第 05話 仇と復讐
久しぶりに会ったギウスはレジスタンス組織のリーダをしていた。
しかも聞けばレジスタンスメンバーは兄さんの信奉者だったようだ。
そして、俺とミルファはさっそくギウスたちに腕試しをされたがそれを瞬殺した。
「なぁ、ギウス、その俺たちなら大丈夫ってなんだ」
「ああ、実はな、領主には2人の護衛が付いているんだが、その2人がかなり強くてな、俺たちじゃかなわないんだよ、でも、お前らなら全く問題ないはずだ」
「護衛ねぇ、どんな奴らなんだ」
「簡単に言えば巨漢と美女だ」
いや、簡単すぎるだろ。
と思っていたらちゃんと説明してくれた。
「巨漢の方は、ボルダルという名でハードアクスの使い手にして、これまで数多くの戦場で敵兵を血祭りにあげてきた歴戦の猛者だ。そんで、美女の方は、メデゥッサ鞭遣いで、こいつも数多くの戦場で敵兵を葬ってきた猛者。まぁ、たった今お前らに完敗した俺たちが言うのもなんだが、俺たちもそれなりの使い手を用意していたんだがな」
それはわかる、俺とミルファが強すぎてわからないが、兄さんが昔言っていた、俺が瞬殺したギウスもこの街では指折りの実力で兄さんも認める強さだった。
「わかっている、2人ともかなりの強さだってことはな」
「ええ、瞬殺しちゃった私たちが言っても説得力ないと思うけど」
「そうか、まぁ、ありがえてぇ、だが、そんな俺たちでも束になったところで、ボルダルとメデゥッサには勝てない。多分だが一撃だろう」
「へぇ、そんなに強いのか。それで、そいつらはどうするんだ、領主の護衛なんだろ」
俺としては、領主以外はなるべく殺したくはなかった。
「それなら、問題ない、やつらも殺してくれ」
「理由は?」
ミルファが尋ねた、俺も気になっていた。
「奴らも野放しにできないからだ。やつらは時々街までやってくるんだがな、ボルダルは目のつけた娘をかっさらっては壊れるまで犯しまくって捨てやがる」
ギウスが忌々しそうにそういったときミルファがびくっとなった。多分お姉さんのことを思い出していたんだろう。
「その娘たちは?」
俺は恐る恐る聞いてみた。
「発見されたときにはすでにこと切れていることが多いな、まれに生きているが、数日後に……」
「くそっ」
近くでは悪態をつく連中がいた。
俺もつきたいよ。でも、ミルファからの殺気が怖い。
「そ、それで、メデゥッサの方は?」
俺はその怖さを吹き飛ばすようにメデゥッサの方を尋ねた。
「こっちはもっとヤバイ、最初に言ったようにメデゥッサは美女なんだが、何より自分より若く美しいものが嫌いときてやがる。そのために、街でそういう娘を見かけてはむごたらしく殺すんだよ」
「ま、まじかよ」
俺はもはや何も言えなくなった。
「お前らと再会したあの酒場、おかしいと思はなかったか」
「おかしい、何がだ?」
俺にはわからなかった。
「そっか、お前の村は寒村だったからな、ああいう場所には必ずウェイトレスがいるものなんだ。だが今この街の酒場でそんなものを雇っているところはいない。なぜだかわかるか」
「いや、なんでだ」
「3年前、あの店には看板娘といわれたメーナという娘がいた。だが、その酒場にやつらが現れた」
俺はそれを聞いてそのメーナがどうなったのか想像できてしまった。
「まさか」
「ああ、やつらが来て以降メーナは店に来なくなった。そして数日後川で遺体が上がった。それは最初誰かもわからなかったんだ、なにせ、全裸だったから辛うじて女だってことはわかったんだが、顔がつぶされて、手足もボロボロ、全身鞭で打たれた跡があったからな。しばらくして、ようやくほくろでそれがメーナだとわかった」
「ひ、ひでぇ」
「な、なんて、ひどい」
ミルファも俺も吐き気を覚えるほどの話だった。
「というわけだ、遠慮なくやつらも葬ってくれ。できればメーナたち、やつらの被害者たちの仇もとってほしい」
「ああ、そうだな」
「任せて」
こうして、俺たちは決意を新たに領主殺害に向かうのだった。
「さてと、それじゃ、決行だけど、実は俺らはいつでも行けるんだよ。だからお前ら次第だな」
「だったら、早い方がいいな」
「うん、また被害者が出ても嫌だし」
「よし、なら、明日にするか」
「ああ、いいぜ」
「うん、私も、それでいいわ」
「よし、明日決行だ」
「「おおお」」
そして、次の日の夜、俺たちはついに作戦決行となった。
「ギウス、作戦は?」
