第52話 操作の習熟
第52話 操作の習熟
「もっと速く操作できるようになりましょう」
エリアが制御パネルの前で提案して、アルカナが頷く。これまでの操作では時間がかかりすぎていて、より正確に素早く操作できれば実験の効率が上がる。セレスが記録用のノートを開いて、操作手順を確認している。
遺跡に到着すると、いつもの手順で深層部へと進んで装置群の空間に入る。
「では」
アルカナが制御パネルの部屋に向かう。
「今日は操作を練習するわ」
「どんな練習ですか?」
レオンが尋ねる。
「出力調整の練習よ」
アルカナが説明する。
「狙った距離に正確に転移させるの」
「分かりました」
セレスが目標地点を決める。
「まず三十メートル先に転移させてください」
「はい」
アルカナが『出力』と『減衰』を使って三十メートルに設定する。
「投げて」
レオンが小石を投げると消えて、十分待つと現れた。
測定する。
「三十二メートルです」
エリアが報告する。
「少しずれたわね」
アルカナが出力を微調整する。
「もう一度」
小石を投げて測定する。
「三十メートルちょうどです」
セレスが報告する。
「良いわね」
アルカナが満足する。
「では次」
セレスが別の距離を指定する。
「七十メートルです」
アルカナが出力を調整して小石を投げ、測定する。
「六十八メートルです」
エリアが報告すると、アルカナが微調整してもう一度試す。
「七十メートルちょうどです」
「次は十メートル」
セレスが指定する。
アルカナが出力を大きく変えて小石を投げ、測定する。
「十メートルちょうどです」
レオンが報告する。
「一回で合わせられたわね」
アルカナが微笑む。
「慣れてきたわ」
「では」
セレスが考える。
「もっと難しい条件にしましょう」
「難しい条件?」
エリアが尋ねる。
「距離と方向を同時に指定します」
セレスが説明する。
「三十メートル、北方向」
アルカナが出力と方向を調整して小石を投げ、測定する。
「三十メートル、北。完璧です」
レオンが確認する。
「では次」
セレスが続ける。
「五十メートル、東」
アルカナが調整して投げ、測定する。
「五十メートル、東。正確です」
「次」
「二十メートル、南」
調整して投げ、測定する。
「二十メートル、南。正確です」
四人は練習を続けて様々な距離と方向を試すと、アルカナの操作が徐々に速くなり、調整時間が短くなっていく。
「かなり慣れてきましたね」
エリアが言う。
「そうね」
アルカナが頷く。
「操作が体に馴染んできたわ」
「では」
レオンが提案する。
「連続で指定してみましょうか」
「連続?」
セレスが尋ねる。
「次々と距離と方向を指定するんです」
レオンが説明する。
「アルカナさんが素早く対応できるか」
「試してみましょう」
アルカナが準備する。
「三十メートル、北」
セレスが指定する。
アルカナが調整して投げ、測定すると正確だ。
「次。五十メートル、東」
調整して投げ、測定すると正確だ。
「次。十メートル、南」
調整して投げ、測定すると正確だ。
「次。七十メートル、西」
調整して投げ、測定すると正確だ。
十回連続で指定しても、全て正確に転移する。
「完璧ですね」
レオンが感心する。
「かなり操作に慣れました」
「では」
エリアが提案する。
「範囲の調整も練習しましょうか」
「そうね」
アルカナが同意する。
「範囲を直径3メートルに」
セレスが指定する。
アルカナが『範囲』を調整すると、歪みが3メートルになる。
「次。直径2メートルに」
調整すると歪みが2メートルになる。
「次。直径5メートルに」
調整すると歪みが5メートルになる。
「素早く調整できますね」
レオンが言う。
「では」
セレスが考える。
「全てを組み合わせましょう」
「全て?」
アルカナが尋ねる。
「距離、方向、範囲、全てを同時に指定します」
セレスが説明する。
「三十メートル、北、範囲2メートル」
アルカナが三つのパラメータを調整して小石を投げ、測定する。
「三十メートル、北。範囲も2メートル。完璧です」
エリアが確認する。
「次」
「五十メートル、東、範囲4メートル」
