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真なる英雄  作者: 敦
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第07話 新領主誕生

 領主屋敷の地下牢で見つけた、魔道一族の娘メリナを送り届けて一息をついたところでこちら側の兵士に声をかけられた。

「ああ、いたいた、ポルク、ミルファ」

「ん、なんだ」

「何か用?」

「ああ、ギウスが街の広場まで来てくれって言っているぜ」

「広場? おう、わかった」

「それじゃ、俺は別の用があるからな」

 そういって兵士は去っていった。

「今度はなんだろ」

「さぁ」

 俺たちはよくわからなかったがとりあえずギウスのもとへと向かった。


 広場につくと何やら人垣ができていてにぎわっていた。

「なんの騒ぎだ」

「もしかしたらあの3人じゃない」

 あの3人とは当然俺とミルファで倒した、領主ダルモアとその護衛、メデゥッサとボルダルのことだ。

 ミルファに言われて、そうかと思い覗いてみると、そこには確かに3人の死体が柱のような木材に括り付けられ、その首はその体の上部に台が作られ置かれていた。

 すると突然1人のおっさんがメデゥッサだった死体の前に立った。

 「娘の仇~~~」

 そういっておっさんが手にナイフを持ちメデゥッサに突っ込んでいき、そのナイフがメデゥッサの腹部に突き刺さった。

「……!」

「……なんだ!」

「おう、来たか」

 俺たちが目の前の光景に戸惑っていると後ろからギウスが声をかけてきた。

「あれはなんだ」

 俺は今見た光景を指さしながらギウスに尋ねた。

「ん、ああ、あれか、まぁ、そんだけやつらが恨まれていたってことだろ」

 なるほど、わからん。

「どういうこと」

「最初はたださらして罪状の立て札を置いただけだったんだよ」

 そういわれてみてみると確かに3人の隣にはそれぞれ、長い立て札が立っていた。

「そしたら、街の連中が仇を取りたいと言い出してな。まぁ、特に止める理由もないし、好きにしろっていったらこのありさまだ」

「……そういうことか」

 それで興味を失って本題に入ることにした。

「それで、まさか、俺たちにこれを見せるために呼んだわけじゃないだろ」

「ああ、もちろんだ」

 それからギウスは一呼吸を置いてから話をつづけた。

「お前らが領主を殺したことで、今この街を収めるやつがいない」

「ああ、そうだな」

「そうね」

 まるで俺たちを責めたような言い方だ。

「まぁ、それは俺が頼んだことでもあるが、問題はこの領主がいないという現状だ。そうなるとどうなるかわかるか」

 突然そんな質問をしてきてもわかるわけがない。

「ほかの領主がここを手に入れようとしてくるわね」

「そうなのか」

 俺にはわからなかった。

「ええ、誰も収めていない領地は自身の領地を広げるチャンスになるからね」

「そうだ、連中はどうしても手に入れたくなるだろうな」

「なるほどね、だから、この地を誰かが収める必要があるってことか」

「そういうことだ」

「それだったら、ギウスがやればいいだろ」

 俺は当然とばかりにそう言った。

「いや、俺は兵士長をするつもりだ」

「兵士長?」

「ああ、この戦いで前の兵士長は引退してもらったからな、俺以外にはいない」

 まぁ、確かに兵士に指揮を執りなんて簡単にできない、兄さんも言っていた、ギウスは剣の腕より指揮能力の方があると。

「それは、わかった、それじゃ、誰が領主になるんだよ」

「当然、お前だ、ポルク」

「!! はっ! なんだって!」

 俺は今自分の耳を疑った。

「お前なら領主に適任だ。剣の腕は確かだし、エリックと違って、敵なら容赦せず倒せる」

「確かにそうだけど」

「それにだ、お前はなによりエリック自慢の弟だ。あいつは常にお前の自慢をしていたぜ。お前の剣の腕、そして人柄をな」

「兄さんが」

「ああ、確かに俺がお前にあったのは昔に1回、とここ2日だけだ。それでも、お前の人柄はエリックが言った通りだったと確信している」

「ギウスが確信していても他の連中とか街の人たちはどうする。俺はこの街に着てまだ2日だぞ」

「それも大丈夫だろ、さっきも言ったがお前はエリックの弟だ。この街には5年たってもエリックのことを忘れた奴なんて1人もいない」

