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第40話 未知の技術

第40話 未知の技術


「この装置、どうやって動かすんでしょうか」


セレスが疑問を口にして、四人は装置群の前に立つ。昨日全ての装置を記録し終えたが、動かし方がまだ分からない。レオンが一つの装置に手を伸ばして表面を撫でると、冷たい石の感触が伝わってくる。


装置群の空間で、レオンは昨日調査を終えた四十五個目の装置を確認する。今日はそこから再開だ。


「ここからですね」


レオンが歩いて次の装置に近づく。


四十六個目は階段状の装置だ。石を積み上げて作られていて、各段に直径10センチほど、深さ5センチほどの小さな円形の窪みがある。


「これは」


エリアがしゃがみ込んで窪みを覗いて確認する。


「何かを置く場所でしょうか」


「球体を置くのかもしれないわね」


アルカナが昨日見た装置を思い出しながら考えて言う。


「先ほど見た空の球体を、ここに置くのかも」


セレスがノートにペンを走らせ、装置の特徴、窪みの形状を記録する。


次の装置へ四人が移動する。四十七個目は扇形の装置で、中心から放射状に広がるような形状だ。


「変わった形ですね」


レオンが装置を一周して見回し、確認する。


扇形の表面には放射状に広がる細い線が規則正しく刻まれている。


「模様でしょうか」


エリアが指で表面をなぞって線を辿る。


「それとも、何かの図?」


「分からないわ」


アルカナが首を傾げて記憶を辿るが、思い当たらない。


「見たことのない構造ね」


四十八個目に歩いて近づく。螺旋状の装置で、下から上へ螺旋を描くように伸びている。美しい曲線で規則正しい形だ。


「これは」


セレスが首を伸ばして螺旋を頂上まで見上げる。


「美しいですね」


確かに螺旋は規則正しく美しい曲線を描いていて、まるで芸術品のようだ。


「装飾でしょうか」


レオンが芸術的な価値について尋ねる。


「いや」


アルカナが螺旋に触れて、手のひらで表面を撫でて魔力を感じ取る。


「これも何かの機能があるはずよ。古代の装置に、無駄な装飾はないわ」


四人は調査を一つずつ丁寧に続ける。四十九個目、五十個目。


五十個目は網目状の装置だ。細くてしなやかな金属の棒が複雑に、しかし規則的に組み合わさって幾何学的な美しさを持っている。


「複雑ですね」


エリアが目を凝らして網目を見て、構造を理解しようとする。


「どうやって作ったんでしょうか」


「高度な技術ね」


アルカナが驚きの混じった声で感心する。


「こんな精密な加工、私も見たことがないわ」


「アルカナさんも見たことがないんですか?」


レオンが目を見開いて驚く。アルカナほどの知識を持つ者でも。


「ええ」


アルカナが網目状の装置を見つめて頷く。


「私が知っている古代技術とは、また違うものね」


「では」


セレスがノートを持ったまま尋ねる。


「この遺跡は、アルカナさんの時代よりも古いんでしょうか」


「そうかもしれないわ」


アルカナが網目状の装置を見つめて考え、可能性を探る。


「あるいは、私が知らなかった技術なのかも」


四人は調査を続ける。五十一個目、五十二個目、五十三個目、五十五個、六十個、六十五個と次々と記録していき、ノートが埋まっていく。


六十八個目は透明な壁のような装置だ。平らな板が垂直に立っていて、ガラスのような材質で透明で滑らかだ。


「透明ですね」


レオンが板を覗くと、向こう側が透けて見える。装置群が歪んで映る。


「これは何でしょうか」


エリアが板に触れて、手のひらで表面を撫でる。滑らかで冷たい。


「表示装置かもしれないわ」


アルカナが板をじっと見つめる。


「魔力を流すと、何かが映るのかも」


「映す?」


セレスがペンを止めて尋ねる。


「映像のようなものでしょうか」


「そうね」


アルカナが記憶を辿って古い時代の装置を思い出しながら説明する。


「古代の装置には、情報を映し出すものがあったの」


七十個目に到達し、ノートの記録が増えていく。


「かなり調査しましたね」


レオンが額の汗を拭いながら休憩を提案する。疲労が溜まってきた。


「少し休みましょう」


四人は装置のない場所に座り込んで荷物を降ろし、水を飲み、保存食を食べて体力を回復する。


「これで七十個」


セレスがノートを確認して記録を数え、ページをめくる。


「まだ終わりませんね」


「あとどのくらいあるんでしょうか」


エリアが暗闇の中、まだ装置が並ぶ空間の奥を見る。


「三十個くらいでしょうか」


「もう少しですね」


レオンが足に力を込めて立ち上がる。まだ動ける。


「頑張りましょう」


休憩を終えて立ち上がり、次の装置へ向かって調査を再開する。


七十一個目、七十二個目、七十三個目と次々と記録する。七十五個、八十個と多様な形状の装置が続く。


八十三個目は球体がいくつも連なった装置だ。五つの球体が一列に並んでいて、それぞれの球体は少しずつ大きさが違う。最初が一番小さく、最後が一番大きい。


「球体がたくさん」


エリアが球体を一つ一つ確認しながら見る。


「大きさが違いますね」


セレスが一つずつ大きさを測って記録する。


「規則的に大きくなっています」


「意味があるのかしら」


アルカナが腕を組んで考える。この規則性は何を示すのか。


