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回避不可  作者: CB750
2/4

第2話

おじいちゃんの電話から2時間くらい経ったころ、家の前に車が止まる音がした。


♪ピンポーン


利昭さんだっ!!

僕は大急ぎで玄関の鍵を開けにいく。


「優太。」


利昭さんの顔を見てホッとしたとたん、みんながどうなったのかという不安と、一人で留守番していた寂しさがまぜこぜになって、涙が滲んできた。


「遅くなってごめんね。一人で頑張ったね。」

「…うん……。」


利昭さんに頭を撫でられて、僕の目から涙がポロッと落ちた。


「…外にタクシーを待たせてあるんだ、すぐ病院に行こう。戸締まりしてあるか、一緒に部屋を回ろうか?」

「ううん、大丈夫。外が暗くなったから、もう雨戸は閉めた。あと、部屋の電気を消すだけ。」

「そうか。外は寒いから上着を着ておいで。外で待ってるよ。」

「わかった。」


目元を拭いつつ大急ぎでリビングに戻り、念のため戸締まりをチェックして、電気を消した。

こんなときでも、いつもどおりに戸締まりできる自分に驚きつつ、上着を掴んで外に出た。


玄関の鍵を閉めてタクシーのところを見たら利昭さんはいなかった。

不安になり周囲を見回すと、お隣りのおばちゃんと話をしていた。


「…というわけで、これから優太と病院に行きます。病院名と私の携帯番号はこれですので、何かありましたらご連絡いただけると助かります。よろしくお願いします。」

「わかりました。こちらは任せてください。」


「利昭さん。」


強張った顔をした隣のおばちゃんが振り返り、僕に気付くと泣きそうになった。


「ゆうくん、心配ね。早く行っておいで…。」


おばちゃんは涙声になっていて、僕はまた涙が出てきて、頷くことしかできなかった。


**************


利昭さんとタクシーに乗り込むとすぐに車は走り出した。


「お待たせしてすみません。」

「いいえ、気にしないでください。本郷総合病院までは20分くらいですよ。」


ときどき無線から音が聞こえる以外、車内は静かだった。


利昭さんはずっと僕の手を握ってくれていたが、その力はとても強かった。


「手、痛い。」

「あぁ、ごめん。」


力を緩めてもらい利昭さんの方を見ると一瞬目があったが、それ以上何も言わずにすぐ前を向いてしまった。


…胸騒ぎがした。


心臓がきゅっとなった。


お母さん達に、会えるんだよね…?


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