一人で海の底まで行けない事を気付かれたのかと思ったわ。


だから色んな所に行って時間稼ぎしてるのかって思っちゃったよ。


まあここは、


「ああ」


乗っておこう。


「俺はイースから頼まれてな」


頼まれた?


「なるべく()()()()()に近付かせないようにってね」


っ!!


……うわー、これ最悪だー、絶対に見つかりたく無い奴に見つかったと思ったら更にこれかー。


ん?これバレたら本当におしまいじゃないか?


「ってな訳でお前を拘束します」


拘束?……あ、糸が…


よく見ると俺には沢山の糸が絡まり付いている。


「ついでにこの前のお返しをたっぷりとしたい所だけど…死んだら嫌だからやめておこう」


……ヤバい、マジのピンチだ。


力が使えればこんな糸一瞬で取れるんだけどなぁ。


「それじゃ、俺はゆっくりと海を楽しむから」


そして情報屋は俺の前から消えた。


……今度会った時覚えてろよ。


で、どうしよっか。


義手を使えば自殺は出来る……けどここまで来るのにも時間掛かったからなぁ。


やり直しは普通にしたくない。


だとすると……これしかないか。


そして俺は義手をハサミのような形状へと変えた。


…これで終わり自分についてる糸を取りたいが、あいつ俺の身体に置き土産としてグルグルに巻いて来たからな。


細かい操作に慣れてないから多分自分の身体ごと切っちゃう。


だから、周りの糸を切る!


チョキっ


そして芋虫になり、海へ入水!


息は進化したし多分持つだろ。


そう楽観的に考えながら俺は深海へと沈んで行った。

………………

………

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