帰るべき場所
「……ゥウ!?幸ッ」
木陰に隠れたごく普通の公園。そのベンチ。
ボロボロのスーツを纏うその男、暁は眼が覚めるとそこに居て…
「…私は見逃されたのか?」
残念ながら何故そこにいるのか、説明してくれる都合のいい存在はいなかった。
「これから、どうすれば…」
四半時後、叫んで蹴って怒って泣いて、一頻り暴れたサトルは心を落ち着かせ、これからの事について真面目に考えてみた。
まず家には、帰っても無駄だろう。あれが簡単に幸を諦めるとは思えない。
ならば、ヒーロー達に助けを乞うか?
幸は9歳だ。命を賭ける闘いに参加するには早すぎる、(出来れば一生関わって欲しくないが)今のご時世、タブーとなっている年齢だ。
ヒーロー、そして他の異世界人の協力が有れば、幸を諦めさせる事も可能……
『魔法少女になったのです』
…じゃない。『異世界人』が齎す武器を人が装備した時点で何らかの契約が人と『異世界人』の間には交わされている。
そして、一度契約を交わした異世界人は己の目的を達成するまで、もしくは授けた人間が死ぬまでヒーローであることを強制する。
タブーとなっていながら16歳以下のヒーローが禁止されていないのがその証拠だ。
気に入って契約を結んでしまえば、例えそれが幼子であっても彼らは闘わせる。
良識があるらしい『異世界人』の何人かが、「未成年は止めろ」と他の異世界人に呼びかけてはいるようだが、幸は選ばれてしまった。
こうなってしまえば、幸は齢9歳にして戦士である事を義務付けられ……命を落とーー
「ダメだ。
そんな事、許してたまるか」




