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共鳴
詩人の魂は そのまなざしを得て 語り始める
夕暮れ 足元に灯る明かり 校舎を透ける淡い空
おさなごのこえ 緩やかに棚引く炊煙 密やかな足音
まなざしは 散らばりながら わたしの何処かと線を結ぶ
すべてたちの表情は 軽やかな広がりと 重苦しいうずくまりとなって
美しいひとの 美しいように 反射する わたしの中へ
合わせ鏡のように 反射する対話として
姿のない 存在のわたしを なんども透過する
決して触れることのできない 冷徹のコアへと
すべては表情として 渦を巻いて やがて落ちていく
存在の重力によって 形を与えられ
形によって まなざしを得
魂の招く方へと 真っ暗な けれど懐かしい穴の中へと
そして重力は引かれあう
わたしの中の立ち入れない領域 絶対的な孤独の塊が
同質の孤独を求め 遠吠えするように 鳴いている
すべては このように鳴いている
始まりを止めない 潮の響きのように
花たちすら知らない 虫たちの羽音のように
嵐に唸る電線として
静寂に潜む耳音として
思考の喧噪の中でも はっきりと感じる その共鳴を探している