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廃れた世界のプレイヤー  作者: 春夏 冬
2章 修練の森
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ヤバい森

『妖力の活用法…………それは有るものの操作にある』


有るものの操作?


『そうじゃ。空気だろうが何だろうが実在するものを操る事が性質としてしやすいのじゃ』


ありゃりゃ、また心読まれた。


『一々気にするでない。話を戻すぞ』


はーい。


『実在する物を操ると言う事はかなりの技術が必要で、他の力等よりも修練がないと使えないのじゃ』


へー。


『だから、暫くのお主らには技術を磨いて貰うぞ』


『『分かりました』』


『うむ、良い返事じゃ』


『じゃあまずはフォス、お主には妖力操作と妖力感知を習得し、妾が良いと言うまで修練をして貰うぞ!』


『えーっとどうすれば良いんですか?』


『ふむ、目を閉じて自分の中に有る妖力を意識するのじゃ』


『分かりました』


『うむ、そしてお主には妖術を習得して貰おう』


え、もう俺習得できるの?


『うむ、お主の妖力感知と妖力操作スキルがなかなか高いからの、もう習得出来ると思うぞ』


あ、また……………気にしない気にしない。


『じゃあまず何をすれば良いんですか?』


『何、と言っても妖術には決まった技は無いのじゃ』


そうなの?


『うむ、妖術は実在する物を変えるからの、実在する物に変える過程が難しければ、妖術が使いずらいと言うだけだからの』


うーん、それでも簡単な物とかあるでしょ?


『ふむ、じゃあ此処に今水を作った。これを変化させるのじゃ!』


うわ、水が浮いてる。


何をしたんだ?


いや、今はいいか。


えーっと、まず水はH2Oっていう化合物で成り立っているから妖力を使って剥がして……………出来た!


テッテレ~

『レンは妖術スキルを手に入れた!』


『ふむ、上出来じゃ』


うん、元素を意識すれば使いやすそうだね。


本当は原子核とか陽子とかあるけど、流石にそこまで考えてやるのは俺には無理だ。


『それにしてもかごうぶつって何じゃ?』


また心読まれてる………………って言うか元素知らずにこの術使ってたのか。


『もしかしてこの粒々の事かの?』


あれ?元素見えてるの?……………それって超有利じゃん。


『ふふーん、妾は凄いのじゃ』


だから心読むなって……………でも元素や化合物を知らずにどうやって術使ったんだ?


『それは最初の頃はこのげんそ?を操って一回一回試してやったのじゃけど、暫くしたらさらに小さな粒が見えての、それを操る事にしたのじゃ』


へー、現実世界では元素が最小単位だったのにさらに下があるんだ。


多分原子核とかじゃないだろうし。


まあ、原子核操った所で意味無いからね。


『そしてそれを操る事であらゆる物を作り、操れるのじゃ』


へー、まあまだ俺には関係のない事だわな。


『まあ、そうじゃな』


とりあえず今は妖術を鍛えて戦いで使えるようにしないと。


『恐らく進化したらげんそ?が見えるようになるだろうから、まあ頑張るのじゃ!』


そうだな。


『繰り返しすれば妖術は上手くなるだろうから別の事を教えるぞい』


おー!


『次に妾が教えるのは武術じゃ』


武術かぁ。


『そうじゃ、まずは歩法術と疾走術を教えよう』


『歩法術は俗に言う抜き足差し足で、更に疲れにくい効率の良い歩きを教えよう』


おー!


『このように歩くのじゃ!』


なるほどね、こんな感じ…………結構キツイな。


『それを常にキープし続けるのじゃ』


まあ、癖にしないと意味が無いしね。


『そうじゃ。暫くはそれで歩き続ければ、あれを開始するからの』


あれ?何だろう。


『じゃあ次は妾が使っている爪術、妖狼流爪術を教えよう』


妖狼流爪術ってそのままじゃん。


『名前は気にするでない』


『爪術と言っても格闘術全般の技があるのじゃ』


名前変えたら?


