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貞操逆転世界の戦闘員  作者: 聖淫
3/13

3話

「さて……」


戦闘スーツは水を吸って少し重たくなっていた。


俺は上半身のスーツを脱ぎ、軽く絞る。


水滴がぽたぽたと地面に落ち、森の静寂に微かな音を響かせる。


しばらく、その動作を反復する。


上の戦闘スーツは、そろそろいいか。


ある程度水を絞り、俺は上の戦闘スーツを地面の上に置く。


そして、いよいよ下の戦闘スーツに手をかけるべく腰の剣を外そうとした時だった──


ピシッ


木の枝を踏んだような小さな音が背後から聞こえた。


「っ……!」


俺は素早く振り返り周囲を見渡す。


だが、そこには誰もいなかった。


風が木々を揺らすだけの、静かな森。


しかし、確かに何かがいた。


俺の視線は、音がした方向から少し左の小さな茂みで止まった。


俺は静かに剣を抜き、慎重に歩を進める。


何か得体の知れないものかもしれないな……。


そんなことを思いながら、茂みの前で立ち止まる。


ゆっくりと上から覗き込むと――


そこには、奇妙な姿勢で身を潜める少女がいた。


四つん這いになり、頭を地面に伏せ、お尻を突き出した格好。


まるで「頭隠して尻隠さず」という言葉を体現したかのような姿だ。


……なんだこれは?


俺は剣を横向きにし、軽く腰のあたりを叩いくことにした。


「ひゃう!」


ぴくり、と少女の身体が震え、ゆっくりと顔を上げる。


その瞬間、俺の視線は彼女の耳に引き寄せられた。


尖っている。


明らかに、人間のものではない。


それはまるで、ゲームやファンタジー小説に出てくるような種族。


エルフ……なのか?


俺は、つい思考した結果を頭の中で半信半疑になりながらも呟いていた。


未知の異世界で、初めて亜人という存在に出会った瞬間だった。

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