弟子入り
『主様!主様!』
う、うーん。
『大丈夫ですか?主様!』
……はっ!
あれ?えーっと……………そうだ!運営に呼ばれたんだ!
『子狐、俺はどうなってた?』
『主様はいきなり倒れて1時間程動きませんでした』
そうか…………んん?あれ?何で子狐時間の単位を知ってるんだ?
だって野生で暮してたなら知ってる筈無いじゃん。
『その間私は主様が心配で心配で……………』
『子狐、何で時間の単位を知ってるんだ?』
『え?あ、はい、主様にテイムされた時に主様の知識の一部が流れ込んできました』
へー、だからさっきから感情が感じられるのか。
かなり都合が良いな。
あ、そういえば子狐のステータス見て無かった。
『子狐、ステータス見せろ』
『え?はい、分かりました』
ステータス
名前 名無し(子狐)
性別 女
種族 レッサーリトルフォックス(特異体)LV3
状態 普通
生命力 17/17
妖力 17/17
スキル
噛みつきLV1 爪術LV1 妖術LV1
耐性スキル
痛み耐性LV1
称号
テイムモンスター 先祖帰り
主
レン
……………………思ったよりも凄かったーー!
ってえ?まず妖力って何?何で魔力じゃないの?
妖力
狐が自分に最も適してる力として魔力を変質させた力。
狐と同じ犬科の魔物も同じ妖力が適してる。
え?………………狼も犬科……………だよね?
俺も同じ妖力欲しいなー!
で、妖術は?
妖術LV1
妖力を使った技。物を変えるのに適してる。
LV1なので大した技は使えない。
なるほど。魔法の妖力を使ったバージョンか。
ただ、物を変えるってのが具体的に何かは分からないね。
じゃあ先祖帰りは?
先祖帰り
その種族の原初が持っていた能力を一部引き継いでいる。
なるほど、それが恐らく妖力か。
テイムした時良いものを手に入れたと思ったけど、予想以上だな。
『あの、主様。何かおかしなものでもありましたか?』
『いや、思ったよりも良いものを手に入れたと思ってな』
『私が良いもの……………ありがとうございます』
『私が良いもの………………私が良いもの……………』
『あ、ああ』
思ったより喜んだな。
そこまで喜ばれると戸惑うわ。
まあ、それは良いとして、妖力か…………ぜいとも手に入れたいな。
だけど子狐……………あ、こいつの名前も決めないと。
ステータスがいろいろ衝撃的過ぎて忘れてたわ。
うーん、狐、きつね、フォックス………………。
よし、決めた。
『お前の名前はフォスだ!』
『え?いきなり…………私の名前……………ありがとうございます。主様』
『ああ、遅くなったな。』
『レンのテイムモンスターの名前がフォスに設定されました』
さて、では改めて考えに浸るとするか。
フォスは妖力を持っているとはいえ感知系のスキルが無い事から、使った事がないのだろう。
なら、フォスから学ぶことは出来ない。
それにフォスもこのままだと弱すぎるからレベル上げもしないといけない。
自己鍛練をしようにも魔力を妖力にするやり方を今から探すとなると時間がめちゃくちゃ掛かるだろうし…………。
あーーーーーーー、どうしよう。
『困っている様じゃな』
ヤバい。幻聴まで聞こえて来た。
『幻聴じゃないわい。ちゃんと居るぞい』
うわ!
突然大きな純白の狼が現れた。
ヤバい、幻覚まで……………俺そんなに疲れてたかな?
『主様!こいつはいったいなんですか?』
え?幻覚じゃない?本物?
『本物じゃ若造が!』
いや、幻覚だ!そんなに都合の良い事が起こるはずがない!
『いい加減認めんか!』
うーん、百歩譲って本物だとして貴方はなんですか?
『ふふん。聞いて驚け!』
『我は誇り高き妖魔神狼皇王だ!』
へー、フェンリルかぁ。
強そうだなぁー。
『おい、何だその薄い反応は!』
だってなんかカッコ良さそうな事しか名前だけじゃ伝わらないよ。
『そんなに失礼な態度とっても良いのかえ?』
何で?
『妾はお主の求む妖力を持っているのだよ!』
……………………弟子入り志願します。
『お主切り替わりが早いのー』
『だが、そろそろお主の配下が泣きそうになっておるぞ』
『う、うう…………私を仲間外れにしないでー』
『あー、ごめんね』
『主様私も会話に入らさせて貰います』
んー、とはいってももう俺の中では会話はもう終わったようなものだからなぁ。
『かってに終わらすな』
あ、そういえば、
『何で都合の良い時にこっちに来たんだ?』
『ぎくっ!?えーっと…………なんとなく?』
今の反応で大体分かったよ。ストーカーか。
『ス、ストーカーとは失礼な!ただちょーっとお主らの動向を見てただけじゃ!』
『それを世間一般ではストーカーと言うんだよ!』
『何時から主様の動向を見てたんですか?』
『ふむ、大体この辺りを治めている猪を倒した時から興味が出ての、そこからずっと付けてたんじゃよ』
『へー、で、何が目的だ?』
『目的?』
『そうだ!付けてたんなら目的があるはずだろ』
『ふむ、強いて言えば面白そうだったからかの』
『面白そうですか?』
『うむ、この年になると楽しみも減ってきてな、何か面白そうだったから付いていったのじゃ。
で、お主が作り上げた念話を見て真似してその応用で心の中を読んだら鍛えたいと言っておったから、弟子を作って鍛えるというのも楽しそうだと思った訳じゃ』
なるほどね。
こんなにも都合の良い状況利用するしかないでしょ!
