第09話 異世界の少女
領主となり、今後について会議をしている最中に魔道一族1万人がやってきた。
そして、よくわからないが、地下牢で助けた魔道一族の少女メリナが、俺の2番目の妻となった。
ちなみにメリナの年齢だが、何でも今年で14歳だそうだ。それを聞いて驚いたが、メリナが「それがどうかしましたか」と、笑顔で言ってきたのすごく怖く俺は何とかごまかしたのは内緒だ。
そんな激動の日から数日が立った。
あれから、さまざまあったが、簡単に言っておこう。
まずは、前領主ダルモアの夫人たちの処遇だが、彼女たちには、ダーラード聖教国の教会に出家してもらうことになった。
なぜ、そんなところかというと、彼女たちはこれまでダルモアのおかげで贅沢三昧、それを簡単に手放したくはないだろう、近くに置いておくと、最悪故郷などを使って、俺たちに牙をむいてくる可能性が高いからだ。
ダーラード聖教国なら、間にガブーラ公国があるためにそう簡単にやってこられないからだ。
というわけで、彼女たちはすでにダルモアの死後から、翌日には出発してもらっている。
また、領主の妾だった女性2人の処遇は、特になくそれぞれの故郷に帰っている。
その理由としては、婦人たちは近隣の領主の一族だが、妾は領民のため故郷に帰っても何の力もないために問題ない。
むしろ、故郷に帰れることを喜んでいた。
さらに、地下牢にとらわれていた娘たちだけど、もちろん彼女たちも故郷に返したいがそれぞれ精神に深い傷を負っているために、それも難しく、今それぞれの故郷に俺自ら手紙を書いて、知らせてある。まぁ、そのうち家族などが迎えに来るだろうと思う。
それまで、街にある廃業した宿を使って保護している状態だ。
ちなみにそこに入ることができるのは基本、シュリハさんをはじめとした女性陣だけである。
そして、ダルモアたちの遺体だが、これも死後3日はあの広場にさらしていたが、あまり長く放置すると腐るということもありすでに撤去し、船で川を下らせ海に流す算段だ。
これもまたすでにギウスの部下たちが護衛と、海まで行くようにと誘導するために向かっている。
しかし、ダルモアたちを船に乗せる時の様子を見ていたが、前に見たときより刺さっているナイフが増え、もはやハリネズミのようだったし、体中傷だらけなのはもちろん、肉屋の解体中みたいな見るも無残な状態となっていた。
次に、俺がメリナと結婚することで、俺の配下となった魔道一族1万、彼らの住居に関してだが、これまでスラムとなっていた場所を提供することになった。
少し荒れているが、あそこなら大きいし少し拡張すれば問題なく住むことが出きる。それに伴い、あそこのもとの住人はどうなるのかというと、それに関しては問題ない、何せほとんどの住人がレジスタンスに参加していたことから、今は、立派な俺の私兵となっているし、違った連中も新たに開いたポストに採用されているために今は住人がゼロという状況だからだ。
最後に屋敷についてだけど、ダルモアの屋敷はすでに解体しきれいに整地され、新たな屋敷が作られ始めている。
実は、この屋敷の解体と新たな建造はもっと遅くにやる予定だった。
しかし、ウェブルによると魔道一族の魔法には土木系の物があり、自分たちの住居もその魔法で作っているということで、工事を引き受けたいということから任せている。
そして、俺たちはというと、領主になるためには様々なことを知っておく必要がある。ということで、朝から勉強の毎日だ。
「うー、わかんねぇ」
「わかって頂けなければ、困ります」
そういうのは、俺たちの先生を務めているマーガレットという女性でもとはダルモアの第1夫人ミネルベータの側近だった人だ。
といっても、ミネルベータの贅沢三昧の生活に苦言を述べたことが原因で首となり、最近では街の子供たちに勉強を教えていたそうだ。
それをギウスが俺たちの教育係としてスカウトしたということだった。
マーガレットは少し厳しいところもあるが、結構優しい面も持っており、ミルファもメリナもなついている。
まぁ、俺も当然嫌いではないが、5年間ひたすら剣を振り続けた俺にとってはほとんどがチンプンカンプンだった。
「仕方ありません、少し休憩をいたしましょう」
「ああ、助かる」
こうして、俺たちは、しばしの休憩を得ることができた。
だから、今俺はミルファとメリナとともに庭になる予定の場所にテーブルを置いて、お茶を飲みつつ、ミルファとメリナの会話をおとなしく聞いているという状態だ。
平和だ。
俺はそんなことを考えながら、適当な相槌を打っていた。
すると、突然メリナが俺の方を見て行った。
「気を付けてください、何かが転移してくるです」
「えっ、転移? 何かって、何が?」
俺とミルファは一瞬何を言われたのかわからなかった。
「きます」
