士気の低い王国と観察者
城に集められたのは5000の兵士たち。
かれらは敵国の侵攻から王都を守るために集められた。国王がダサい演説をして士気を下げるが、我々の国には世界でも名だたる剣士である勇者と美しい姫がいた。2人は恋人同士だった。
主人公は利口な性格をした冷静な少年、セラフだ。彼は勇者のことを知らない仲ではないが、彼と真鍮したいほどの仲でもない。そして王国に忠誠もない。ただの傭兵だ。彼は人間観察が好きだった。彼の考えることは、自分がどうやって生き残ろうか、或いはこの戦いをどこで鑑賞するのが楽しいかだった。
戦闘が開始する。敵は一斉に攻めかかってくるが、迎撃の指揮が降りても走り出したのは勇者とその弟子2人、そして守備隊長くらいだけだった。たった4人しか動かなかったことに周囲は唖然とする…セラフもまた、やれやれとおもいながら兵士団に紛れていた
が、勇者たちは少数で敵をバッサバッサと倒して敵陣に穴を空けていく。それを見たセラフは少しだけ面白いと思い、勇気を出して、後方から勇者に加勢する。
しかし多勢に無勢。勇者の体力は速効で底をついて敵に打たれてしまう。
他の3人も敵陣のど真ん中に囲われて直ぐに全滅しそうだ。
セラフは勝機なしと見て前線から1人抜け出して城に逃げ帰る。
敵軍の目が城に向き、いよいよ他の兵士たちも自分たちの危機を悟る。必死に抗うが、それでも士気と練度で負ける王国軍は劣勢だ。戦いが進むほど王国軍の士気は悪化する。
城に逃げ延びたセラフだが、とりあえず王様からは栄誉を認められ後方の防衛に移される。一方、姫様は勇者の死を嫌でも目撃し、自分も戦って散ると行って前線に向かおうとする。
王は亡命の準備を進めるために1人王室を離れる。兵が薄情なら王も薄情だった。僅かな護衛を連れて戦場に向かう姫を面白がった主人公は姫の後をついていく。姫は階段の途中で敵兵とぶつかり、あっさり死にそうになるがセラフに助けられる。
姫はセラフに自分を守るよう依頼をするが、セラフは拒否する。理由は、「この国のやる気の無さに失望した」と言い放つ。
これに対しては姫も反論のしようがなかった。
「先の戦いでは私も失望しました。まさか、兵士たちがあんなに腰抜けだったなんて...」
そう言って、姫は男に同情しようとするが、男は靡かない。
「あなたには悪いことをしました。でも、今度は私たちも戦います。ここにいる5人あまりの女たちも、決死の覚悟でここを守る意思です」
そう言って姫は自身が連れてきた女たちの方を見る。
しかし、女たちは姫の期待の目を見てひどく怯えていた。
「私は……もう、戦いたくありません」
と一人の女が言うと、他の女たちも次々と同じ言葉を口にする。
「あなたたち……」
姫は失望した。この期に及んで、戦う意思すらないなんて……。
そんな姫の気持ちを察して男は言う。
「王女様、これが現実です。あなたはその黄金の鎧でも頼りに一人戦うしかないですね」
王女は床に膝をついて泣き出す。
その様子を見て男も少し罪悪感を感じたのか、「ごめん、言い過ぎた」と謝罪する。
だがその実、彼は姫の反応を楽しんでいた。もとよりセラフに忠義はない。勇者たちに加勢したのは、少しは勝機があるかと思ったからだ。或いは少しだけ彼らの意志を尊重したいと思ったのもあるが。
滅びゆく王国のために、命をささげる気持ちは毛頭ない。
ゆえに、セラフは王国が滅びる様子を観察することに決めた。
だが、そんなセラフでも、姫様の外見は少なからず魅力に感じていた。
セラフは彼女の覚悟を問う建前を使う。




