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ゲストが異世界にログインされました。  作者: 「葵流星」
希望への逃避
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希望への逃避

第30話 クエスト・クリア

再び、甲板に戻った。


(…仕方ない、とりあえずこの船の上で騒いでいればイリスは、出て来るとは思う。例え、人質に取られているか男に犯されているとしてもだ。…一体、どこにいるんだよ…イリス。)


とりあえず直人は、海の中から這い上がってきた体で乗船した感じにするため、這い上がりやすいところに待機する。

…いくらイリスに能力についてばれないようにするためとはいえ、もの凄く面倒だった。

そして、また…時間を戻すのではあるが…まず、右手の親指か人差し指か中指のどれかで左腕を左手の甲に向けてなぞった上でロープを掴みこの船に這い上がり、ナイフを取り出すか、火炎瓶で戦わなければならない。


(よしっ、せえの!)


一瞬船の揺れによりバランスが取りづらくなったが、何とかしてロープを掴み船に上がった。


「なっ!」

「おい、てめえどこから来やがった!」

「…遠くからだ。」

「さっさっと、突き落せ!」

「いや、待ってくれないか?」

「どうした、溺れたのか?」

「いや、そうじゃないんだ。」

「おい、とりあえず乾いた布をコイツに持って来てやれ!」

「おっ、どうした?なんだ、海兵になりたいのか?」

「ちげえよ、びしょびしょなんだよコイツ!

「あいよ、持ってくるからそこで待ってろ!」

「まあ、そのだな…風邪ひくから何か温かいもの持って来てやるからそこに座ってろ!もうじき、あいつらも帰って来るからな、ちょうどよかった。」

「…。」

(…ダメだ、この人達優しい。)


「…何やっているんですか、このアホ直人おおおお!」

「ん?なんだ?」

「…おい、誰だこの船に娼婦呼んだやつ?」

「それとも、港から女連れ込んだのか?」

「それにしても、物凄く若いな!」

「一体、どうしてまた?」

「にしても姫騎士くっ殺とは…とんだゲス野郎に違いねえ。」

「なっ、くっ殺?」

「…さては、呼んだのてめえだな?」

(アホはお前だあああああ!無いやってるんだよ…。)


声のした方向にはイリスが居た。

探して見たけどいなかったのは、舟に隠れていたためであり見つからないようにしていたためであったのだろう。

しかし、もう形骸化してしまった。


「直人、遅いですよ!まったく、いつまで私を待たせて!」

「おい、坊主。あの娘は誰なんだ?」

「知りません、存じません…初見です。」

「ああ、そういうことか。おい、みんなその娘はこの坊主の連れだってよ!」

「いえ、だからその…そんなんじゃ…。」

「そうですよ、直人!何で私の方に目を合わせないんですか?」

「ははは、ずいぶんと気に入られたな?初めての体験でこうなるとはな、はは。」

(…しまった、マジがないなら初見もおそらく言葉として無いんだ。)

「まったく…もう行きますよ!」


イリスは、そう言うと舟を切り離して着水した。


「なっ、おい…坊主?」

「すいません、一つお借りします!」

そう言って、主砲である連装砲の方へ走る。

「一体、何なんだよ…?」

「おい、なんか焦げ臭くないか?」

「ん?ああ、本当だ。」

「…はあ、はあ、聞いてくれ貨物室で火事だ!」

「わかった、すぐ行く!」

(…それも、俺のせいだよな。)

「直人、早く!」

「わかった、とにかく船から離れて!」

「わかりました、あなたは?」

「跳んで行くから拾ってくれ!」


そう俺は、イリスに伝えまた世界を止める。

(…まずは、爆薬に導火線を差し込んでこの砲の中に…それで、もう一つの砲にはオイルを流し込んでと…ひとまずはこれで…次にあの煙突か。)


煙突に登り、僅かな隙間から爆薬を入れて導火線に火を付ける。


「これで…よしっ、火は火炎瓶の矢と同じ感じで燃えていないな。」


煙突から降り、再び主砲に向かい導火線に火を付けた。

煙突の導火線は、火の付いたまま俺が手を放した時に動きを止めたので時間を戻せば落下してそのまま爆発するだろう。


「…結局、着水かな?」


船を横断するように助走を取るようにする。

そして、時を元に戻すと同時に俺は走り出した。


ドボン


「直人さん、早く!」

「ああ…。」


イリスのいる小舟に乗り川を渡る。

すると、突如として轟音が鼓膜を思いっきり叩き付けて辺りが白くなった。

おそらく、仕掛けたダイナマイトが正常に爆発したのだろう。


「うっ!」

「…。」


慌てて目を閉じたが、まだ目は熱かった。


しばらくして、舟は陸にぶつかった。


「…着きました。」

「ああ、降りよう…。」


目の前には、壁があった。

それも憎らしいほど薄い壁が…。


「はああああああああああああああ!」


イリスは、その壁を壊し俺とイリスはその中に入っていった。


「…あの、直人さん?」

「ん?どうしたのイリス?」

「いえ…燃えていますね?」

「…そうだね。ちょっと、疲れた。」

「聞いてますか?」

「ああ、聞いているって…それで何なんだよ?」

「…まあ、いいですよ。私はまだあなたを信じてはいませんが信頼しています。」

「…ははっ。」

「何か面白いですか?」

「いや…なんでもない。あのさあ、ここからどう行けばいいのかわかるの?」

「はあ…そんなことですか…。それくらいわかりますよ、だってここが私の故郷ですもの。帰り道なんて魔法を使わなくてもわかりますよ。それに、ほら!あそこにお迎えが見えますよ!」

「…騎馬隊?」

「ええ、白馬の王子様とは言えないですけどね。」

「暗くてよく見えないな。」

「もうすぐ見えるようになりますよ。もうすぐ夜明けですからほら、見てください日が登りますよ。」


それは、綺麗な光景だった。地平線の向こうから何も遮る物もなく日はゆっくりと登り空もそれに呼応するように色を帰って行った。

そして、イリスの言っていたお迎えの姿もはっきりと確認できた。


「…眩しいですね…もう魔法を解いてもいいですよね?」


そう言うと、イリスは俺の方に向き直った。


「改めまして、ようこそ救世主様。そして、ありがとう高月直人。」







なろう版「ゲストが異世界にログインされました。」はこれにて完結致しました。

高月直人は、これからイリスと共にマリアさんの元に向かうことになります。

もともと短編作品のはずでしたが…予想より長くなってしまいました。

またこの作品は「文系だけど異世界で活躍できるよね?」の対となる作品として執筆もとい「日本政府所属?異世界航空自衛隊です!」の合間に息抜きとして書くための作品でした。

とはいえ、それも第八話目までの話でその後は、他の作品と同じように書きました。

あと導入、プロローグにつきましても「文系だけど異世界で活躍できるよね?」と一部同じ点があります。かというのも、この作品と文系だけどの時間軸が同じだからです。

それでは、またどこかで!ここまでの付き合っていただきありがとうございました。

二月某日 葵流星


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