第1話
採用通知が今頃来た。
いわゆる不景気とやらで、就職活動をもう1年しないとダメかなぁと思っていたら、封筒の表書き大きな文字で採用通知と印刷されていた。差出は“悪の素株式会社”とある。味の素なら知っているのだが、全然就職活動をしたことのない会社なのだが。
悪戯にしてはよくできているということで、封筒の中身を読んでみる。
「松田皆子さま。
突然のお手紙失礼します。悪の素株式会社で
ございます。弊社は小さな目立たない会社なので、
あなた様からの新規従業員ご応募へのエントリー
はございませんでした。しかしながら、やたら数
だけは多い弊社の人事担当者及び従業員からの情
報によれば、弊社にふさわしい人材と判断し、弊
社から無試験にて採用したいと思います。
弊社にて就労の意思がございましたら、下記の
方法で弊社にアクセスしていただけますでしょう
か。
ケーブルテレビのVODシステムにて、「不思
議なミナコ」という番組があります。放送中に画
面の四隅と中央部に星が出ますので、出て数分以
内に画面の5つの星が映っている部分を触ってく
ださい。」
・・・・だって。
幸い私の部屋にはケーブルテレビが来ているけど、このような使い方をするとは知らなかった。というよりVODってシステムがあったのね。衛星放送とは違って双方向とやらのシステムらしいけどね。VODで「不思議なミナコ」を探し出してみると、アダルトビデオなのね。この中に映っているミナコって、顔は綺麗かもしれないけど、大柄でデブだよぉ。
なんで同じ名前なんだろうと、再生していたら・・・確かに5つの星が・・・黄色の星が5つ画面に映ったけど、5つの星をさわったら・・・・「松田皆子さま、エントリーの練習は成功しました。この次は赤い星を5つ映しますので、同様に触っていただけますか??」・・・だって。
ご丁寧にテストもしてくれたわけね。じゃ、さらにアダルトビデオ「不思議なミナコ」を再生すると、確かに赤い星が5つ出たんだけど。黄色い星同様に触ってみると・・・・その瞬間はなにもおきなかった。
いわゆる悪戯かなぁと思ったけど時計の針が5秒を経過する前に・・・・・恐ろしいことがおきてしまったのであった。