『これから俺は貴方の弟子になります。
フォス共々どうかよろしくお願い致します』
『さっきとは別人のような態度じゃな』
そりゃあ師匠に対して無礼な態度をとれるわけないじゃないですか。
『まあ、良い。妾の修行は厳しいぞい。覚悟すると良い』
『よろしくお願い致します』
『分かった。そうじゃな、まずお主には妖力を使えるようになって貰おうか』
分かりました。
『お主の従魔は妖力を持っている用じゃし、とりあえずレベル上げをしておれ』
『分かりました。行ってきます』
大丈夫か?
『さて、まず妖力を持つ方法は2通りある。
先天的に持っているのと、後天的に手に入れるの2つだ』
先天的に持っているのは恐らくフォスみたいなケースだね。
もし後天的に手に入れる方法がないってなったらショックだ。
『まあ、お主は今持ってないので後天的に手に入れるしかないのだがな』
お、後天的に手に入れる方法あるみたいだ。
『そして後天的に妖力を手に入れる方法。
それは、身体に魔力を合わせて無駄がある部分をなくし、変質させる事だ』
?どういう事だ?
『お主には今から自分の魔力を感じ、違和感を感じ取ってもらう』
まあ、よく分からないけどやってみるか。
分かりました。
『ふむ、なら妾はフォスが死にそうだから助けに行ってくる』
やっぱり大丈夫じゃなかったー!
まあ、俺が駆け付けた時も死にそうになってたし、頭が良くなった程度じゃ勝てないよな。
さて、早速精神統一してみるか。
1時間後…………
あれ?何かここ動かす時に無駄が多いな。
ん?ここは逆に何か足りないな。
ちょいちょいっと変えて……………。
『レンの魔力が妖力に変質した!』
『レンの変質スキルのレベルが3になった!』
『レンの魔力感知スキルが妖力感知スキルに変わった!』
『レンの魔力操作スキルが妖力操作スキルに変わった!』
うお、一気に来たな。
ん?そういえば俺何を変質させたんだっけ?
何か…………感覚的に…………違和感があって、それにつられて何かを変えたんだよな?
何だったんだ?あれ。
『お、お主もう妖力を手に入れたのか。
こっちもある程度レベルを上げたからそっちに戻るぞい』
分かりました。
………………………………
……………
……
『フォス、ステータスを見せてくれ』
『分かりました』
ステータス
名前 フォス
性別 女
種族 下級妖狐(幼体)LV1
状態 普通
生命力 24/24
妖力 24/24
スキル
噛みつきLV2 爪術LV2 妖術LV1
耐性スキル
痛み耐性LV1
称号
テイムモンスター 先祖帰り
主
レン
おー、かなりレベル上げたな。
『頑張ったな、フォス』
『ありがとうございます』
フォスは嬉しそうだ。
『それにしてもお主、妖力を得るの早かったのぉ』
『そんなに早かったですか?』
『お主の性格的に感覚に身を任すタイプとは思えなかったから、もっと遅いと思っていたわ』
ああー、俺は基本的にはいろんな事を考えるんだけど、魔力関係………今は妖力か…………を使う時は、感覚を頼る方が良いとこの世界の生活で学んだからね。
『で、結局変質させたのはなんだったんですか?』
『それは魔力の性質じゃ』
……………えー、そんなにヤバそうなもの変えてたのか。
『そんなにヤバいもんじゃないぞ』
あ、また心の声を読まれた。
『魔力の性質は一定だが、種族によって使いやすさが変わってくるのじゃ』
『だから、魔力の性質を変える事によって自分に使いやすくしているのじゃ』
『それが妖力だったりし、自分でも無意識に違和感を感じて変えようとしているのじゃ』
『だから、感覚に身を任せる事により、魔力の性質を変えることが出来るのじゃ。』
『ただ、魔力の性質を変えるようなスキルを持ってないと変えることはできないのじゃがな』
なるほどね、俺の場合それが変質スキルだった訳だ………………?
『何で俺のスキルを知ってるんだ?』
『それはお主のステータスをちょいと見せさせてもらったわけじゃ』
あ、やっぱり鑑定系のスキルあったんだ。
『まあそればおいおい話すとして、ステータスを見たら妖力を得る技術はあったのじゃからフォスが帰って来る前に習得出来ると踏んで妾は今お主に妖力を習得させたのじゃ』
へー、なるほどね。
『さて、二人共妖力を手に入れたし、妖力の活用方を教えるとしよう』




