第54話 方向の制御
第54話 方向の制御
「任意の座標に転移させられますか?」
セレスが尋ねて、アルカナが制御パネルを見つめる。これまでの実験では方向と距離を大まかに設定していたが、より詳細な制御ができれば応用範囲が広がる。レオンが地図を広げて、転移先の候補地点を指で示している。
遺跡に到着すると、いつもの手順で深層部へと進んで装置群の空間に入る。
「では」
アルカナが装置を起動する。
「今日は方向制御を詳しく調べるわ」
「今は東西南北の四方向ですね」
レオンが確認する。
「そうよ」
アルカナが頷く。
「でも、もっと細かく制御できるかもしれないわ」
「どうやって調べるんですか?」
エリアが尋ねる。
「方向ボタンを何度も押してみるの」
アルカナが説明する。
「パターンがあるかもしれないわ」
「分かりました」
セレスが記録の準備をする。
アルカナが『方向』ボタンを一回押して小石を投げ、転移先を確認する。
「北です」
レオンが報告する。
もう一度押して小石を投げ、転移先を確認する。
「東です」
もう一度押す。
「南です」
もう一度押す。
「西です」
もう一度押す。
「また北です」
「では」
セレスが記録する。
「四回で一周するんですね。北、東、南、西」
「そうね」
アルカナが頷く。
「では」
レオンが考える。
「四方向しかないんでしょうか」
「分からないわ」
アルカナが答える。
「他のボタンと組み合わせてみましょう」
彼女が『調整』ボタンを押すと、装置の光が青から緑に変わる。
「では方向を変えてみるわ」
『方向』を押して小石を投げ、転移先を確認する。
「北東です」
エリアが驚く。
「北と東の間ですね」
「そう」
アルカナが理解する。
「調整ボタンで、方向が細かくなるのね」
もう一度『方向』を押して小石を投げ、確認する。
「南東です」
もう一度試す。
「南西です」
もう一度試す。
「北西です」
もう一度試す。
「また北東です」
「では」
セレスが記録する。
「調整ボタンを緑にすると、北東、南東、南西、北西の四方向ですね」
「そうね」
アルカナが頷く。
「では」
レオンが考える。
「調整ボタンの他の色はどうでしょうか」
「試してみるわ」
アルカナが『調整』を押すと、光が緑から黄色に変わる。
『方向』を押して小石を投げ、確認する。
「北北東です」
エリアが報告する。
「さらに細かくなりましたね」
もう一度『方向』を押す。確認する。
「東北東です」
さらに押していく。
「東です」
「東南東です」
「南南東です」
「南です」
八回押すと、一周する。
「では」
セレスが記録する。
「黄色で八方向ですね」
「そうね」
アルカナが頷く。
「では赤はどうかしら」
『調整』を押すと、光が黄色から赤に変わる。
『方向』を押していきながら小石を投げて確認する。
「北です」
「北北東の中間です」
「北北東です」
「北北東と東北東の中間です」
十六回押すと、一周する。
「十六方向ですね」
エリアが言う。
「かなり細かいですね」
「では」
アルカナが整理する。
「調整ボタンで方向の精度が変わるのね」
「青で四方向」
セレスが記録する。
「緑で四方向、斜め」
「黄色で八方向」
「赤で十六方向」
「そうね」
アルカナが頷く。
「では」
レオンが考える。
「これで任意の座標に転移させられますね」
「そうね」
アルカナが同意する。
「距離と方向を組み合わせれば、かなり自由に制御できるわ」
「試してみましょう」
セレスが提案する。
「任意の座標を指定します」
彼女が空間に印をつける。
「ここに転移させてください」
印の位置を測定する。
「北北東、四十メートルです」
アルカナが調整を黄色にして方向を北北東にし、出力を四十メートルにする。
「投げて」
レオンが小石を投げると消えて、十分待つと印の近くに現れた。
「誤差1メートルです」
エリアが測定する。
「かなり正確ですね」
「もう一度」
セレスが別の場所を指定する。
「南東、七十メートルです」
アルカナが調整して小石を投げると転移した。
