第九十話 逆らえぬ運命
「バトルフォース展開だ――っ!」
水虎 LV28 ランクA 特性 水吸収
HP385 MP68
攻撃力86
素早さ68
1 クリティカル
2.3 通常攻撃
4 ミス
5 黄金の爪
6 津波
まずは水虎だ。そして、続けてシーサーペントもバトルフォースを展開した。
シーサーペント LV26 ランクA 特性 水に強い
HP259 MP29
攻撃力112
素早さ63
1.2 通常攻撃
3.4 ミス
5 巻き付き
6 鋭い牙
二体のバトルフォースを展開すると、川姫もそれに続いた。
「バトルフォース展開よ! 真琴、お願い」
「容易い御用だ!」
ラクシャサ(真琴) LV21 ランクB 特性 遊び ものまね
HP255 MP65
攻撃力60
素早さ65
1 貫通パンチ
2 長い髪
3 通常攻撃
4 ミス
5 遊び
6 ものまね
普通に考えたら戦力はこちらが上だ。しかし、件は物理攻撃半減という特性を持っている。つまり、水虎の津波と真琴のものまね以外は威力が半減するということだ。単純にHPが倍の1000あると考えた方が無難だ。
それはいいのだが、あの予言……目の前で見せられた悲劇。三体とも死の宣告を喰らったら人溜まりもない。要は、予言が的中する前に倒せばいいのだが……。
考えていても埒があかない。早いとこコイツを倒して、甘寧達を生き返らせないとな。
「お雪、悪いが甘寧と凌統の肉片を集めてくれ! 件を倒してから生き返らせる」
「そう来ると思ったわ。任せておいて!」
お雪はオレが言う前に、バラバラになった甘寧達の体の回収を始めていた。流石、気の利いた奴だ。
「そうは問屋が卸しませんよ。小生の前で勝手な行動は慎んでもらいたい」
「キャァァァ!」
件は甘寧達の体を回収するお雪に襲い掛かり、その腕に抱き込んだ。
「見たところ、この雪女に戦闘能力はないようですね。いい人質ができました」
件はそう言うと、口笛を鳴らし部下らしき妖魔を呼んだ。
「大事な人質です。大切に保管するのです」
「はい、件様」
何て事だ。一瞬の隙をついてお雪が人質に捕られてしまった。
「貴様……こんなことしてタダで済むと思うなよ」
「ほほぅ。いいですね、その怒った顔……。今日は楽しく過ごせそうです」
「行け! 水虎よ、叩きのめせ! 徹底的にな」
「御意」
「いいでしょう。相手になります」
オレは奥歯を噛み締めながらDDを振った。出た目は3の通常攻撃だ。
水虎は件を掴み上げ、地面へと叩き付けた。しかし、滑りの体液の所為かダメージは今一つだ。件に43のダメージを与えた。――HP457/500――
「こ、これが物理攻撃半減……」
「やれやれ、期待外れですね……この程度、痛くも痒くもありません」
先手必勝といきたいところだが、そうもいかないようだ。予言を恐れていたのでは話にならない。
「真琴、お願い」
川姫が振ったDDは、1の貫通パンチを示した。
真琴は件の目の前に立つと、ペロリと舌を出しながら素早く貫通パンチを繰り出した。しかし、そのパンチは貫通どころか、掠めるだけにとどまった。件に34のダメージを与えた。――HP423/500――
「ボ、ボクの貫通パンチが効かない……」
「真琴、ガッカリするな。コイツの体液はあらゆる打撃を半減するようだ」
「小生の強さを理解したようですね?」
「理解はしたが、認めてはいない。最後に笑うのはオレ達だ。行け! シーサーペント!」
地上に転がったDDは、2の通常攻撃を示した。ミスが出なかったのがせめてもの救いだ。
シーサーペントはズルズルと巨体を引き摺り、件に迫った。
「来るか? 裏切り者め」
「黙れ!」
シーサーペントは妖艶な目を光らせると、件に巻き付きながら噛み付いた。だが、やはりダメージは半減……56のダメージしか与えられなかった。――HP367/500――
「シーサーペント、気がすみましたか? 裏切り者には死あるのみです。小生はクラーケンのように甘くはありませんよ。さぁ喰らいなさい、死の宣告を!」
件がそう言うと、シーサーペントの周りに紫色の霧が纏わりついた。
「これで、お前に死は約束されました。次のターンが楽しみですね」
件は不敵な笑みを浮かべると、自らの体液を舐めた。
「シーサーペント……こんなことになるなんて」
シーサーペントはクラーケン戦で一度倒れ、勾玉の力により生き返っている。つまり、もう二度と生き返れないのだ。
「主よ、そう嘆くな……。私に考えがある。死の宣告を打破してみせよう」
シーサーペントは蜷局を巻きながら、鋭い牙をぎらつかせた。




