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赤道  作者: につき
9/20

連鎖

どろどろの路上生活者の絶望に

差し出された一本の水とはなにか


絶望は闇に親しく

夜明けの光で揮発する

それは花粉の飛散するように

PM2.5の街を席巻するように


あるありふれた朝の絶望が

彼をして彼女をして

終末に向かわせる

彼らは例外なく空腹だ

魂は渇ききっている


逆光の少女が

差し出したのは

330mlのミネラルウォーター

その透明は

ひび割れた唇を潤し

強張った舌を速やかにほぐして

空洞となった消化器を目覚めさせる

つま先まで実感が満れば

魂の暗渠より

陽炎のように立ち上るものは……

食欲!

生きる今の頂点への衝動!

何物にも奪われることのないおまえ自身!

始まり!

曇り空を覆う死に対峙する爆発!

身の内で水蒸気は炎となる

絶えざる連鎖よ

人間はやはり水から始まるのだ

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