表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/62

第41話 汚染源の発見

第41話 制御パネルの発見


「制御パネルがあるはずです」


アルカナが装置群を見渡しながら言って、四人は装置群の周囲を歩き始める。百個の装置が規則正しく並んでいて、それぞれが複雑な形状をしている。レオンが一つ一つ確認しながら、何か制御する仕組みがないか探している。


装置群の空間に、百個の装置が整然と配置されている。規則正しく並ぶ装置群をレオンは見渡す。


「制御パネルを探しましょう」


レオンが装置群を見渡して灯りを掲げながら言う。


「どこかにあるはずです」


四人は空間を歩き始め、壁を見て、床を見て、天井を見上げながら制御パネルを探す。どこかにきっと。


「壁を調べましょうか」


エリアが提案して石でできた壁に向かう。


四人は空間の壁に近づいて手で触れる。表面は滑らかで冷たい石だ。凹凸を確認し、手のひらで撫で、指先で押してみて何か反応があるか確かめる。


「何か見えますか?」


セレスが灯りを壁に近づけて見る。光が壁を照らすが、何もない。文字もボタンもない、ただの石の壁だ。


「いえ」


レオンが手を壁から離して首を振る。


「何もありません」


四人はゆっくりと一歩ずつ壁を一周し、壁を確認しながら手で触れながら灯りを当てながら進む。でも制御パネルらしいものは見つからない。何もない。壁はただの壁だ。


「装置の近くでしょうか」


エリアが百個の装置、それぞれが異なる形状の装置群を見る。


四人は最も近い装置から一つずつ確認しながら装置に向かう。表面を見て、側面を見て、下部をしゃがんで覗いて制御パネルを探す。


一個目の柱状の装置の表面を撫でるが、何もない。


二個目の球体の装置の周囲を一周するが、何もない。


三個目、四個目、五個目と次々と確認するが、制御パネルは見つからない。


十個目の装置は球体型だ。大きな球体が台座の上に乗っている。四人が近づいて球体を見上げ、表面を確認する。


「これは」


レオンがしゃがみ込んで球体の下部を覗き、台座を見る。


石の板が球体の台座に埋め込まれている。平らな板の表面には五個のボタンのようなものが並び、それぞれに古代文字の記号が刻まれている。


「制御パネルでしょうか」


エリアがしゃがみ込んでレオンの隣に来て、板を見てボタンを確認する。


「そうかもしれないわ」


アルカナが板に触れて手のひらで表面を撫で、魔力を感じ取る。微かな魔力の流れが板の中を通っている。


「でも、これは個別の装置用ね。全体を制御するものではないわ」


彼女が立ち上がって他の百個の装置を見回す。全体を制御するパネルがどこかにあるはずだ。


「全体の制御パネルは別にあるんですね」


セレスがノートにペンを走らせてメモする。個別制御パネルの位置、ボタンの数。


「そうよ」


アルカナが確信を持って頷く。


「全体を制御する中央パネルがあるはずよ」


四人は装置から装置へと探索を続け、一つずつ確認する。十一個目、十五個目、二十個目と次々と見ていく。個別の制御パネルを持つ装置もあれば持たない装置もあるが、全体を制御するものは見つからない。


