第12話 本当の真実
新領主となってから2週間と2日が経った。
その間にミルファとの結婚が決まったり、魔道一族がやってきてメリナとの結婚が決またり、そうかと思えば異世界からユイアがやってきて、お風呂という文化をもたらした。
この文化、最初はミルファとメリナを含めた女性陣に好評だったが、俺も含めた男連中にも好評となっていた。
ギウスたちによれば訓練で疲れた体をいい感じに癒してくれる最高のものだといっていたし、ユイアが異世界の知識で作ったという石鹸はそんな男たちの泥などで汚れた体を洗ってくれると、女性陣から称賛されるほどだ。
実は、このお風呂は街にも作る計画がある。
とはいえ、石鹸をどうするかという問題があり、いまだ建設には至っていない。
建設といえば、屋敷の建設だけど、この間ついに建設自体は終わった。
あとは、内装を職人たちが頑張って作っているという状態だ。
そして今、俺は敷地内に新設した訓練場でミルファと木剣を使って模擬戦をしていた。
そんな俺たちをメリナとユイアが見学していた。
「……すごいです」
「……うん、2人とも動きが全く見えないんだけど」
2人がそんなことをつぶやいていた。
「……今日はこのぐらいにしておくか」
「そうね、そうしましょうか、それにしてもポルク、また強くなったんじゃない」
「そうか、ミルファの方こそ、強くなったと思うぞ」
俺たちはそう言ってお互いをたたえあっていた。
まさにその時だった。
「御館様、ミルファ奥様にお客様がお見えです」
屋敷の使用人がそういって、俺たちのもとにやってきた。
「客、だれ?」
「ミルファ奥様のご家族と名乗っておられます」
「えっ、私の家族?」
そういえば、俺がイレーネ姉さんに手紙を書いた時にミルファも家族に手紙を書いていた。
「わかったわ、それじゃ、えっと、ああ、そうか……汗を流したら行くから少し待ってもらって」
「かしこ参りました」
そういって、使用人は訓練場を出て行った。
「ごめん、なんか家族が来たみたい。そうそう、紹介しなくちゃいけないからポルクも汗流してきてよ」
「ああ、わかった」
そういわれて俺も風呂に向かい簡単に汗を流して、出たらメリナと使用人が待っており、強制的に着替えさせられた。
「変な恰好ではミルファさんのご両親に失礼です」
「お、おう」
着替え終わって謁見の間につくと、同じく着替えたミルファが入ってきた。
「ちょっと、緊張する」
ミルファは緊張しているようだった。
「俺もだ」
それから少しして、使用人がミルファの家族を連れてやってきた。
やってきたのは40代ぐらいの夫婦と20代のはかなげな表情をしたミルファによく似た美女、そして、その美女のそばで、あたりを威嚇している少年だった。
「お、お父さん、お母さん、それに、お、お姉ちゃんにシンまで」
ミルファはお姉さん、確かラナさんまで来ているとは思わなかったのか驚いていた。
「ミルファ、お前、心配させて、なんだ、この手紙は」
そういってミルファを見るなり怒鳴り声を上げたのは、ミルファの父親だ。
「えっと、ごめんなさい、でも、私、どうしてもダルモアが許せなくて」
「あの領主が許せないのは俺も同じだ。だがらといって、復讐なんて何考えているんだ」
かなり怒っているようだ、まぁ、当然だよな、娘が危ないことをしようとしたんだからな。
「それに、なんだこの新しい領主と結婚するだと、俺は反対だ」
そういって玉座に座る俺を見てにらみつけてきた。
「まぁ、お父さん、そんなに怒らなくても、でもね、ミルファ、本当に心配したのよ」
「ごめんなさい」
そんな母親の言葉にミルファも素直に謝った。
「それで、その人が新しい領主様なの」
「うん、ポルクっていうの、ポルクはね私がこの街に向かっている時に知り合って……」
それから、ミルファは俺に許可を得てから簡単に家族に俺のことを話した。
「……えっ、そんな、ひどい」
「……うっ」
ミルファの母親は俺に同情し、父親は先ほど言ったことを思い出してばつの悪そうな顔をした。