メリナがそういった瞬間、俺の目の前で何か白い光が現れた。
その光は人のような形をしていた。
「こ、これは、まさか!!!」
なんだかメリナが驚愕している。
「な、なんだ!!」
俺も驚愕だ。
なにせ、その光は横たわるようにして俺の手に収まろうとしていたからだ。
それから徐々に光が和らいできて、その代わりに重みも出てきた。
「な、なんなの」
ミルファがそういった瞬間、光の形がはっきりとした人の形となった。形状から、それは女であることが分かった。
そして、ついに俺の腕の中で実体化したのだ。
「うぉ」
俺が驚愕の声を上げたのも当然といえよう。
なんていっても、転移してきたのは女、艶やかな漆黒の髪と黒い瞳、少し低い鼻で少しのっぺりした印象を受けるが、とても可愛かった。
また、少し黄色みがかった珍しい肌色に、しみや傷すら1つも見当たらないきれいな肌だった。
そして何より俺の目を引いたのは、胸元で大きく主張している2つの双丘とその先にある、薄いピンク色の突起だった。
そう、俺の手の中に現れたのは見たこともないような美少女であり、なぜか何も身に着けてはいない、つまり裸だった。
俺があまりの出来事に茫然としていると、俺と目が合った少女が驚愕して何やら口をパクパクとしている。
少女はしばらく状況が分からないのか俺の顔をしばらく見ていたが、ふと自身の状態に気が付いたのは、声にならない叫び声をあげて俺を突き飛ばした。
おかげで、俺は椅子から転げ落ち、少女もまた落ちそうになったがミルファがとっさに反応して何とか支えたようだ。
『な、なに、ナニコレ、なんで、あたし、はだか、それに、ここ、えっ、どこ』
少女は自身の体を隠しながらパニックになっているのかよくわからないことを言っている。
「えっと、なんなんだ、一体」
俺はようやくその一言を言った。
「そんなことより、まずこれを着て」
そういってミルファが俺の上着を奪い少女に着せた。
『え、え、なに、ああ、ありがとう』
どうしよう何言っているのかさっぱりわからない。
俺が困惑していると、メリナが何やら呪文を唱え始めた。
「トランスレーション」
メリナがそういった瞬間、少女のが再び光に包まれた。
「えっ、なに、なんなのこれ」
正体不明の光に包まれて少女は困惑している。
……あれ、今、少女の言葉が分かったような気がしたんだけ……。
「翻訳魔法をかけました、これで、言葉が通じるはずです」
「えっ、魔法、あれ、わかる。どうなっているの」
「えっと、メリナ、どういうことだ」
俺はこの中で一番事情が分かっていそうなメリナに説明を求めた。
「はい、彼女はおそらく異世界転移をしてきたのだと思うです」
「「「異世界」」」
俺とミルファ、そして少女の声が重なった。
「はい、この世界とは異なる世界のことです」
「ちょっと待って、異世界転移ってそれほんとなの」
少女がなぜかものすごい食いつきだ。
ていうかなんだよ、そのこの世界とは違う世界って……
俺としては信じられなかった。
ちらっとミルファを見たがミルファも同じようだ。
「そういえば、あたしって、さっきまで渋谷にいたはずなのに、ここ渋谷じゃないよね」
そのシブヤってなんだ。
「いや、ここはそんな名前じゃないけど、エリックって街でもとはムガリーグだけど」
「エリック、ムガリーグ、聞いたことないよ、日本って知っている」
「ニホン、なにそれ?」
ミルファの疑問だ。
俺も同じだけど……
「あたしが今さっきまでいた国だよ。じゃあ、ほんとにここって異世界なんだ、わぁ、すごい、ほんとに異世界転移ってあるんだ」
何やら少女は感動していた。
「あっ、じゃぁ、何か、チートとかないのかな」
などといっているがまた俺には訳が分からなかった。
「なんだ、それ」
「ほら、異世界転移したら、すごい力がもらえるじゃない」
そんなこと言われても知らないんだけど……
俺がそんなことを思っているとメリナが妙なことを言い出した。
「意識を集中して、自分の内側に目を向けてみてください」
「集中、内側」
少女はメリナのいた通りにした。
すると
「あっ、出てきた。ステータス、えっと、あっ、あたし、回復魔法がすごい、レベルMAXだ。あっ、でも、ほかのレベルは低いなぁ」
なんてことを言い出した。
「そうですか、あなたは回復魔法特化というわけですね」
何やらメリナと少女だけが分かっているようだった。
「えっと、メリナ、説明が欲しいんだけど」
俺はたまらずメリナに尋ねた。
「わかりました。ですが、少々長くなるです」
「だったら、まずは、服を何とかしないと」
そういえば忘れかけていたが少女は裸だった。
「あっ、そうだった」
少女の方も忘れていたようで急に顔を真っ赤にしていた。
「それじゃ、ちょっと行ってくるわね」
そういって、ミルファは少女を連れて行った。