三十個、四十個と装置を調べ続け、セレスがノートに個別パネルの位置や文字の内容を記録する。


五十個目の柱状の装置を調べる。レオンが柱の周りを歩いて確認し、エリアが柱の表面を撫で、アルカナが魔力を感じ取る。


そのとき、セレスが何かを見つける。


「ここに」


彼女が柱の近くの床の一部を指差す。


四人が集まって床を見て、灯りを近づける。光が床を照らす。


床の一部に四角い線が刻まれている。幅は2メートルほど、奥行きも2メートルの正方形の線だ。扉の輪郭のような細い線だが、はっきりと刻まれている。


「これは」


レオンがしゃがみ込んで線を指で辿って調べる。確かに溝がある。線ではなく溝が刻まれている。


「扉でしょうか」


「開きますか?」


エリアが手で触れて線を辿り、四角い溝を一周する。でも開ける仕組みが分からない。取っ手もボタンもない。どうやって開けるのか。


レオンが溝に指を入れて引っ張ってみるが動かない。押してみるが沈まない。びくともしない。


「待って」


アルカナが溝の内側の床に手のひらを当てて、目を閉じる。


「魔力を感じるわ」


彼女が呼吸を整えて集中し、床の下からの微かな、でも確かな魔力を感じ取る。


「ここに魔力の流れがあるわ。この線に沿って」


アルカナが手をゆっくりと線に沿って動かし、溝を辿って魔力の流れを確認しながら、手を止めずに一周する。


すると線が光り始める。淡い青い光が溝から溢れ出る。魔力の光だ。線全体が光り、四角い輪郭が青く輝く。


「動く」


レオンが光る線と動く床を見る。


ゴゴゴと低い地鳴りのような音がする。四角く切り取られた部分がゆっくりと下に沈んでいく。石が石の上を滑る音、ギィ、ギィ。


床の一部が開いて下に沈み、内部が見える。暗闇だが何かがある。


階段だ。床の下に石でできた階段が暗闇の中へ下へと続いている。


「階段?」


レオンが予想外の展開に驚いて声を上げる。床の下に階段。


「さらに下があるんですか」


エリアが階段を覗き込んで灯りを中に向ける。光が階段を照らして十段ほど見える。その先は暗闇だ。


「降りてみましょう」


アルカナが一段目の階段に足をかけて慎重に体重をかける。石が軋む音がするが、大丈夫だ。しっかりしている。


二段目、三段目とアルカナが降り、レオン、エリア、セレスが一人ずつ続いて、一段また一段と階段を降りる。


十段ほど降りると小さな部屋に出る。


部屋は狭く、幅は5メートル、奥行きは3メートルほどだ。天井は低く2メートル程度で圧迫感がある。壁も床も石だ。灯りを掲げて部屋を照らす。


そして部屋の奥の壁に大きな板が埋め込まれている。


石でできた板で、幅は3メートル、高さは2メートルほど。壁に埋め込まれて一体化している。板の表面には無数の小さな石のボタンが押せるように少し突き出して並んでいる。そしてボタンの周りに古代文字が刻まれている。一つ一つのボタンに文字が、機能を示すのか。