「……ポルク」
俺がそんなミルファの両親に気にしなくていいと言おうとしたところ、突如ラナさんがポツリと俺に名を言った。
「お姉ちゃん!」
それまで両親の後ろに隠れていたラナさんが突如前に出て俺の顔をじっと見つめてきた。
「え、えっと」
「お姉ちゃん、どうしたの」
ラナの行動がよくわからずミルファが近づいて行った。
「……エリック様」
「!!!」
突然ラナさんから兄さんの名前が出た。
「えっ、どうして、兄さんに事が……」
俺は驚愕した。
そして、俺が兄さんといった瞬間、ラナさんが涙を流しながら俺にゆっくりと近づいてきたのだった。
「……エリック様、ああ、ああ」
もはやうわ言のようであった。
そして、触れられそうなくらい近づいた瞬間、なんと、ラナさんが俺を抱きしめてきたのだ。
「えっ」
「なっ」
その場にいた全員がプチパニックだ。
俺はどうしたらいいのかわからないし、ミルファを含んだ家族は固まっている。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
すると今後はなぜか急にラナさんが誤ってきた。
「ど、どうなっているんだ、これ」
俺がそういうとようやくミルファが起動して俺のもとにやってきた。
「お姉ちゃん、どうしたの、なんで、ポルクに謝っているの、ポルクのお兄さんを知っているの」
「エリック様」
何か兄さんとあったみたいだ。
それから、しばらくして、ようやくラナさんが俺から離れたくれた。
「ごめんなさい、ポルク君、ごめんなさい」
「えっと、ラナさん、だっけ、えっと、兄さんを知っているんですか」
俺は尋ねてみた。
「ええ、知っています」
それからラナさんはゆっくりと話し始めた。
ラナさんと兄さんは、前領主ダルモアの屋敷で知り合っていた。
当時のラナさんはダルモアの妾として、屋敷内で生活していた。
そこに護衛としてやってきたのが兄さんだった。
その時、ラナさんはれにもれず兄さんに恋をした。
ここまではよくあること、しかし、ここで俺を含む兄さんを知る人物たちが驚愕した。
なんと、兄さんもまた、ラナさんに恋をしたそうだ。
といっても、領主の妾とただの私兵の1人、当然結ばれることはなかった。
でも、2人はたまにあって話をするだけでよかったそうだ。
そんな2人の関係はそう長くは続かなかった。
そう、領主にバレたのだった。
その瞬間ダルモアの嫉妬を受けた兄さんは処刑され、ラナさんは地下牢に入れられたそうだ。
「まさか、兄さんが、信じられない」
「あ、ああ、あいつが、そんなことをするなんてな」
「でも、真実なんだろうな、ラナさんがうそを言っているとは思えないしな」
「ああ、そうだな」
ギウスも俺と同意見だった。
「エリック様とは、ミルファちゃんとポルク君のお話もしました」
「えっ、私たちの」
「ええ、私とエリック様は結ばれない、だから、ミルファちゃんとポルク君が一緒になってくれたらいいねって、そんな夢を描いていたのよ」
「兄さん……」
俺は兄さんを思い出していた。
聞けば兄さんはよく俺の話をしていたということだ。
「だからね、ミルファちゃん、私は、この結婚すごくうれしい、ポルク君、ミルファちゃん、私とエリック様の夢をかなえてくれてありがとう」
そういって、ラナさんは満面の笑顔を見せてくれた。
それは、本当に美しい笑顔だった。
「ああ、くそ」
そこまで聞いて黙っていたミルファの父親がやけくそ気味でいった。
「娘2人が認めた男を俺が認めないわけにはいかないじゃないか、ポルクといったか」
「えっ、あっ、はい」
「もし、ミルファを悲しませるようなことしやがったらただじゃ置かないからな」
「は、はい」
それからは和やかなもので、ミルファは久しぶりに家族とのだんらんを楽しんだ。
そして、それから数日ミルファの家族はこの街に滞在してから、麦の収穫があるということでいったん村に帰っていった。
もちろん、その際馬車の手配と護衛の手配は忘れなかった。




