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回避不可  作者: CB750
4/4

第4話

「…っ、いやだ、ぁ…… 」


もう、わけがわからなくて、苦しくて声も出せず、涙だけが流れた。


利昭さんが鳴咽を漏らしながら僕を抱きしめた。


先生は話を続ける。


「現場の爆発が激しかったようで…身元の確認については歯の治療記録で照合しました。

お父様お母様はお体の損傷が激しいですが、お嬢様は比較的きれいです…ご確認なさいますか。」


ぴくっ、と利昭さんが震えた。


「……っ、両親が後から来るはずなので…それからでもいいですか。」


「大丈夫です。お揃いになったらナースセンターに声をけてください。」


先生と看護士さんは、利昭さんが頷いたのを確認すると「では、一先ず失礼します」と静かに退室していった。


おじいちゃんとおばあちゃんが到着するまでの間、利昭さんはずっと僕を摩っていてくれた。


**************


「優太、利昭!」


おじいちゃん、おばあちゃん…二人とも青白い顔だった。


「…ふぅっ……」


ずっと泣いていたけど、二人の顔を見たら、また胸が詰まって、ボロボロ涙が激しくなった。


「先生からは、歯型で照合してるけど会って確認するかどうかって聞かれてる…損傷が激しいらしい。確認に行くとしたら俺と父さんで、母さんは優太とここで待ってて欲しいんだけど、いいかな。」

「頼みます。」


**************


遠くで男の人が泣いてる。

だんだん近づいてきたそれは、白衣を着た人とスーツを着た人、彼らに凭れるように歩いてくる利昭さんとおじいちゃんだった。


「あぁ」


その様子を見ておばあちゃんが僕の肩に突っ伏して泣きだした。


「母さん。兄貴達に会ってきたよ。兄貴と陽子さんはっ、潰れてた、けど、美樹ちゃんを、守ってたっ……」


「西警察署の水上です…このたびはご愁傷様でした。事件現場は爆発が激しく、お父様、お母様はお体の全てを見つけることができませんでした。申し訳ありません。」


「このたびはご愁傷様でした…担当医の中川です。お嬢様の頭部に傷が少なかったのは、お二人が身をていして庇ったからでしょう…。」



ああ、もう、どうあがいても否定しようが無い。



これは、現実だ。

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