「これは」


エリアが板に近づいて手を伸ばし、ボタンに触れる。冷たい石だ。


「制御パネルですね」


レオンが板を見る。無数のボタンが規則正しく並んでいる。横に十個、縦に三列、合計三十個だ。


「これが全体の制御パネルでしょうか」


「そうね」


アルカナが頷いて板を見つめ、魔力を感じ取る。板から流れる強い魔力。この板は装置群全体に繋がっている。


「これが装置群全体を制御するものよ」


セレスがノートを取り出して制御パネルの様子を記録する。スケッチを描き、ボタンの配置や文字の位置を一つ一つ丁寧に記録していく。


「ボタンは」


彼女が横に十個、縦に三列と数える。


「三十個あります」


「文字は読めますか?」


レオンがアルカナを見て尋ねる。古代文字を読めるのは彼女だけだ。


アルカナが文字をじっと見つめて一つ一つ確認する。最初のボタンの文字、線の形、角度、配置を見て記憶を辿る。似た文字、昔見た文字。


「古代文字ね」


彼女がボタンに触れながら一つずつ確認し、文字を読む。


「これは『起動』」


最初のボタンの文字を指で辿って読む。確かに起動だ。装置を動かす。


「これは『停止』」


次のボタンの文字、停止。装置を止める。


「これは『出力』」


三番目のボタン、出力。装置が何かを出す。


「これは『調整』」


四番目、調整。設定を変える。


アルカナがボタンからボタンへと順番に読んでいき、文字を確認して声に出す。セレスがノートに読めた文字を順番に書き込む。


「保存」


五番目のボタン。


「解放」


六番目。


「接続」


七番目。


「分離」


八番目。


アルカナが九番目、十番目と読み進める。順調に読める。文字は難しいが見たことがあり、記憶にある。


でも十五番目のボタンで止まる。


「これは」


彼女が困った表情で眉をひそめて文字を見つめ、線を辿る。でも分からない。


「読めないわ」


彼女が首を振る。見たことがない文字だ。形が複雑で線が入り組んでいて、記憶にない。


「読めない?」


エリアが驚いて尋ねる。アルカナが読めない文字。


「はい」


アルカナが文字をじっと見つめるが、やはり分からない。


「この文字、見たことがないの」


彼女が次の十六番目のボタンを見る。この文字も分からない。見たことがない。


「別の言語でしょうか」


セレスがペンを止めて尋ねる。別の言語、古代の別の文明の。


「そうかもしれないわ」


アルカナが腕を組んで視線を落として考える。別の言語、あるいは。


「あるいは、とても古い文字なのかも」


彼女が板を見て全体を見渡す。三十個のボタン、いくつ読めるのか確認する。


「どのくらい読めますか?」


レオンが心配そうに尋ねる。


「三十個のうち」


アルカナが読めた文字、確実に読めるものを数える。


「十五個は読めるわ。残りの十五個は分からない」


ちょうど半分だ。前半の十五個は読めるが、後半の十五個は読めない。何か意味があるのか。


セレスがノートに読めた文字と読めない文字を分けて記録する。


「起動、停止、出力、調整、保存、解放、接続、分離」


読めた文字を一つずつ書き込む。


「あと七個読めました」


アルカナが九番目から十五番目までの文字を続ける。


「入力、転送、受信、固定、解除、制限、開放」


セレスがペンを走らせて書き加える。


「合計十五個」


彼女がノートを見て確認する。十五個の文字がリストになっている。


「これらの文字から」


エリアがリストを見て機能を推測しながら考える。


「装置の機能が推測できますね」


「そうね」


アルカナが頷いてリストを一つずつ見る。


「起動と停止は装置の電源ね。出力は装置が何かを出すこと。調整は設定を変えること」


「保存と解放は?」


レオンが尋ねる。保存と解放、何を。


「何かを保存して、それを解放するのかもしれないわ」


アルカナが説明するが、確証はない。推測だ。


「接続と分離は?」


「装置同士を繋げたり、切り離したりするのかもしれないわね」


「転送と受信は?」


エリアが続ける。転送、受信。


「何かを送って、受け取るのかもしれないわ」


アルカナが考える。転送、何を転送するのか。物体か、情報か、魔力か。


「では」


セレスがノートを見て読めない十五個の文字を見ながら提案する。


「読めない文字を解読しましょうか」


「そうね」


アルカナが読めない複雑な形の文字を見つめる。でも時間をかければ解読できるかもしれない。


「でも、時間がかかるわ」


「ここで調べますか?」


エリアがこの暗くて狭い部屋で調べるか尋ねる。


「いえ」


アルカナが首を振る。ここではなく。


「記録を取って、工房で解読しましょう」


彼女が提案する。工房なら資料があり、ゆっくり調べられる。


セレスがノートに読めなかった十五個の文字を一つずつ丁寧に書き写す。線の形、角度、太さ、全てを正確に記録する。一画ずつ確認しながらペンを走らせてノートに写す。


時間がかかる。集中して一文字に五分、十五個の文字で一時間以上。でも正確に記録する。間違えられない。一本の線も正確に。


「これで全部です」


セレスがノートを閉じる。記録が完了した。三十個の文字、十五個は意味が分かり、十五個は未解読だ。


「工房で解読しましょう」


四人は部屋を出て階段を一段ずつ登り、装置群の空間に戻る。床の扉が開いたままだ。アルカナが魔力を流すと扉が閉じて床が戻る。ゴゴゴと音を立てて元の床に。


装置群の空間を後にして来た道を戻り、通路を進んで階段を登る。装置の中から出て深層部の扉をくぐり、第二階層を抜けて罠の部屋を通過する。安全な円形模様だけを踏んで階段を登り、最初の広間を横切って外に出る。新鮮な空気が肺に広がる。


