転生 その1
存在することの一歩先とは
─────────────生きること
「大丈夫?ずいぶんとうなされてたみたいだけど」
うっ。
…何て嫌な夢を見たんだ。
リアルに内蔵が浮いた感じがしたんだが。
ん!?
どうやら夢では無かったらしい。
ベットから起き上がると、どこぞのお姉さんがいたのだ。
金髪ですらっとした高い鼻、パッチりとした大きな目、綺麗系の外人さんだ。
「…ここは?」
「ここはドドの村よ。それよりもう大丈夫なの?あなた村の前で倒れていたのよ」
「そうなのか?悪いが何も覚えてないんだが」
突き落とされた以外はね。
「そう…あら自己紹介がまだだったわね。私ナキって言うの」
「俺の名は、ヒ…『アレス』、礼を言うよ」
アレス?なんか頭に女神の声が聞こえたような?てか俺の名前アレスだっけ?うーん…ま、いっか。
「どういたしまして、朝食用意したんだけど、食べれる?」
「あっどうも」
起き上がりテーブルに向かうが。
しっかしなんかいつもと違う感じが…あれ?
いつの間にか服装がこの世界の薄い布の服に変わっている。
「どうぞ」
うながされるまま席につくとテーブルの上には朝食が並べられていた。
「いただきます」
キャベツと玉ねぎの野菜スープのようだな。
うーんほどよい塩加減。
…。
黙々とスープをすする音だけが響く。
「はぁー」
ナキが大きなため息をついた。
「どうかしたの?」
何か話題を振るべきだったか?
「もうずいぶんと経ったんだけど食糧を調達しに行った男共が、なかなか戻って来ないのよ。近頃この辺りの魔物も狂暴化してきてね。おかげで村の食糧は、底をつきかけてるの」
「そうなんだ、なんか悪かったな」
貴重な食糧だったんだな。
「ううん!いいのよ。困った時はお互い様よ」
なんか悪いな…よし!
「俺、食料の調達に行こうか?」
「そう?…でも村の外は危険でいっぱいよ?魔物も増えてきてるし」
「困った時はお互い様でしょ?」
なんだか助けてもらってばかりみたいだからな。
けど魔物ってどんなんだろ?…今の俺でも倒せるのか?
「フフ、そうね。助かるわ…けど大丈夫なの?…あなたランクは?」
「ランク?」
何それ?
「ギルドランクの事よ」
「ギルド?うーん名前以外のことは、何も覚えてないんだ」
面倒だからそういう事にしておこう。
「そう、記憶喪失なの?さっきから気になってたんだけど、黒髪に黒い目って珍しいわよね…もしかして東の国の出身とか?」
東の国?
「うーん、わからない」
「そうなの…わかったわ、まずはギルドに行ってみましょう。外に出る前にそこで準備した方が良いわよ」
「そーする」
ナキの家を出るとギルドへと案内してもらった。
そこは、看板にギルドと異世界の文字で記された外見が酒場ような建物だった。
初めて見た文字なのに何故だか読めた。
おそらくこれもオプションなんだろう。
…そういう事にしておこう。
ギルドの中に入ると。
「あっナキさん、おはよう」
ナキに気づいた受付のお姉さんが大きな声で挨拶してきた。
栗色の髪の綺麗系なお姉さんだ。
「おはようミューネ。こちらはアレスよ」
「アレスです。よろしく」
「こちらこそ、ミューネです」
「今日は、彼のギルド登録に来たの」
「そうでしたか。ハンターギルドへようこそ。ではまず、こちらに名前と年齢をお願いします」
手渡されたハンターギルド新規会員登録書に書きこんでいく。
えっと、アレス、年齢は…『16』と。
ん?また女神の声が、何か大きな力が働いた気が…。
書き終わった書類を手渡す。
「はい結構です。それでは職業を決めるのでこのブルーオーブに触れて下さい」
ん?何言ってんだ?
「職業?俺勇者じゃないのか?」
「……えぇっ!?何言ってるの!?」
「フフフ、おかしな人ですね」
驚くナキ、しまいにはミューネと笑いだした。俺なんか変なこと言ったかな?
「アレスは、記憶喪失みたいなの、だから一から教えた方がいいみたい」
「そうでしたか…では、このブルーオーブは、アレスさんの潜在能力を見抜き、適性する職業をいくつか示してくれる特殊なオーブです」
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