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怪人になった日

本日4回目

『ムギュ!ムギギキュウ?』


「怪獣に勝つには契約するしかない!その覚悟は君にはあるかい?」


『ュ』


「僕は出来てる」


『ムキュキュ』


「やり方は覚えた。大丈夫、アイツら(異世界人)にだって出来るんだ真の友情で結ばれた僕達に出来ない訳がないって……ムギュお前」


俺はムギュを両手ですくい持ち上げる。その瞳は真剣だ。嘘偽りだとは思えなかった。

目尻に熱いものがこみ上げる。


「分かった。…契約するぜムギュ!」


『ムギュ!』


呼吸を揃える二人。


ーーそして


「『変身(ムギュ)』!!!」


黒き稲妻を宿す灼熱の炎が二人を包む。










▼△▼△▼△▼


『グカガ?』


突然燃え出した人間に怪獣は意味が分からず、首を傾ける。


…………あぁ、そうか自害したのか


偶に舌を噛みちぎる人間はいたが成る程、人間は燃える事も出来るのか

新しいことを知れて良かったと怪獣は頷き、本来の獲物である人間の女に鎌を振り下ろそうと


『おい、何処を見ている?』


怪獣の懐に黒い光が疾り抜ける。


『グカ……ッ!?』


懐に拳大の穴が空いた。遅れて強い衝撃を受ける怪獣。

コンクリの壁を突き破り、受け身も取れぬまま叩きつけられた。


『ガ、グギャ…ダダジジャ!!!』


全身の痛みを怒りに変え、充血した瞳の怪獣の先。

二十代半端の女性の前に立つソレは、


黒かった。

全身を昆虫のような外骨格で覆う、人型の異形。その全長は2メートル近く。髑髏の紋章を胸部に抱え、鋼ですら斬り裂く凶悪な長い爪をガチガチと鳴らす。

更に、その背後には蝶のようなエネルギー体が駆け回り、眩い光で辺りを照していた。


『グガダララガ(何だ貴様は!同族ではないのか!?)』


怪獣は鎌を杖に立ち上がる。


『残念だが、俺はお前の敵だ。』


答える異形は人間のような言葉を話し、怪獣は理解出来なかった。しかし、好意的ではないことは確かだ。


『ドゴラダ、グギャラ!(敵対するなら死ねェェ!)』


重い力で振り下ろされた鎌が、異形に受け止められる。

怪獣は、デタラメに鎌を振り回した。


『ガガ!グラッァァァ!!!!!』


目にも留まらぬ連撃、周辺の建造物は次々と深い切り傷を増やして行く。異形もその速さについて来れないのか初撃のように防がれることはなかった。

しかし、ただ斬られるばかりの異形は傷を作る事なく余裕の表情で佇んでいた。


『ザガレバァァァァァァ!!!!!』


怪獣はスピードをパワーを限界まで引き上げる。

最早周辺に先程までの面影はない。

それでも異形は佇んでいる。


『ダラグラァァァ!!!!!』


『もういい。』


尚も続ける怪獣に、異形は拳を握り締める。

そして、一瞬消えたような錯覚を覚えた後、現れる。


パンッ


怪獣の体が弾け飛んだ。

少しして光と化し、霧散する。


『うわ、俺強くね?』






この日、世界で初めて


人と怪獣が契約を結んだ


異形の怪獣にして人


【怪人】が誕生した。

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