哲子ケータイを支給される
「はい、これ」そう言って先輩が私にケータイを差し出す。
「いくらうちが貧乏でもケータイくらい持ってます」私はポケットから自分のケータイを取り出してみせる。
「貧乏なんだ」
「哲子ちゃんってばカワイソ〜〜」
「うちはお金に困ってないぞ」みかかさんは得意気にそう言った。
「いや、これは普通のケータイじゃないのよ」みかかさんといくるみちゃんも同型の自分ケータイを取り出して私に見せてくれる。
「あっおそろいですね」おそろいのガラケー。
「あっ今ガラケーだって思ったでしょう」
「チョット思ってしまいました」
「素直でよろしい」
「このケータイがただのケータイではないことはさっき言ったわよね」
「はい」
「このケータイはただのふかがわばすたーずの会員証というわけではないのよ」「実は‥」
私はゴクリとつばを飲む。
「敵を攻撃したりタイムトラベルしたり出来るのだ〜」
「はい?」
「先輩、質問いいですか?」
「どうぞどうぞ」
「敵って何ですか?」
「ふかがわ」なるほど、ふかがわばすたーずですもんね。
「ふかがわって何ですか?」
「東陽町を侵略する悪い奴らよ」
「非合法的な」
「そう」
「得体の知れない?」
「まぁな」
「わかりました」
「よろしい!」
「タイムトラベルは?」
「時間を行ったり来たりできる」
「へぇ、便利だな」
「し、信じてないわね?」
「まぁ、いいです。いただけるんなら喜んでいただきます」私は頭を深々と下げケータイ電話を受け取った。
「肌身離さず持っていること!い〜い」
「わかりました」
「もし無くしたりしたらすぐに連絡して欲しい」
「はい」
「爆破するから」
「ば、爆破」
「取扱に注意するんだゾ」そう言って笑う先輩。どこまで本当だか、私全くわからない。