第61話 工房座標の設定
第61話 工房座標の設定
「工房まで転移できたら革命的ですね」
エリアが地図を見ながら言って、四人は遺跡から工房までの距離を確認する。八十キロメートルもの距離を一瞬で移動できれば、二日間の山道を歩く必要がなくなる。レオンが測定機器を準備して、アルカナが出力の上げ方を検討している。
「では」
アルカナが装置を起動する。
「今日は工房への転移を試すわ」
「本当にできるんでしょうか」
エリアが尋ねる。
「分からないわ」
アルカナが答える。
「でも、試してみましょう」
「まず」
レオンが提案する。
「工房の座標を確認しましょう」
「座標?」
セレスが尋ねる。
「遺跡から工房への方向と距離です」
レオンが説明する。
四人は地図を広げる。遺跡の位置、工房の位置。
「方向は」
レオンが地図を見る。
「南西ですね」
「距離は」
セレスが計算する。
「約八十キロメートルです」
「八十キロメートル」
エリアが驚く。
「装置の限界の四百倍ですね」
「そうね」
アルカナが頷く。
「でも」
レオンが考える。
「出力を上げる方法があるかもしれません」
「試してみましょう」
アルカナが制御パネルを操作する。
『強度』ボタンを押す。
装置群の光が強くなる。
「小石で試してみましょう」
セレスが小石を用意する。
出力を最大にする。強度も最大にする。
小石を投げる。転移する。
四人は転移先を探す。
遺跡の外、遠くに小石が見つかる。
「距離を測りましょう」
レオンが測定する。
「五百メートルです」
「五百メートル」
アルカナが確認する。
「強度ボタンで、距離が伸びるのね」
「でも」
エリアが言う。
「五百メートルでも、八十キロメートルには届きませんね」
「そうね」
アルカナが考える。
「他の方法はないかしら」
四人は制御パネルを調べる。
様々なボタンの組み合わせを試す。
『増幅』と『強度』を同時に押す。
光がさらに強くなる。
小石を投げる。転移する。
転移先を探す。
「一キロメートル先です」
レオンが報告する。
「一キロメートル」
セレスが記録する。
「でもまだ足りませんね」
「では」
アルカナが考える。
「未知のボタンも試してみましょう」
彼女が未知のボタンを一つ押す。
装置群が変化する。配置が少し動く。
小石を投げる。転移する。
「二キロメートル先です」
エリアが報告する。
「少し伸びましたね」
もう一つ未知のボタンを押す。
装置群の音が変わる。
小石を投げる。転移する。
「三キロメートル先です」
レオンが報告する。
「さらに伸びましたね」
四人は様々なボタンの組み合わせを試し続ける。
出力、強度、増幅、未知のボタン。
何時間もかけて実験する。
「今までで最長は」
セレスがノートを確認する。
「十キロメートルです」
「十キロメートル」
アルカナが考える。
「でもまだ八十キロメートルには届かないわ」
「では」
レオンが提案する。
「装置の数を増やしてみましょうか」
「装置の数?」
エリアが尋ねる。
「今は百個全てを接続していますが」
レオンが説明する。
「もっと多く接続できるかもしれません」
「でも」
セレスが言う。
「装置は百個しかありませんよ」
「そうね」
アルカナが頷く。
「では」
レオンが考える。
「装置を改造できないでしょうか」
「危険よ」
アルカナが警告する。
「古代の装置を改造するのは」
「そうですね」
レオンが引き下がる。
「では」
エリアが提案する。
「中継地点を使えないでしょうか」
「中継地点?」
アルカナが尋ねる。
「はい」
エリアが説明する。
「遺跡から十キロメートル先に転移して、そこから次の十キロメートルに転移するんです」
「なるほど」
セレスが理解する。
「何度も転移を繰り返すんですね」
「でも」
アルカナが考える。
「中継地点に装置がないわ」
「そうですね」
エリアが認める。
四人は考え込む。
「では」
レオンが提案する。
「別の方法を考えましょう」
「別の方法?」
セレスが尋ねる。
「工房に小型の装置を作るんです」
レオンが説明する。
「小型の装置?」
アルカナが尋ねる。
「はい」
レオンが続ける。
「工房に転移装置を作れば、工房から遺跡に転移できます」
「なるほど」
エリアが理解する。
「往復できるんですね」
「でも」
セレスが心配する。
「小型の装置を作れるんでしょうか」
「分からないわ」
アルカナが答える。
「でも、遺跡内を探せば、製作設備があるかもしれないわ」
「探してみましょう」
レオンが提案する。
四人は遺跡内を探索する。深層部の他の場所。
装置群の空間の奥に、別の部屋がある。
扉を開ける。
中に、様々な機械がある。古代の製作設備。
「これは」
アルカナが機械を見る。
「製作設備ね」
「何を作る設備ですか?」
エリアが尋ねる。
「分からないわ」
アルカナが機械を調べる。
「でも、何かを作るための設備よ」
四人は設備を調査する。
機械の横に、図面がある。石版に刻まれた図面。
「これは」
セレスが図面を見る。
「装置の図面でしょうか」
アルカナが図面を調べる。
「そうね」
彼女が頷く。
「小型の転移装置の図面よ」
「本当ですか」
レオンが驚く。
「はい」
アルカナが図面を読む。
「これは、一回限りの転移装置ね」
「一回限り?」
エリアが尋ねる。
「はい」
アルカナが説明する。
「一度使うと壊れる装置よ」
「でも」
セレスが考える。
「一回使えれば十分ですね」
「そうね」
アルカナが頷く。
「工房に転移する装置を作れば、工房から遺跡に戻れるわ」
「では」
レオンが言う。
「この装置を作りましょう」
「そうね」
アルカナが同意する。
「でも、今日は疲れたわ」
「そうですね」
セレスが同意する。
「今日はここまでにしましょう」
四人は図面を記録する。詳細に書き写す。
アルカナが装置を停止させる。
四人は深層部を後にする。遺跡の外に出る。
「今日は工房への転移を試みました」
レオンが言う。
「最長で十キロメートル転移できました」
「でも」
エリアが続ける。
「工房までの八十キロメートルには届きませんでした」
「そして」
セレスが言う。
「小型転移装置の図面を発見しました」
「そうね」
アルカナが頷く。
「明日から、この装置を作りましょう」
四人は工房への帰路につく。
二日かけて、工房に戻る。
記録を整理する。
「工房座標の設定」
セレスがノートに書き込む。
「遺跡から工房まで、南西方向、約八十キロメートル」
「長距離転移の実験」
レオンが続ける。
「最長十キロメートル。工房までは届かず」
「小型装置の発見」
エリアが記録する。
「一回限りの転移装置。図面あり」
「次は」
アルカナが考える。
「小型装置を作りましょう」
「材料は?」
セレスが尋ねる。
「図面に書いてあったわ」
アルカナが答える。
「遺跡内にある材料よ」
「では」
レオンが言う。
「明日、材料を集めに行きましょう」
四人は夕食を作り、食事を済ませる。
明日への準備を整える。小型装置製作のための材料調達のために。




