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短編集

オセロ

作者: 毛賀深輪

なんだからしくない小説を書いた気もしたかな。

というか、普段書くやつは人が死にすぎwww

僕には悩みがあった。



「おっす!おはようポン太!」


「・・・うん、おはようタカピー・・・」



 この悩みはきっと他の誰かには分からないものなんだろう。



「あ、ポン太!アンタ早くアンケート提出してよ!まだ出してないのアンタと、かなっぺだけなんだから!!」


「ごめん委員長。すぐに出すよ・・・」



 ちなみに、その悩みとはあだ名の事ではない。むしろこのあだ名で呼ばれていることは、こんな僕にとってのせめてもの救いだ。


「あ、かなっぺ!あなたまだアンケート出してないでしょ!?」


「・・・んぁ?・・・ああ、おはよ~モモちゃん。朝から元気ですにゃ~・・・」


「その呼び方やめてってば・・・!というか、寝ぼけてるのあなた!?」


「はい委員長、これ」


「あっ、ありがとう・・・ほら、ポン太は出したよ!!かなっぺは!?」


「明日だすよぅ~~・・・zzz」


「寝るなぁ!!!」



 単刀直入に言おう。僕は自分の本名にコンプレックスを抱いている。そう、つまり僕はネット用語で言うところの、『DQネーム』なるものを付けられた不幸児なのだ。



「・・・・・・タカピー、おはよう」


「おっす!雷太!今日も頭かっっったそうだな!」


「大きなお世話だ。頭が大空洞の男に言われたくはない」


「誰が脳内宇宙だ!!」


「それだと逆に想像力が豊かな人みたいだな」


「え、そうか?」


「いや、お前は馬鹿だがな」



 彼らがする他愛もない会話の中で、ちょくちょくあだ名で掛け合いをしているのに気づくと僕は、時折恨めしい気分になる。

 彼らは立派な名前を持っている。親の独りよがりではなく、子どもの将来を心から想い、健やかな成長を心から願い、真に与えられるべき名前を与えられた子・・・。僕とは大違いだ。

 そんな幸せな彼らが、自分の名前を蔑ろにし、あろうことか安直なあだ名で呼ばれているだなんて・・・僕には考えられないことだったのだ。



「あっ!!ポン太君ッ!!!」


 ガバッ!!


「えっ!?な、なに?かなっぺ」


「昨日の試しちゃバッテン見た!?」


「み、みてないけど・・・?」


「えぇ!?ダメじゃん!!昨日ダイエット特集やってたよ!?」


「あ、そうなの・・・?」


「そうだよ!!ちゃんと再放送みなよ!?じゃ、寝ますので!」


 バッ!!


「う、うん・・・」


「zzz・・・」


「なんなのこの娘は・・・?」


「いじめ・・・かな?」



 みんなのあだ名の多くは、自分の名前からもじられた物だ。でも僕の『ポン太』は違う。そもそも、僕の名前ならあだ名をつけるまでもないインパクトが元々ある。

 それでも『ポン太』というあだ名が開発され、クラスのみんなに浸透しているのはありがたいことだとは思っている。それが例え、『ぽっちゃりしているからポン太』であってもだ。



「あ、先生来たぞ!」


がたがたっ


 忙しなく席へ着く者、急いでマンガを机にしまう者、そんないかにも平凡を謳歌しているような生徒がたくさん詰まっている。そんな教室の中で、未だかつてホームルームという時間に対して溜息を漏らす男がいただろうか?

 レディズ&ジェントルメン、長らくお待たせしました。ご紹介しましょう、それは僕です。



「よぉ~し出席とるぞぉ~!」



 のっそのっそと脂肪を揺らして戸をくぐる中年教師の顔を、今日も恨めしく睨み付ける。そして同時に頭を抱えるのだ。

 どうしてこの教師は未だにホームルームで出席を点呼形式で取るなどという、古典マンガさながらのアンティークぶりを見せ付けてくるのだろうか。

その心無い行為が己のかわいい生徒を傷つけると考えたことはあるのだろうか。



「なんだ、最近欠席多いなぁ・・・まあいいや、1番から呼んでくからな~」


 ああ、今日も鬱屈した時間が始まる・・・。時間短縮や、教師のど忘れでこの悪夢タイムがすっ飛ばされるのは滅多にないことだと分かっているのだが・・・それにしても酷である。

 大袈裟だ?さすがにそんなもの慣れただろ?そんな浅はかなセリフは言ってもらいたくはないね。要はモチベーションの問題なのだ。

 毎日毎日他人との『差異』を公衆の面前でぶちまけられるその時間。誰かが内心では冷笑しているのではないかと疑心暗鬼に陥るその瞬間。僕のような人間にしか分からないそんな蹂躙劇に、慣れなどが訪れるなどと思ったら大間違いだ。




 さあ、下げる所までモチベーションを下げきった所で、今日も陰鬱な一日の幕を降ろそうじゃないか・・・・・・













「1番、高見沢桃たかみざわぴいち


「はい」



・・・・・・



「・・・7番、大蔵本怒槌おおくらもといかづち


「・・・」



・・・・・・



「・・・15番、尼ヶ崎鷹飛あまがざきたかぴい


「ういっす」



・・・・・・



「・・・19番、天条院金糸雀てんじょういんかなりあ

「ふぁい・・・」



・・・・・・



「んで、えーと・・・」


 

・・・・・・いやはや。

 

 しかも、出席番号が20番で最後だなんて・・・泣きっ面に蜂もいいところだ。これじゃあ格好の晒し者だな・・・。

 

全く・・・・・・やれやれだよ・・・。






「20番、山田太郎」

「・・・はい」


どうでしたでしょうか。

なんか現代社会を皮肉った感じの小説を書いちゃいました。って、なんじゃそりゃ。


でも、リアルに将来の日本がこんな感じになりそうで嫌だなあ。

DQネームをつけないと子どもがいじめられるようになってくるのかなあ・・・。


まあ、それ以前に結婚するところからスタートなんですが。



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