遺跡の前で地面に座って休憩し、水を飲み、保存食を食べて体力を回復する。


「制御パネルを見つけました」


レオンが達成感と満足を込めて言う。


「大きな進歩ですね」


「でも」


エリアが課題があることを続ける。


「半分の文字が読めません」


「工房で解読しましょう」


アルカナが立ち上がって荷物を背負う。


「必ず読めるようにするわ」


四人は工房への帰路につき、森を抜けて山道を下る。一日目が終わると野営し、二日目も歩き続けて工房に到着する。


荷物を降ろしてテーブルに向かい、ノートを広げる。制御パネルの文字が詳細に記録されている。


「解読を始めましょう」


アルカナがノートを見る。読めなかった十五個の文字。それぞれが複雑な形。線が入り組む。角度が鋭い。記憶にない形。


「この文字は」


アルカナが最初の文字をじっと見つめて線を数える。三本の線がここで交差していて、角度は鋭角だ。


「線が三本、ここで交差している」


彼女が指で紙の上の線を辿って形を確認する。


「似た文字を探してみるわ」


アルカナが魔核炉心に戻って全身が光に包まれる。記憶を辿り、古代の文字、様々な言語、見たことのある文字を全て思い出して一つ一つ確認する。似た形、同じ角度を探す。


時間が経つ。レオン、エリア、セレスが静かに待つ。


アルカナが炉心から現れて全身が工房に戻る。


「一つ分かったわ」


彼女が微笑んで言う。成功だ。


「これは『流れ』という意味ね」


「流れ?」


レオンが尋ねる。流れ、何の流れだろう。


「はい」


アルカナが指でノートの文字を指して説明する。


「魔力の流れを意味するの」


セレスがノートに書き込む。一番目の未解読文字、意味は「流れ」。


「次は」


アルカナが二番目の文字を見る。また複雑な形で、線が四本、曲線と直線だ。


「これも調べるわ」


また魔核炉心に戻って記憶を辿る。時間が経つ。


戻ってくる。


「これは『方向』ね」


「方向?」


エリアが尋ねる。方向、流れの方向か。


「何かの方向を制御するのかもしれないわ」


セレスが記録する。二番目、「方向」。


解読は一つずつ時間をかけて続く。アルカナが魔核炉心に戻って記憶を辿り、戻ってきて文字を読み、また炉心に戻る。繰り返す。


三番目、「強度」。


四番目、「範囲」。


五番目、「安定」。


窓の外を見ると、空が赤く染まっている。太陽が沈んで影が長く伸びている。


「五個解読できました」


セレスがノートを確認して読めた文字の記録を見る。


「まだ十個残っています」


「今日はここまでにしましょう」


アルカナが疲労が溜まったと言う。記憶を辿るのは体力を使う。


「疲れたわ」


「そうですね」


レオンが頷いて窓の外の夕暮れを見る。


「明日、続けましょう」


四人は今日解読できた文字をまとめて記録を整理する。セレスがリストを作ってノートに読めた文字を全て書き込む。


「起動、停止、出力、調整、保存、解放、接続、分離、入力、転送、受信、固定、解除、制限、開放、流れ、方向、強度、範囲、安定」


リストが長くなる。二十個だ。


「合計二十個」


セレスが数を確認する。


「残りは十個ですね」


エリアが着実に進んでいると言う。


「少しずつ進んでいますね」


「そうね」


アルカナが頷くが、表情は真剣だ。


「でも、全ての文字を解読するには、まだ時間がかかるわ」


「焦らず進めましょう」


レオンが言う。急がず、慎重に。


「慎重に、確実に」


四人は記録を整理し終えてノートを閉じ、資料をしまう。


夕食の準備を始める。食材を取り出して火を起こし、鍋を置いて野菜を切り、水を沸かして料理をする。


食事を済ませて片付けをし、明日への準備を整える。文字の解読を続けるために。残り十個の文字、必ず読む。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