川姫
これは選択肢の答えです。百三十三話を読んでいない方はそちらを読んでください。
「オレは川姫を取る」
お雪には悪いが、自分に嘘はつけない。お雪はいい奴だが、それだけのことだ。
「タクマ……ありがとう」
お雪は最後にそう呟き、煙のように消えていった。後悔がないかと言えば嘘になる。
守ってやれなかった自分に腹が立つが、月読命は倒したのだ。それだけで十分のはず。
「タクマ……これで良かったんじゃな?」
「あぁ。お雪もきっと何処かで見守ってくれている筈だ。さぁ、じいさん。オレ達も黄泉に戻ろう」
壮絶な戦いを繰り広げた亜空間――もう二度とここに来ることはないだろう。
◇◇◇◇◇◇
黄泉に戻ると、懐かしい顔触れが立ち並んでいた。
「タクマ、お雪は?」
「甘寧……残念ながら守ってやれなかった……」
「そうか……」
「タクマ殿……ご無事で!」
「義経……世話になったな」
その後ろにモジモジと項垂れる川姫――オレは甘寧と義経の間を割って、川姫の前に立った。
「タクマさん……」
「川姫……」
「お帰り……」
「あぁ」
抱き締めた川姫の温もり……これで全てが終わったのだと改めて実感した。
「タクマ殿、これを!」
突然、肩を掴みあげる義経。オレは川姫を解放し、視線を義経に向けた。
「うぐっ……」
強烈な義経の拳が腹へと突き刺さる。恐らくお雪が死んだのは、オレの所為だと悟ったのだろう。
「義経……」
「タクマ殿、ご無礼。ですが、これでさっぱりしたのではないですか?」
「さすがだな。義経よ」
「いえ。それでは某達は旅に出ます故、お達者で」
「そうか、行くのか」
義経と弁慶は深々と頭を下げ、旅立っていった。
「タクマ、俺様達も行くぜ。孫権が待ってるからな」
「そうか……孫権によろしくな」
甘寧と凌統もまた深々と頭を下げて、旅立っていった。
ここに残されたのは川姫と真琴――
「さぁ、お前達は魔界に案内しよう」
短いようで長かった黄泉での出来事。それを胸に刻みながら、使い込まれたDDをそっと大地に置いた。
「タクマさん、いいの?」
「あぁ、オレにはもう必要ない」
そこから遠ざかると己の運命を悟ったのか、DDは音もなく砕け散った。
もう黄泉にも用はない。魔族は魔族。妖怪は妖怪で生きて行けばいいのだから。
長い間読んで頂き、ありがとうございました。これにて、この物語は完結となります。もし、よろしければ、もうひとつのエンディングも読んでください。




