導かれし者の帰還 その19
「これはただのロングコートじゃないよ!今はなき、古代エルフ族の秘宝、アールヴのロングコートよ!」
…なんだか凄そう。
「へぇー!格好いいなー…」
「でしょ?でしょ?この艶!…魔法のダメージをも軽減させる古代エルフの秘術が施された特殊加工品さ!この世に二つとない一品物だよ!」
…スゲー!魔法ダメージを軽減してくれるのか!
「市場に出れば3万ダレルはくだらないけど、村を救ってくれた英雄だ。特別に1万ダレルで売ってあげるよ」
えっ?いきなり3分の1かよ!
…このおばさん偽物つかまそうってんじゃ!?
フフフ、だが甘い!俺には検索ってぇ技があるんだ!
早速調べてみよ、検索っと。
…フムフム。
…何!?本物じゃないかこれ!!
しかも、エルフの国では、10万はくだらないだと!
こりゃ買うっきゃない!
…だが持ち合わせが全然だ。
…がっくし!
「何々?」
奥からエリスがやって来た。
興味深そうに近づいて見てる。
「あっこれって、アールヴのロングコート。アレス残念ね…」
…そう、今持ち合わせがって!なんでエリスが知ってんだ!?
「これ、アレスには装備できないわよ?」
…えっ?
「そうなのか!?」
…なんだ、俺の懐事情知られてなかったか。ドキッとしたぜ!
「えっ?ええ、これを装備できるのは、エルフの王族か神に準ずる力を持った者だけよ」
「そうなんだ」
ちょっと驚かせたみたい、ついつい声が大きくなっちゃったかな。
うーん…神に準ずる力か。
…デュナミスってどうなんだ?
元々内にあったものだから関係ないか。
だが物は試しだ装備してみよう!
「ねぇ?一度、試着してみて良い?」
「えっ?良いけど?」
ばつの悪そうな顔してたおばさんがきょとんとしてる。
「じゃ、試しに着てみようっと」
「そうかい、まあ着てみておくれ」
途端に作り笑いを浮かべ、コートを持つと着やすいように広げてくれた。
「どうぞ」
…さすが商売人、なんてわかりやすいおばさんだ。
まあ俺も無理だとは思うが。
…あれ?エリスが目をおっきくして?
…もしかして期待されてたりして?なんだか緊張してきたなー。
袖に手を通して着てみる。
…どう…かな?
……特に違和感はない。
……これって?
着れた?着れたんだよな!?
なんだか知らんがよっしゃー!
しかし注目されると恥ずかしいな。
「…特に違和感はない…や」
「えっ?うっそー!」
驚いてる、驚いてる!
エリスのあんな顔みたら、何がなんでも欲しくなってきたぜ!
「本当かい!?そりゃーおったまげた!」
おばさんは、信じられないって顔して驚いている。
…やはり着れないと思ってたな。
「しかしそうなればゴニョゴニョ……」
ん?今なんかボソッと言わなかったか?
「そうねえ…ちょっと長いんじないかしら?」
えっ?そうか?俺はちょうど良いと思。
「そうそう!きちんと仕立て直した方が良いよ?」
別にそこまで。
「仕立て料込みで1万1500ダレルだ!」
「えっ?」
なんだってんだ!?そんな捲し立てるように喋られたら答える暇ないじゃないか!!
「どうする?どうする?」
てか高!仕立て料、ほぼ俺の全財産じゃないか!
「いやー…」
けどなー、どっちにしても今持ち合わせが…。
「ねえ?確かこのコートって、私のお父さんが、おいてったやつだよね?」
…そうなのか?
「えっ?そうだったかしら?……けっけど!貰った物をどうしようと私の勝手だよ!」
「そうだけど…仕立て料1500ダレルって、いくらなんでも高すぎるわ!せいぜい100ダレルくらいよ!」
…何!危うくぼったくられるとこだったぜ!
「そっそうなんだけど…こいつは特殊な素材で出来てるから、仕立てるにも結構コーチンがかかるのよ?」
「そうなの?てかおばさんそんな技術あったっけ?」