『そうじゃな、これからは妖狼流格闘術に変えるのじゃ』


それより早く技教えてよ。


『そうじゃったな。まずは基本の回避の技、攻撃の技……………面倒くさいから全部の技を脳に直接送り込むのじゃ』


『ぐっ』


頭が…………一気にいろんな事が………………。


『ついでに疾走術も送り込んだからな』


『後はあの森で修練すれば強くなるじゃろう。フォスの方も良い感じだし送り込むぞ』


『本音を言えばもう妾は教えるのに飽きたのじゃ。

その山の主を倒せば戻れると思うぞ』


『一時は弟子だった情けじゃから技を送るなんて妾はなんて優しい狼かのぉ』


『この世は弱肉強食…………弱い者は強い者にされるがまま……………じゃからすぐに妾を信用した己を恨むんじゃな』


『ついでに言うとその山の主は妾でも倒せないような強さじゃからお主は一生出ることは出来ないじゃろうがな』


『さらばじゃ』


その瞬間…………視界が変わった。


目の前にある光景は元いた草原ではなく、森だった。


あー、まさか飛ばされるとはなー。


『主様…………』


フォスが心配そうに見ている。


何を考えてるんだろうか。


俺は逆に本来の目的以上の事を達成出来て結構嬉しい。


『主様?』


何がなんだかという感じのフォスに説明しよう。


『俺達があいつの弟子になった目的は何だ?』


『えーっと聞いて無いんですけど……………』


あ、そういえば話してなかったな。


『俺は元々妖力の使用法と入手法を手に入れる為にあいつに弟子入りしたんだ』


『そうなんですか』


『まだピンときてないのか。俺はもう妖力を手に入れ、使用法も知る事が出来た他、武術の技も手に入れたんだ』


『あ!もう目的以上の情報を手に入れたという事ですか』


『そうだ』


それに師匠が居たら勝手な行動出来ないし、欲しい情報を手に入れてどうにか逃げようと思ってたんだよね。


ついでに言えばこの森からリスポーン位置が変わってなければ死ねば簡単に戻れる筈だし。


まあ、リスポーン位置が変わっている可能性は低いわな。


なんたってクエストの報酬になってる位だし。


まあリスポーンした時にテイムしたモンスターがどうなるかは分からないから言えばフォス止められるだろうけど。


最悪その手段を使う可能性も考えないとだね。


さて、ここはどこだろう。


その時、


ドスン………………ドスン


物凄い音が聞こえてきた。


何だろうと考える暇もなく全身に悪寒が走った。


殺られる!


だが、師匠と同じく圧倒的上位者であるそれに何をしたところで殺されてしまう事は明白であった。


それならば相手が俺達を殺すのを面倒と思わせるのが吉!


その事を考えつくと同時に俺達は逃げ出した。


勿論俺達が走った程度ではすぐに追い付かれてしまうが、俺達を殺した所で得られる経験値はたかが知れている。


ならわざわざ殺すよりも無視した方が良い。


そこまで考えられるかどうかは分からないし、考え方の違いによっては殺す方が良いと思う可能性もある。


すなわち掛けだ。


負けたとしても最悪フォスを失うだけで済み、良ければ逃げ切れる。


そして俺達は掛けに勝った。



よっしゃー逃げ切ったぞー!


『あ、主様…………あれは何ですか』


『あれは何かは分からないけど、あれはヤバかったね』


だが、俺達はまだこの森の本当の恐ろしさを知らなかった。


ひとまずここで一休憩するか。


そう思った瞬間!


たたた…………たた……………


走る足音が聞こえた。


どのような魔物かは分からないため、木陰で様子を伺おうと隠れた瞬間!


目では一瞬見えてすぐに消えていった。


その瞬間察した。


俺達が恐ろしいと感じた魔物もこの森では普通なのだと。


そして俺は一つ妙案を思い付いた。


ここで鍛えれば自然と技術(スキル)が上がるんじゃないか………と。


人間は過酷な環境ほど成長する。


人間ではないが、生物全般がそれに当てはまるだろう。


そう思ったが吉。


俺はフォスに呼び掛けた。


『おい、フォス!』


『は…………い』


フォスは怯えていた。


だがそんな事に動じる俺ではない。


『今からここで鍛えるぞ!』


『……………え?』


フォスが凄い顔をしてこっちを見てきた。


『予想だが、基本的にこちらから攻撃しない限り、襲ってこないと思う』


まあ、経験値の少ない敵をわざわざ遠回りして殺すかって話なんだけど、それを話すと混乱しそうだから止めておこう。


『レベルアップをするにしろ、俺達はまだあいつらを倒す程強くはない』


『それなら手に入れた技術を鍛えて、あいつらを倒せるようにする』


『そうすれば自然とレベルアップも出来、ここから出られるって訳だ』


出るだけだったら出来るけど、強くなる絶好のチャンスだからね。


『そ……………そんな方法が…………流石です!主様!』


よし、となるとまずやるべき事は食料の確保だな。


現状把握している中で俺達がかなう敵はいない。


となると食料の入手方法は二つ!


まあ、もう一つは危険過ぎるから実質一つだな!


