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第56話 生物の転移

第56話 生物の転移


「兎を捕まえましょう」


エリアが提案して、四人は遺跡への道中で森の中を歩く。生物の転移実験を行うため、小動物での安全性確認が必要だ。レオンが茂みの奥を覗き込みながら、セレスが小さな籠を準備している。


「この兎を使いましょう」


レオンが小さな兎を捕まえると、エリアが心配そうに兎を見つめる。


「可哀想ですね」


「でも、必要な実験よ」


アルカナが言う。


「慎重にやりましょう」


遺跡に入り、深層部へと進んで装置群の空間にたどり着く。


「では」


アルカナが装置を起動し、まず兎の状態を確認する。


「まず兎の状態を確認するわ」


四人で兎を観察すると、動きも呼吸も心拍も全て正常だ。


「健康ですね」


「では」


「籠に入れて転移させましょう」


兎を籠に入れて蓋を閉める。


「出力は最小にするわ」


アルカナが出力を調整し、五メートルに設定する。


「五メートルです」


「では」


レオンが籠を歪みに入れると、籠が消える。四人は緊張しながら十分待つと、籠が現れた。


「現れました」


エリアが駆け寄って籠を開けると、兎が中で動いている。


「生きていますね」


兎を取り出して観察すると、動きも呼吸も心拍も転移前と同じだ。


「異常はなさそうですね」


レオンが言う。


「でも」


「本当に無事かどうか、もう少し観察しましょう」


四人は兎を観察し続ける。三十分、一時間と経っても、兎は普通に動いて餌を食べ、水を飲む。


「異常はありませんね」


セレスが記録しながら、アルカナが次を考える。


「では」


「もう一度転移させてみましょう」


「もう一度?」


エリアが尋ねる。


「はい」


「連続で転移しても大丈夫か確認するの」


兎を籠に戻して歪みに入れ、転移させて現れさせる。兎を取り出して観察しても異常なしだ。


「二回目も大丈夫ですね」


「では」


「距離を伸ばしてみましょう」


「どのくらいですか?」


セレスが尋ねる。


「五十メートル」


出力を調整して兎を籠に入れ、転移させて現れさせる。兎を取り出して観察しても異常なしだ。


「五十メートルでも大丈夫ですね」


「では」


「最大距離を試してみましょう」


「最大距離?」


レオンが尋ねる。


「二百メートルよ」


アルカナが答える。


「大丈夫でしょうか」


「試してみましょう」


アルカナが出力を最大にして兎を籠に入れ、転移させると通路の先に現れる。四人は転移先まで走って籠を開けて兎を取り出し、観察しても異常なしだ。


「二百メートルでも大丈夫ですね」


「では」


「他の条件も試してみましょう」


四人は装置群の空間に戻る。


「三次元転移を試してみましょう」


セレスが提案する。


「そうね」


アルカナが高さを調整し、装置の上3メートルに転移させる設定にする。兎を籠に入れて転移させると装置の上に現れ、籠を取りに行って兎を取り出して観察しても異常なしだ。


「高さ方向でも大丈夫ですね」


「では」


「保存機能を試してみましょう」


『保存』を押して兎を籠に入れ、歪みに入れると籠が歪みの中で浮く。


「保存されましたね」


「どのくらい保存できるでしょうか」


セレスが尋ねる。


「試してみましょう」


四人は待つ。五分、十分、三十分と経っても、籠は歪みの中で浮いたままだ。


「三十分経ちました」


「解放してみましょう」


アルカナが『解放』を押すと籠が転移して現れる。兎を取り出して観察しても異常なしだ。


「保存されていても大丈夫ですね」


「では」


「もっと長時間保存してみましょう」


兎を籠に入れて保存し、一時間待って解放する。兎を取り出して観察しても異常なしだ。


「一時間でも大丈夫ですね」


「では」


「別の動物も試してみましょうか」


「そうね」


四人は別の小動物を捕まえて小鳥を籠に入れて転移させ、現れさせて取り出して飛んで鳴く様子を観察しても異常なしだ。


「小鳥も大丈夫ですね」


「では」


「もっと小さな生物はどうかしら」


四人は虫を捕まえて蝶を箱に入れて転移させ、現れさせて取り出して飛ぶ様子を観察しても異常なしだ。


「虫も大丈夫ですね」


「では」


「兎、小鳥、蝶。全て転移成功しました」


「そうね」


「生物の転移は可能よ」


「では」


レオンが考える。


「もっと大きな動物はどうでしょうか」


「危険かもしれないわ」


「まずは、転移した動物をもっと長期間観察しましょう」


「そうですね」


四人は兎を観察し続ける。半日、一日と経っても、兎は普通に餌を食べて水を飲み、眠る。


「異常はありませんね」


「では」


「生物の転移は安全ね」


「でも」


「人間はまだ試していません」


「そうね」


「人間は、もっと慎重に検討しないといけないわ」


「今日はここまでにしましょう」


セレスが提案する。


「そうね」


アルカナが装置を停止させ、四人は兎を連れて深層部を後にし、遺跡の外に出る。


「今日は生物の転移を実験しました」


「兎、小鳥、蝶。全て成功しました」


「異常も見られず」


「長期間観察しても問題ありませんでした」


「保存機能でも」


「一時間保存しても大丈夫でした」


「そうね」


「生物の転移は安全よ」


四人は兎を連れて工房への帰路につき、工房に戻ると兎を飼育する場所を作って観察を続けるための準備を整え、記録を整理する。


「生物転移の実験」


セレスがノートに書き込みながら、実験結果をまとめる。


「兎、小鳥、蝶。全て転移成功。異常なし」


「転移条件」


「五メートルから二百メートル。高さ方向も可能。保存一時間も可能」


「長期観察」


「一日観察。異常なし」


「次は」


「もっと詳しく生物への影響を調べましょう」


「どうやって?」


「転移前後で、生物の状態を詳しく比較するの」


「体重、体温、行動パターン」


「そうですね」


「明日、調べてみましょう」


四人は夕食を作って食事を済ませ、兎に餌をやり、明日への準備を整える。

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