「ああ、簡単だ。俺たちが地下を通って屋敷にいる兵士どもの相手をする。その間にお前ら2人は別ルートから領主の寝所を狙ってくれ」
「ボルダルたちもそこにいるの」
「ああ、寝所の手前には1つは部屋があってな、やつらはそこにいる」
「わかった、それでいいぜ」
「そうね、私たちはそれでいいけど、そっちは大丈夫なの」
「ああ、大丈夫だ、兵士たちなら俺たちだけでも問題ない」
「そうか、それじゃ、まぁ、後でな」
「おう」
それから俺たちはギウスたちとは別ルートで屋敷に侵入を果たした。
「こっちだ」
俺とミルファはギウスの部下の案内を受けて別ルートを静かに走っていた。
少しすると騒ぎが聞こえてきた。ギウスが動き出したようだ。
「向こうが動いたわね」
「ああ、このままいくぞ」
俺たちも数人の兵士たちを倒しながら進んでいた。
「この部屋だ、俺は入らないからあとは2人で頼む」
「任せてくれ」
「任せて」
そういって俺たちは扉を勢いよく開けた。
「おいおい、騒がしいと思ったら客のようだぜ」
「あら、ずいぶんとかわいらしい坊やとお嬢ちゃんだとこと」
そこには確かに巨漢と美女がいた。
「お前らがボルダルとメデゥッサだな」
「あら、私たちのことを知っているのかしら」
「ああ、大体はな」
「そうね、あなたたちが相当なゲスだということは聞いたわ」
「あら、ゲスなんて」
「言ってくれるぜ」
「ボルダル、あのお嬢ちゃんは私に頂戴、お仕置きが必要みたい」
「じゃぁ、男は俺がもらうぜ、殺すなよ、後で楽しむからよ」
「それはお嬢ちゃん次第ね」
なんてことをほざいていたが俺たちは無視した。
「指名みたいだから、あっちはミルファでいいか」
「いいわよ」
「そんじゃ、行くか」
そういって俺たちはそれぞれ一気に飛び出した。
飛び出した後、すぐにボルダルに切りつけた。しかし、さすがの歴戦の猛者ハードアクスを合わせてきた。
「おっと、あぶねぇ、早いなこいつ」
だが、俺の剣はそこでは終わらない。
「な、なんだ」
俺はただの剣士ではない、魔法を併用する魔法剣技の使い手、つまり、剣先から風魔法が発動、そして、その風はボルダルの体を切り裂いた。
これは俺が開発した物騒な技、『巻き割り剣』のもととなった技だ。
「ぐおぉぉぉぉう」
ボルダルはそう言って全身に来る斬られた痛みに悶えている。
「お前は多くの罪のない人を死なせてきた、その報いだ」
俺はそう言ってボルダルの首をはね落とした。
一方ミルファの方だが、一言でいうとひどかった。
なにせ、ミルファの魔法剣技は炎。
ミルファは最初俺と同様メデゥッサの鞭で受け止められた。しかし、そこから炎が上がりメデゥッサの鞭を両断そのついでに右腕も切断していた。
「あぉぉぉぉうぅぅぅ」
メデゥッサも暑さと痛みで悶えていた。
「被害者たちの苦しみを味わいなさい」
そして、ミルファの炎は次第にメデゥッサの体を徐々に少しずつ焼き続けていた。
「ぎゃぁぁぁぁぁ」
もはや、メデゥッサも人とも思えない悲鳴を上げ始めた。
「死になさい」
そういってミルファもメデゥッサの心臓に1突きを入れてとどめを刺した。
「お、終わったのか?」
先に終えていた俺は少し引き気味に尋ねた。
「ええ、終わったわ、そっちは、終わったみたいね」
「ああ、まぁな、えっと、次行くか」
「ええ」
俺はその時ミルファを怒らせてはだめだと思った。
それほど怖かったのだ。
そして、俺たちは再び勢いよく寝所の扉をあけ放った。
「な、何事だ、貴様ら、何者だ、こんなことして許されると思っているのか」
なんだかわめいているが俺たちは無視した。
というか見れば見るほど醜い奴だ。こんな奴に兄さんやみんなが殺されたんだと思うと本当に腹が立つ。
「俺の名はポルク、お前に殺された兵エリックの弟にして、お前に滅ぼされたハクミコ村の生き残り、兄さんと村のみんなの仇」
「な、バカな、あの村は絶滅したはずだ」
俺がそういってからミルファが続けた。
「私はミルファ、あなたの妾だったラナの妹、お姉ちゃんにしたことの復讐」
「あの女は、わしを裏切っておったのだ」
「「とくと味わえ」」
俺たちは声をそろえた。
「待ってくれ」
領主は最後まであがいていたが俺たちは聞く耳は持たない。
だから、領主の左側に立っていた俺は左から領主の首を斬り、右側に立っていたミルファが領主の右側を斬った。
こうして、俺たちの仇と復讐は終わった。