『フォス、いまから可食性テストをするぞ!』


『可食性テスト?って何ですか?』


可食性テストっていうのはその名の通り植物(・・)を食べれるかどうかを調べるテストだ。


そう、植物(・・)です。


だって他に食料となるものがないしね。


でー、可食性テストは植物を実、茎、葉、根、花を分けて皮膚に15分それぞれ接触させて反応を見る。


それで大丈夫なら3分程唇に、それでも大丈夫なら舌の上に15分乗せ、更にそれでも大丈夫ならまた15分それを咀嚼する。


その後8時間反応がなければ大丈夫!


っていうテストなんだけどー。


まず、俺達が人間ではなく犬科の生物で、8時間も食べずにいる気はないし、8時間も待つ気ないからそこは省略するけどね。


…………時間も勿体無いし…………。


まあ、これを説明しても分からないだろうから。


『まあ、植物の食べれるかどうかが分かるテストだよ』


『そんなテストがあるんですか…………物知りですね、主様』


うーん、物知りかどうかはおいといて早速可植性テストを始めるか。


まずはこの近くの草でやるか。


まず実と花………はないから茎、葉、根に分けて。


うーん、葉からやるか。


じゃあこの葉を皮膚…………毛をかき分けてー、接触させる。


手に葉を持つ事は出来ないから地面に葉を置いてくっ付ける感じになった。


『何をしてるんですか主様』


フォスは困った顔をして言った。


『何って可食性テス…………いっ』


痛みが走った瞬間俺はすぐに立ち上がった。


テッテレ〜

『レンは毒耐性を手に入れた!』


えー、やば。


ちょっと触れただけで痛みが来るとかどんだけ猛毒なんだよ。


その後試した葉、茎、根も同じく猛毒を持っていた。


『主様、この植物食べれるのですか?』


『いや、猛毒を持っているから無理だ』


フォスは残念そうにしている。


『いや、偶々、偶々この草が毒を持っていただけだ!』


そう思い込む事にした俺は周りの植物を片っ端から試していった。


3時間後…………



結局遠くの方まで行って試してみたが全ての植物が毒を持っていた。


お陰で毒耐性スキルのレベルが上がったが、食料確保が出来ない事実は変わらない。


一応、毒耐性を上げ続けて植物を食べるという手段があるが、狼がどうかは知らないけど犬は水さえあれば1週間、長くて2週間は生きれる。


狼も狐も犬科だし、同じくらいだろう。


水は川に流れているから大丈夫だ。


約1週間で毒入り植物を食べれるようになるかなぁ。


もう一つの手段としては、殺されたけど食べられてない魔物を食べるって手段があるんだけど…………。


もし殺した魔物に反感を買ったら殺されるのは確実だからなー。


やっぱり毒耐性を上げるしかないか。


死にそうになったら最終手段としてする事にしよう。


そう考えると、俺は辺りの植物を集め始めた。


『何をしてるんですか?主様』


『ああ、フォスも手伝ってくれ』


フォスは困惑した表情で手伝ってくれた。

…………………………

………………

……


『よし、こんくらいあれば良いか』


そして俺は茎の部分だけを取り、それを結んで長いロープにした。


流石に一人でやれない事はないが、時間がかかるからフォスにも協力してもらった。


それを2つ作り、フォスに話かけた


『フォス、この敷いた草のロープの上に乗ってくれ!』


『は、はい』


フォスは痛がりながらもやってくれた。


そして俺は手こずりながらもきつく締め上げた。


『い、痛いです。主様』


『ああ、しばらくの間それを付けて貰うぞ』


『ええー………分かり………ました』


フォスは渋々了承してくれた。


『じゃあ、俺にも巻いてくれ!』


『え!分かりました』


そして俺も同じく草のロープを巻いた。


うーん、結構痛いね。


『それじゃあこの状態で鍛えるぞ!』


『え!?この状態でですか?』


『ああ、毒耐性のレベルを上げるだけじゃあ時間の無駄だからね』


『なるほど、流石………ですね』


何を流石って言っているのか分からないけど、皮膚に接触するだけで死ぬなんて言う毒じゃなくて良かったな。


っていうかそんな毒は俺が知っている中では現実世界でもないよ。


せいぜい接触したら皮膚がかぶれて焼けるような痛みが数年続く毒だね。


今の状況はまさにそれだけど………。


まあ、その植物はトゲに毒があるからこっちの方がひどいね。


耐性スキルのレベルを上げる為には頑張らないとだね。


こうして俺達の長い修行が始まった。

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