古宮 祐大という人間
古宮 祐大。
平成11年で、確か2月13日に生まれているはず。
だから水瓶座で、兎年。
身長は推定172~174cm。
体重と座高は流石にわからないけれど、多分体重は60台ではないだろうか。
肥満ではないし、そこまで筋肉質とは思えない。
クラスでの立ち位置は中庸、といったところだろうか。
私自身、上手く区分けできるほど"あれら"に慣れていないから、実際は違うかもしれない。
部活は特に加入しておらず、委員会も未所属。
SNSの『Lain』のIDはYuudai110213。パスワードは0213。
『Twittter』のIDはHurumiya0213。
Lainのほうはまだだが、Twittterのほうは既に投稿内容やフォローとフォロワーの傾向を大まかに把握。
もう少し時間があれば趣味趣向も詳しく読み取れたかもしれないが、今は時間がない。
私の記憶にある彼の情報を総動員し、書きとめ、念押しのように頭にインプットする。
『見間違い』、『他人の空似』、『瓜二つな双子』、或いは『生き別れた双子』...
まあ、考えれば違う可能性は無きにしも非ずだが、こればかりは仕方あるまい。
学校に行く準備をしなければ。
もし、昨日の彼が古宮であるならば、今日は大事な日になる。
昨日の彼は私の顔を見ている。
そして、私も彼の顔を、詳細ではないが大まかには見て、そして当たりを付けている。
古宮が例の殺人鬼ならば、今日、私に"物理的に"口封じをするか、或いは脅して口封じするしかないのだ。
今日、確実に、彼からアプローチが来る。
心が躍る。
今までは、まともな手がかりすらなく学校や塾、家のある新島市から古厨市に通っていたが、
今日からはそんなことをしなくてもいいのだ。
いや、もしかしたら危険を排除するために学校内で殺してくれるかもしれない。
それとも下校途中か?
いや、今まで捕まっていない以上、彼は警戒心が強いはずだ。
素知らぬフリをして古厨市に向かって、殺されてあげるのがベストか?
――――――違う。どれもイマイチだ。
何か、確実は案を出さねば。
これは、絶好の機会なのだ。
逃すわけにはいかない。
もし、たとえ、仮に、時間が大幅にかかったとしても、私が殺される策を取らねば。
では、どんな策が一番確実だろうか?
まず前提として、彼と昨日のことを共有しなくてならない。
次に、彼と二人きりにならなくてはならない。
そして、彼が殺そうと思ってくれなくてはならない。
考えろ、考えろ、考えろ。
まず、彼を待つだけというのは失敗の可能性がある。
私がなんのアクションもしない場合、恐れて何もしてこない無害な存在だと思われたらたまったものではない。
だからこそ、私の方から仕掛けなくては。
次に、私と二人きりになる状況を作ってあげねばならない。
...私はあまりクラスに溶け込めていないが、幸いにも古宮はクラスの人気者ではない。
最後に、どうすれば、彼は私を殺そうと思うのだろうか。
こればかりは彼と話をせねばわからない。
昨日も明らかに証拠をつかんでいる私を見逃したあたり、きっと彼には何か条件があるのだ。
聞きださなくては。
3つの条件を満たして、何か、良い策は――――――――
嗚呼、なんだ、人間には、おあつらえ向きなものが、あるじゃないか。
もはや悟りというよりメンヘラでは・・・?
2話連続投稿します。