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廃れた世界のプレイヤー  作者: 春夏 冬
9章 犯勇戦争
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朝霧家と西条家

この日本という国には、昔から凶悪犯罪者を専門にする一家が存在していた。


否、専門というのでは正しくはない。


洗脳、というべきか。


それが朝霧家である。


彼の家では、生まれて暫くすると、その生涯を掛けて仲間に引き入れる犯罪者が指名される。


その主な理由としては殺人等の嫌悪感の少ないという所を利用する所にある。


政府は裏の者を一から育て上げるのでは時間が掛かる。


ならば元から裏の者である犯罪者を引き込もうと考えたのだ。


「朝霧雷蔵、君は西条家姉妹を生涯、追い続ける事を誓いますか?」


「ちかいます!」


朝霧雷蔵、彼は四条家の一つ、落ちぶれた家と名高い西条家の姉妹を担当する事となった。


この日本には四大財閥、またの名を四条家が()()()


そう、あった、だ。


北条家に他三つは嵌められた。


東条家や南条家はそれほど被害は大きくなく、一般的な企業程度のものは残っていた。


しかし、西条家の被害は甚大であった。


破産、借金、夜逃げ。


普通の家にすら住めなくなった西条家は路頭に迷い、そして漸く低額でも住める場所を見つけた。


そこで彼女らの両親はあくせく働くものの、一向に再建出来る目処が立たない。


両親はその苛立ち、不安、恐怖を娘である西条(さいじょう)(さき)西条(さいじょう)由美(ゆみ)の二人に当たるようになる。


そして娘二人はそれに耐え切れず両親二人を殺した。


彼女達は殺人という罪悪感から逃げるように、咲は自分は食人鬼だと暗示を掛け、自分を騙す。


そして由美はサディストであると自分を偽り、咲は受け入れなかったものの、由美はそれを受け入れた。


狂ってしまった。


変わってしまった。


それが彼女達であった。


勿論この事は世間では報道されていない機密事項。


この真実を初めて聞いた雷蔵は、


「この子達を助けたい」


そう純粋に思った。


彼女達はただの被害者だ。


僕が、俺が助けないと、と。


「雷蔵様なら出来ますよ」


そう言うのは朝霧家の執事であり、その洗脳をされた一人であった。


とはいえ彼は洗脳という洗脳をされる前に従う意思を示した為、それほど酷くはない。


中には拷問等を使い、従わせる人間も居る。


そいつらに比べたら何倍もマシであろう。


そしてこの日から雷蔵はひたすらに頑張った。


勉学、柔術、そして警察への指示。


柔術は力任せにしてしまう雷蔵の性格的にそれほど向いていなかったものの、ある程度の実力は付けた。


そして彼は司令をする方向へと周り、彼女達の情報を手に入れながら他の凶悪犯罪者を捕まえていった。


朝霧家は本当にこのまま、無理矢理従わせる方針で良いのか。


そう、疑問に思いながら。


そして彼は咲と由美がWCOというゲームに入ったという情報を聞き付けると、彼もその中に入った。


止めに入った執事の声も聞かずに。


その執事は言った。


「雷蔵様もまた、政府の被害者だ」


「雷蔵様は自分の使命という楔により、自由に生きる事が出来ない」


「だからこそ私は雷蔵様をどこまでも手助けする」


「雷蔵様が自由に生きる、その姿を見る為に」


実はこの執事が捕まったのは、お人好しだったからなのだ。


その情報を聞き付けた朝霧家の一人が、朝霧雷蔵を殺すという脅しを受け、それで捕まったのだ。


どこまでもお人好し、だからこそ自由になって欲しい。


雷蔵、否、ライはそれに気付きながらも使命をまっとうしようとする。


彼もまた、お人好しであるから。

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