ケイサイド25
……えー、長らくの休み、大変申し訳ございませんでした!
いやー、勿論正月のイベントで休んだ日もあったんですが……普通にゲームしてました。
すいませんでした!
気が付くと俺は、知らない場所に飛ばされていた。
周りには…イース、クライムの王様、サキ…ってレイヤがいるじゃん!
レイヤ…今まで何をしてたんだ?
いや、そういえば俺は……
そう考えていると、中央に一人の男性が現れた。
「こんにちわ、大罪の皆様」
「あなた達にはこれから大罪の試練を受けて貰います」
大罪?それに試練?
「この世に蔓延る七大罪」
「傲慢、強欲、嫉妬、色欲、怠惰、憤怒、暴食」
「それが君達七人です」
………あれ?八人いるけど?
俺はどの……!
ああ、そうか。
思い出した。
俺は憤怒だ。
理不尽に殺し合わされたあの状況を見て、怒りで……あの後、どうなったんだ?
意識が朦朧としてたから思い出せない。
怒り……
あの時、俺の脳裏にはあのストーリーが思い浮かんでいた。
英雄の物語。
あれが何か、この世界の鍵でも握っているのか?
でも…正直俺の怒りなんて、あの少年の怒りと比べたら本当にちっぽけなもの。
それなのに同じ憤怒の大罪を手に入れたのはおかしくないか?
……何も分からない。
「君達にはこの世界の行く末を託します」
この世界の行く末?
「その為には非常に強力な七大罪のスキルを司る君達には、更に強くなって貰わなければなりません」
「その為、今から君達は個々の試練に立ち向かって貰います」
個々の試練……
「私は作成者の自我を読み取った人工知能であり、この役目を終えたら自然消滅します」
「それでは……この先の道に災が在らん事を」
そう彼が言い終わると、俺はどこかへと飛ばされた。
そこではひたすらに…俺は人間達が死に行く光景が見た。
否、それを自分で体験したのだ。
ありとあらゆる怒りを知り、そしてそれを自分自身の力へと当てられるようになった。
聖魂力とは魂の力。
自分自身の意思を力として発揮する力なのだ。
それに一番の近道は怒り。
憤怒。
欲望によってそれは成る。
早く、ここから出ないと。
皆の所へ戻らないと。
そう思い、剣を持ってその場所を切った。
「神断」
そう呟いて…
…………………
…………
…
気が付くと俺は、自分の部屋に居た。
窓から見える景色はなんという事もない、ただの街並み。
いつも通りの景色がそこにはあった。
「…よかった……」
皆餓鬼となり、この国は、深陽国は朽ち果てたものかと思った。
でも……無事だった。
その事に俺は安堵した。
「ケイ!」
しかしほっとしたのも束の間。
勢いよくライ達が入って来た。
俺はライ達に言った。
「……聞かせてくれないかな、ライ達の現実世界での素性を」
と。
あの時の事は朧気で、殆ど何も覚えてない。
でも、何かライが、ライ達が何か隠している事はわかった。
「……分かった。会議室で待つ」
「ああ…」
この世界の過去、現実世界での素性、それがこの先とても重要となっていく。
「この世界の行く末…か」
色々と考えなきゃいけないな。
そう再認識し、俺は部屋を後にした。
…………………
…………
…
「それじゃあ始めようか」
「ああ、そうだな」
そう神妙な顔つきでライは頷く。
「それじゃあ俺からいこう」
「俺の名前は朝霧雷蔵。朝霧家という一族に生まれた、凶悪犯専門の警察のようなものだ」
凶悪犯専門の……警察?
「このゲームには彼女、西条咲と西条由美の二人を捕まえに来た」
そうライが言うと、咲はそれに口を挟む。
「私達姉妹現実世界で殺しとか色々やっちゃったからねー」
「まあ私はもうそんな事しないけど」
「ね、ライ!」
「あ、ああ」
……なんか仲良くなってる。
「そしてそんな雷蔵様をサポートする為に私が執事としてやって来ました」
それに続き、混合獣の彼が口を挟んだ。
この魔物は、確か俺を退けた……
「それじゃあ次は僕かな」
そしてイースはニヤリと笑って一言。
「僕の名前は北条翠、北条家の一人息子で、魔物の国の王様だよ」
「なっ!!」
北条家……黒い噂の絶えない有名財閥。
でも娘しか居なかった筈じゃ……
そして魔物の国の王様!?
イースが?
その一言で俺は激しく混乱した。
「まあ他の人は魔物の国の王様って分かってたみたいだけどね」
ええ!?そうなの?
「あからさま過ぎたしな」
「私は分からなかったけど」
シズク……
「あーあ、バラしちゃった」
「……まあでも、僕が魔物の国の王様でももう関係ないよね」
!…そういう事か。
「アイドルとして、能力として、イースは既にこの国に深く関わっている」
「そんな人材を追い出したとありゃ非難殺到だな」
……やられた。
「それじゃあ今後ともよろしくね」
「ああ、よろしく」
……こういう人を食えない奴って言うのか。
「それと僕は急用が出来たから、出て行くよ」
「え?」
「それじゃ」
そしてイースは早速と会議室を去って行った。
「最後は私ね」
そう暗い表情で彼女は言った。
どうしたんだ?
そう疑問に思ったが、次の瞬間、その理由が分かった。
「ごめんなさい、素性は明かせないわ」
そう彼女は言った。
………素性が明かせない。
それはつまり怪しまれる覚悟をして、素性を明かそうとしなかったという事だ。
でも、
「大丈夫、本当に嫌な意味で素性を明かしたくないのなら嘘を付く筈」
「そうせずに素性を明かさなかったんだ」
「俺はシズクを信じるよ」
そう、現実世界での素性は誰にも分からない。
だから嘘か真かなんて分からないんだ。
でも俺は信じる。
彼らを仲間と信じてる。
「……これから俺達はどうする?」
そう俺は切り出した。
「確実にこのままだと何かが起こる」
「それに対応する為に、俺達は何をする?」
すると次の瞬間、
『アップデートを開始します』
そうどこかから運営の声が聞こえ、俺達の意識は途切れた。
『ふふ、良い感じ、このまま行けば……』
『王子、これだと若干早過ぎませんか?』
『大丈夫大丈夫……あー、楽しみだなぁ』
『彼と話すのが、ですか?』
『それもそうだけど、彼らと彼が戦う方がね』
『あー、早く真実に辿り着かないかなぁ』
『是非是非楽しませてくれよ、プレイヤー諸君』
疲れ耐性を疲労耐性へ変更