 つまり、俺は兄さんの弟として街に受け入れられるということだろう。

「お前としては不服かもしれないがそれは仕方ないことだ。それにお前ならすぐにエリックの弟ではなく新領主として受け入れられるさ。ミルファもそう思わないか」

「そうね、私もポルクとあって数日だけど、ポルクが領主ならお姉ちゃんみたいなことにはならないし、あの人達のような人は許さないでしょ」

 ミルファの言葉が俺の心に突き刺さった。

「確かに、そうだろうな。ああ、わかった、引き受けるよ、俺がここの新領主になる」

「そう来なくっちゃな」

「おめでとう、ポルク」

「ああ」

「ああ、そうで、ミルファなんだけど」

「えっ、私!」

 突然話を振られて今度はミルファが戸惑う番だった。

「ミルファは、まぁ、できればだが、ポルクの嫁になってほしい」

「えっ、え―――――、わ、私がポルクの、お嫁さん!!!!!!」

 ミルファが盛大に驚いた。

「どうだ。いやならいいが」

「えっ、あ、いや、いやってわけじゃ、ないけど」

 ミルファが何やら小さく言っている。

「おいおい、ギウス、いくら何でもそれは急だろ」

 さすがの俺もそういった。

「確かに急だが、ポルクは領主となるわけだからなその嫁になりたいと思う奴は大勢いる。だが、ミルファという嫁がいればその数は減るだろうからな」

 言われてみれば確かにそうだった。

「で、でも」

「無理にとは言わねぇよ」

「……ううん、いいよ、わかった、わたし、ポルクのお嫁さんになるわ」

 なんとミルファがそんな決意をしてきた。

「えっ、まじで」

「そうよ、なに、私じゃいやなの」

 そんなことを言われても困る。

「いやじゃないよ。むしろうれしいかもな。でも、ミルファこそ俺でいいのか」

「うん、いいわ」

 ミルファは顔を少し赤らめながらそういってくれた。

「あははっ、それじゃ、決まりだな。ああ、そうだ、ミルファ」

 とここでギウスがミルファに尋ねてきた。

「なに?」

「お前の知り合いで数字に強くて信頼できるやつはいないか」

「数字に、えっと、いないけど、それがどうかしたの」

「いないのか、いや、まぁ、いないならしょうがないが」

 そういうギウスだが何やら当てが外れたような表情だった。

「いないとまずいのか」

「ああ、領地を運営するにあたって必要な人材なんだが、俺たちもそこまでは確保できてない、だから、ミルファが頼りだったんだがな」

 数字に強く信頼できる人か、そういえば。

「1人知っているぞ」

 俺はそういうとギウスが驚愕の表情をした。

「えっ、それはほんとか」

「ああ、うちの村の人だから信頼はできるし、今は商人だから数字にも強い」

「ああ、そうか、確かにお前の村でもあれの以前に出ていれば……」

 そう、あの事件以前に出ていた彼女なら無事だからだ。

「それで、その人はどこまで信用できる」

「そうだな、少なくとも、俺や兄さんを弟のようにかわいがってくれたから、裏切るようなことは絶対にしない」

 俺は確信をもっていった。

「なるほど、お前らの面倒をねぇ。それで、その人の名前と今いる場所はわかるのか」

「ああ、名前はイレーネ、兄さんより3つ上で流れの商人と結婚したんだけど、前にヘグレスで店を開いたって聞いた。多分まだいると思う」

「女なのか、それに、ヘグレスか、となりの領地だな」

「ああ、そのどこかはわからないけど」

「いや、それだけわかれば上等だ、よし、グノブを使いに出すか」

 そんな感じで話がまとまった。

 実はイレーネ姉さんにはこの後会いに行くつもりだった。しかし、俺が領主になった以上行くわけにはいかなくなったというわけだ。

「さてと、それじゃ、まずは……」

 ギウスはそう言って、大声を上げて街の人たちに俺たちの紹介と、新領主について話をした。

 すると、広場に集まった人たちはいっせいに歓声を上げたのだった。

 まさか、兄さんの仇を取りに来て、新領主になることになろうとは、人生どうなるかわからないな。

 そんなことを考えながらギウスの演説を聞いていた。


 その翌朝、グノブは部下4人を連れてイレーネ姉さんを探しにヘグレスへと旅立っていった。

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