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こう言う世界です
あの後、眩い光と共に消えた幸をサトルは「幻だと」思った。
「…ただいま」
「お帰りなさいお父さん♪」
だってそうだろ……ここは、怪獣王の狙う東京でも悪の組織が点々と根を張るヒマラヤ山でもなんでもないんだ。
毎朝テレビニュースで語られる5人組のヒーローや孤高のライダー戦士が活躍する世界とは絶対的な境界線が引かれている。
第一、16歳以下の少年少女が闘う時代は、とうの昔に終わった筈だ。
今は、巨悪に対して『見込み』があると判断された大人達が守る時代であり、
命の危険がある以上、暗黙のうちに“子供”が闘いに参加することはタブーになっている。
なのにーー
「じ…実はね、お父さんに紹介しないといけない人がいるの」
「…は、ははっ彼氏、さんかな?全く幸はおませさんだなぁー」
「ちッ違うよ!そんなんじゃなくてーー」
『サチ、僕が話すよ』
『砂椛 暁さんですね。突然ですが貴方の娘さんは魔法少女に選ばれました。』
幸の背後から現れたそれは、どうしようもなく、神々しく、これが、これから起きるであろうことごとの数々が、夢や幻ではないのだと否応にも納得させられた。