「数を示しているのかもしれないわ」


八十四個目、八十五個目、八十六個目と調査が進み、九十個目に到達する。


「あと少しですね」


レオンが前方を見る。装置が見えるのはあと十個ほど、終わりが近い。


九十一個目、九十二個目、九十三個目、九十四個目、九十五個目と次々と記録する。九十八個目、九十九個目。


そして最後の装置、百個目だ。


「これが最後ですね」


エリアが装置に近づいて最後の装置を見る。


直径5メートルほどの円盤状の装置が、床に平行に浮いている。支えがなく、空中に浮遊している。


「浮いています」


セレスが信じられない光景に驚いて声を上げる。


確かに円盤は床から30センチほど浮いている。何の支えもなく。


「これは」


レオンがしゃがみ込んで円盤の下を覗いて確認する。何もない、空間だけだ。


「どうやって浮いているんでしょうか」


「魔力ね」


アルカナが円盤を見て魔力を感じ取りながら言う。


「魔力で浮かせているのよ」


彼女が円盤に触れて手で押すと、円盤がゆっくりと滑らかに回転する。


「動きますね」


エリアが円盤を少し力を込めて押してみると、円盤が簡単に傾く。


「軽いです」


「魔力で浮いているから、重さがないのよ」


アルカナが魔力の性質、浮遊の仕組みを説明する。


「こんな技術、私も初めて見るわ」


「すごいですね」


レオンが古代の技術の高さに感心して驚嘆する。


「古代の技術は、私たちの想像を超えています」


四人は円盤の大きさ、浮いている高さ、回転の様子を記録する。セレスがノートに書き込み、レオンが測定し、エリアが観察し、アルカナが魔力を感じ取る。


「これで全ての装置を調査しました」


セレスが最後のページに記録を完了させてノートを閉じる。


「合計百個」


「百個の装置」


エリアが無数の装置が整然と並ぶ空間を見回す。


「これだけの装置を、古代の人々は何に使っていたんでしょうか」


「それが分かれば」


レオンが謎を解く鍵について言う。


「この遺跡の目的が分かりますね」


「そうね」


アルカナが頷くが、表情は複雑だ。


「でも、これらの装置、私が知っている古代技術とは違うわ」


「違う?」


セレスがノートを開いて記録を確認しながら尋ねる。


「はい」


アルカナが百個の装置を一つ一つ見ながら空間を見回す。


「工房の技術、私が知っている古代技術。それらとは、明らかに異なるの」


「どう違うんですか?」


エリアが具体的に質問する。


「精密さ、複雑さ、そして」


アルカナが正確な表現を探しながら言葉を選ぶ。


「魔力の使い方が違うわ。より高度で、より洗練されている」


「では」


レオンが結論を導きながら考える。


「この遺跡は、とても高度な文明が作ったものなんでしょうか」


「そうかもしれないわ」


アルカナが確信を持って頷く。


「私が知っている時代よりも、さらに進んだ技術ね」


四人は装置群を見渡す。百個の装置、それぞれが異なる形状、異なる機能を持つ未知の技術だ。


「これらを動かせれば」


レオンが期待を込めて言う。


「何が起こるんでしょうか」


「分からないわ」


アルカナが正直に答える。


「でも、とても重要なことができるはずよ」


「次は」


エリアが次の段階を提案する。


「装置を動かす方法を探しましょうか」


「そうね」


アルカナが頷いて同意する。


「制御パネルを探しましょう」


四人は体調を確認する。頭が重く、めまいがする。魔力の影響でかなり疲れている。


「今日はここまでにしましょう」


レオンが限界が近いことを告げる。


「明日、制御パネルを探しましょう」


四人は深層部を後にして来た道を戻り、通路を進んで階段を登る。装置の外に出て扉をくぐり、第二階層を抜けて階段を登る。外に出ると新鮮な空気が肺に広がる。


工房に戻って荷物を降ろし、テーブルに向かって記録を整理する。


「百個の装置、全て記録しました」


セレスが全ページに詳細な記録が書かれたノートを広げる。


「様々な種類がありました」


「そして」


アルカナが重要な発見について言う。


「どれも私が見たことのない技術だったわ」


「それほど高度なんですね」


レオンがアルカナの知識を超える技術に驚く。


「はい」


アルカナが頷いて認める。


「この遺跡の技術は、私の理解を超えているの」


「では」


エリアが心配そうに尋ねる。


「装置を動かすのは危険でしょうか」


「分からないわ」


アルカナが予測できないことを正直に答える。


「でも、慎重に進めるしかないわね」


四人は記録を見ながら装置を種類ごとに分類し始める。


「形状で分類すると」


セレスがカテゴリーを作って書き込む。


「球体型、柱状型、板状型、網目型、その他」


「機能で分類すると」


エリアが別の観点から続ける。


「保存系、表示系、制御系、不明」


「まだほとんどが不明ですね」


レオンが分からないことだらけの状況に苦笑する。


「これから解明していきましょう」


四人は記録の整理を続け、百個の装置の情報を丁寧にまとめていく。ノートに書き込み、図を描き、分類し、考察を記して明日への準備を整える。

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