調整して投げ、測定すると正確だ。
「次」
「二十メートル、南、範囲3メートル」
調整して投げ、測定すると正確だ。
十回連続で指定しても、全て正確だ。
「完璧ね」
アルカナが満足する。
「操作を完全に習得したわ」
「では」
レオンが提案する。
「調整ボタンも練習しましょうか」
「調整ボタン?」
セレスが尋ねる。
「魔力の種類を変えるボタンです」
レオンが説明する。
「そうね」
アルカナが『調整』を押すと、装置群の光が青から緑に変わる。
「色が変わりましたね」
エリアが確認する。
「これは何か効果があるんでしょうか」
「分からないわ」
アルカナが答える。
「試してみましょう」
小石を投げると転移した。
「転移は成功しました」
セレスが確認する。
「色以外に違いは?」
四人は転移先、転移時間、精度を観察するが、全て同じだ。
「違いが分かりませんね」
レオンが言う。
「では」
アルカナが考える。
「他の色も試してみましょう」
『調整』を何度か押して緑、黄、赤、青と変え、それぞれで小石を転移させるが、全て同じ結果だ。
「色による違いはないようですね」
セレスが記録する。
「そうね」
アルカナが頷く。
「調整ボタンの意味は、まだ分からないわ」
「では」
エリアが提案する。
「他のボタンも試してみましょうか」
「他のボタン?」
レオンが尋ねる。
「まだ試していないボタンです」
エリアが説明する。
「残りの文字が読めないボタンね」
アルカナが制御パネルを見る。
「四個残っているわ」
「試してみましょうか」
セレスが言う。
「危険かもしれないわ」
アルカナが警告する。
「慎重に」
彼女が最初の未知のボタンを押すと、装置群の光が変化して少し明滅する。
「光が明滅していますね」
レオンが報告する。
小石を投げると転移した。
「転移は成功しました」
エリアが確認する。
「でも何が変わったのか分かりませんね」
「そうね」
アルカナがボタンをもう一度押すと、光の明滅が止まる。
「このボタンは何かの設定を変えるのね」
「次のボタンを試しましょう」
セレスが提案する。
アルカナが二番目の未知のボタンを押すと、装置群の音が変わって低い音が響く。
「音が変わりましたね」
レオンが言う。
小石を投げると転移した。
「転移は成功しました」
「でも音以外に違いは分かりませんね」
「三番目」
アルカナが三番目のボタンを押すと、装置群の配置が少し動く。
「装置が動きましたね」
エリアが驚く。
小石を投げると転移した。
「転移は成功しました」
「四番目」
アルカナが四番目のボタンを押すと、何も変わらない。見た目も音も。
「何も変わりませんね」
セレスが言う。
小石を投げると転移した。
「転移は成功しました」
「では」
アルカナが整理する。
「未知のボタンは、何らかの設定を変えるけど、転移自体には影響しないわね」
「そうですね」
レオンが同意する。
「今日はここまでにしましょうか」
セレスが提案する。
「操作の習熟は十分できました」
「そうね」
アルカナが装置を停止させる。
四人は深層部を後にして遺跡の外に出る。
「今日は操作を習熟しました」
レオンが言う。
「距離、方向、範囲を素早く正確に調整できます」
「連続指定でも」
エリアが続ける。
「全て正確に対応できました」
「未知のボタンも」
セレスが言う。
「試してみましたが、効果は不明です」
「そうね」
アルカナが頷く。
「でも、基本的な操作は完璧に習得したわ」
四人は工房への帰路につき、工房に戻って記録を整理する。
「装置制御の習熟」
セレスがノートに書き込む。
「距離、方向、範囲の調整を習得。素早く正確に操作可能」
「未知のボタン」
レオンが続ける。
「四個試したが、効果は不明。転移には影響なし」
「次は」
アルカナが考える。
「大型物体の転移を試してみましょう」
「大型物体?」
エリアが尋ねる。
「今まで以上に大きく重い物よ」
アルカナが説明する。
「装置の限界に挑戦するの」
「そうですね」
セレスが同意する。
「明日、試してみましょう」
四人は夕食を作って食事を済ませ、大型物体の転移実験のために明日への準備を整える。




