第55話 新たな機能
第55話 新たな機能
「他のボタンも試してみましょう」
アルカナが制御パネルを指差して、四人はまだ試していないボタンの組み合わせを確認する。転移以外にも装置が持つ機能があるかもしれなくて、新たな発見の可能性がある。レオンがノートに未確認のボタンをリストアップしている。
遺跡に到着すると、いつもの手順で深層部へと進んで装置群の空間に入る。
「では」
アルカナが装置を起動する。
「今日は転移以外の機能を探すわ」
「どうやって探すんですか?」
レオンが尋ねる。
「まだ試していないボタンの組み合わせを試すの」
アルカナが説明する。
「分かりました」
セレスが記録の準備をする。
「まず」
アルカナが考える。
「保存ボタンを試してみるわ」
彼女が『保存』を押す。
装置群の光が変化する。少し強くなる。
「何か変わりましたか?」
エリアが装置群を見る。
「見た目は変わりませんね」
「小石を投げてみて」
アルカナが言う。
レオンが小石を投げる。
小石が歪みに入る。しかし、消えない。
歪みの中で浮いている。
「消えませんね」
エリアが確認する。
十分待つ。小石は浮いたまま。
「転移しませんね」
セレスが言う。
「保存されているのね」
アルカナが理解する。
「歪みの中に、小石が保存されているのよ」
「では」
レオンが考える。
「解放ボタンを押したらどうなるでしょうか」
「試してみるわ」
アルカナが『解放』を押す。
歪みの中の小石が消える。
転移先に現れる。
「転移しました」
エリアが確認する。
「では」
セレスが整理する。
「保存ボタンで歪みの中に保存して、解放ボタンで転移させるんですね」
「そうね」
アルカナが頷く。
「では」
レオンが提案する。
「複数の物を保存してみましょうか」
「そうね」
アルカナが同意する。
『保存』を押す。
レオンが一個目の小石を投げると、歪みの中に浮く。
セレスが二個目の小石を投げると、歪みの中に浮く。
エリアが三個目の小石を投げると、歪みの中に浮く。
三個の小石が、歪みの中で浮いている。
「三個保存されましたね」
セレスが確認する。
「では解放してみるわ」
アルカナが『解放』を押す。
三個の小石が同時に消える。
転移先に現れる。
「同時に転移しましたね」
エリアが言う。
「では」
アルカナが考える。
「保存機能は、複数の物をまとめて転移させるのに使えるのね」
「便利ですね」
レオンが言う。
「では」
セレスが提案する。
「次は接続ボタンと分離ボタンを試してみましょうか」
「そうね」
アルカナが同意する。
「今は全装置を接続しているけど、一部だけ接続したらどうなるかしら」
彼女が『分離』を何度か押す。
装置の一部が停止する。
歪みが小さくなる。
「歪みが小さくなりましたね」
エリアが確認する。
「直径3メートルくらいです」
「接続している装置の数で、歪みの大きさが変わるのね」
アルカナが理解する。
「では」
レオンが考える。
「接続する装置を選べば、歪みの大きさを細かく調整できるんですね」
「そうね」
アルカナが頷く。
彼女が『接続』と『分離』を操作する。
歪みが大きくなったり小さくなったりする。
「自由に調整できますね」
セレスが記録する。
「では」
アルカナが考える。
「次は流れボタンを試してみるわ」
彼女が『流れ』を押す。
装置群の光が変化する。光が流れるように動く。
「光が流れていますね」
エリアが観察する。
「小石を投げてみて」
アルカナが言う。
レオンが小石を投げる。
小石が歪みに入る。消える。
しかし、転移先に現れない。
「現れませんね」
セレスが確認する。
十分待つ。現れない。
「どこに行ったんでしょうか」
エリアが周囲を見回す。
その時、歪みから小石が出てくる。歪みに入った側から。
「戻ってきました」
レオンが驚く。
「では」
アルカナが考える。
「流れボタンは、転移を逆にするのね」
「逆?」
セレスが尋ねる。
「歪みに入った物を、同じ側に戻すのよ」
アルカナが説明する。
「なるほど」
レオンが理解する。
「では」
エリアが提案する。
「強度ボタンを試してみましょうか」
「そうね」
アルカナが『流れ』を解除して、『強度』を押す。
装置群の光がさらに強くなる。
「光が強くなりましたね」
セレスが確認する。
「小石を投げてみて」
レオンが小石を投げる。
小石が歪みに入る。消える。
転移先に現れる。しかし、転移先がさらに遠い。
「百メートル以上先です」
エリアが測定する。
「出力を変えていないのに」
「強度ボタンで、転移距離が伸びるのね」
アルカナが理解する。
「出力の倍率を変えるのよ」
「では」
セレスが考える。
「範囲ボタンと似ていますね」
「そうね」
アルカナが頷く。
「でも、範囲は歪みの大きさ。強度は転移距離よ」
「では」
レオンが提案する。
「安定ボタンとの違いは?」
「試してみるわ」
アルカナが『安定』を押す。
装置群の光が安定する。揺らぎが少なくなる。
「光が安定しましたね」
エリアが観察する。
「小石を投げて」
レオンが小石を投げる。十回。
転移先を測定する。
「全て同じ場所です」
セレスが報告する。
「誤差が0.1メートル以下です」
「安定ボタンで、精度が上がるのね」
アルカナが確認する。
「以前確認したことと同じね」
「では」
エリアが考える。
「他のボタンも試してみましょう」
四人は実験を続ける。様々なボタンを押す。
未知のボタンも試す。
一つのボタンを押すと、装置群の一部が回転する。
「装置が回転しましたね」
レオンが確認する。
小石を投げる。転移する。
「転移は成功しました」
「でも、回転の意味は分かりませんね」
別のボタンを押すと、装置群から音が出る。
「音が出ましたね」
エリアが確認する。
小石を投げる。転移する。
「転移は成功しました」
「でも、音の意味も分かりませんね」
様々なボタンを試すが、効果が分からないものが多い。
「今日はここまでにしましょうか」
セレスが提案する。
「そうね」
アルカナが装置を停止させる。
四人は深層部を後にする。遺跡の外に出る。
「今日は装置の複数機能を調べました」
レオンが言う。
「保存と解放で、複数の物をまとめて転移できます」
「接続と分離で」
エリアが続ける。
「歪みの大きさを調整できます」
「流れボタンで」
セレスが言う。
「転移を逆にできます」
「強度ボタンで」
「転移距離が伸びます」
「そうね」
アルカナが頷く。
「かなり多機能ね」
四人は工房への帰路につく。
工房に戻る。記録を整理する。
「装置の複数機能」
セレスがノートに書き込む。
「保存・解放:複数物体を一括転移」
「接続・分離:歪み大きさ調整」
「流れ:転移方向逆転」
「強度:転移距離倍率変更」
「安定:精度向上」
「未知のボタン:効果不明」
「次は」
アルカナが考える。
「生物の転移を試してみましょう」
「生物?」
エリアが尋ねる。
「はい」
アルカナが説明する。
「小さな虫は成功したけど、もっと大きな生物を試すの」
「危険では?」
セレスが心配する。
「慎重にやるわ」
アルカナが答える。
「まずは小動物から始めましょう」
「分かりました」
レオンが同意する。
四人は夕食を作り、食事を済ませる。
明日への準備を整える。生物転移の実験のために。