「誤差0.8メートルです」
エリアが報告する。
「では」
レオンが考える。
「十六方向なら、もっと正確になるでしょうか」
「試してみるわ」
アルカナが調整を赤にする。
セレスが場所を指定する。
「北北東と北の中間、五十メートルです」
アルカナが調整して小石を投げると転移した。
「誤差0.5メートルです」
エリアが測定する。
「より正確になりましたね」
「そうね」
アルカナが頷く。
「方向の精度を上げれば、より正確に転移できるわ」
四人は実験を続けて様々な座標を指定すると、全て誤差1メートル以内に転移する。
「かなり自由に制御できますね」
セレスが記録を確認する。
「では」
レオンが提案する。
「三次元の座標も制御できるでしょうか」
「三次元?」
エリアが尋ねる。
「上下方向です」
レオンが説明する。
「今は水平方向だけですが、高さも制御できるかもしれません」
「試してみましょう」
アルカナが考える。
「でも、どうやって?」
「装置の上に転移させてみましょう」
レオンが提案する。
「高さ3メートルの装置の上です」
四人は装置の上に印をつける。
「では」
アルカナが制御パネルを操作して様々なボタンを試し、『増幅』を押す。
小石を投げると転移して、装置の上に現れた。
「成功しました」
エリアが驚く。
「装置の上に転移しました」
「増幅ボタンで高さが変わるのね」
アルカナが理解する。
「では」
セレスが考える。
「減衰ボタンは?」
「試してみるわ」
アルカナが『減衰』を押して小石を投げると転移し、床の下の窪みに現れた。
「床より低い場所に転移しました」
レオンが確認する。
「では」
アルカナが整理する。
「増幅で高く、減衰で低く転移するのね」
「そうですね」
セレスが記録する。
「では」
エリアが提案する。
「正確な高さを制御してみましょうか」
「そうね」
アルカナが同意する。
四人は実験を続けて増幅と減衰を調整し、地面から1メートル、2メートル、3メートルと様々な高さに転移させるが、全て成功する。
「高さも自由に制御できますね」
レオンが言う。
「では」
セレスが考える。
「完全な三次元座標を指定してみましょう」
「そうね」
アルカナが頷く。
セレスが座標を指定する。
「北東、五十メートル、高さ2メートル」
アルカナが方向、距離、高さを調整して小石を投げると転移し、測定する。
「ほぼ正確です」
エリアが報告する。
「誤差は水平方向で0.8メートル、高さ方向で0.3メートルです」
「かなり正確ね」
アルカナが満足する。
四人は実験を続けて様々な三次元座標を指定すると、全て誤差1メートル以内に転移する。
「完璧ですね」
レオンが感心する。
「任意の座標に転移させられます」
「今日はここまでにしましょうか」
セレスが提案する。
「そうね」
アルカナが装置を停止させる。
四人は深層部を後にして遺跡の外に出る。
「今日は方向制御を調べました」
レオンが言う。
「調整ボタンで方向の精度が変わります。四方向、八方向、十六方向」
「増幅と減衰で」
エリアが続ける。
「高さも制御できます」
「三次元座標への転移が」
セレスが言う。
「可能になりました」
「そうね」
アルカナが頷く。
「かなり自由に転移を制御できるようになったわ」
四人は工房への帰路につき、工房に戻って記録を整理する。
「転移方向の制御」
セレスがノートに書き込む。
「調整ボタン:青で四方向、緑で斜め四方向、黄色で八方向、赤で十六方向」
「高さ制御」
レオンが続ける。
「増幅で上、減衰で下」
「三次元座標制御」
エリアが記録する。
「任意の座標に転移可能。誤差1メートル以内」
「次は」
アルカナが考える。
「装置の複数機能を調べましょう」
「複数機能?」
セレスが尋ねる。
「はい」
アルカナが説明する。
「転移以外に、この装置が何をできるのか」
「そうですね」
レオンが同意する。
「明日、調べてみましょう」
四人は夕食を作って食事を済ませ、装置の複数機能の調査のために明日への準備を整える。




