導かれし者の帰還 その16
「アレス?ちょっと手を貸してくれない?」
いつの間にか姿を消していたエリスの声が目の前に積まれた木箱の奥から聞こえる。
行ってみると部屋の奥にエリスが立っていた。
…どうしたんだろう?
彼女が床を指差した。
そこには一枚のベニヤ板が敷かれている。
ん?もしかして!
「これを退かせばいいの?」
「そそ」
二人で板を退けると大きな穴がでてきた。
「へぇー、こんなとこに穴が…」
中を覗いてみると3~4m程だろうか?下へとハシゴが繋がっている。
「先降りるわね?」
エリスがゆっくりと降りていった。
…足大丈夫かな?
続けて後を追って、降りると狭い空洞に出た。
奥は真っ暗である。
「ついてきて」
そう言うと彼女は、岩壁を杖代わりに掴まって、暗い空洞の奥へ消えていった。
彼女の背を追っていく。
「中、真っ暗だね?」
「大丈夫よ、目が慣れてくれば見えてくるわ」
「そっか」
なんとなく見える彼女の背を追いかけて狭い空洞を進んでいく。
やがてエリスが立ち止まった。
どうしたんだ?もうついたのか?
「…ここよ」
…え?
辺りを見渡してみるが何も見えない。
…何言って?
「光よ」
そうエリスが呟いた瞬間、彼女のイヤリングが青い光を放った。
光は、彼女の横顔を幻想的に写し出した。
…綺麗だ…。
その横顔は、とても美しかった。
「ほら」
…ん?
見上げる彼女の視線を追うと壁が共鳴するかのようにほのかに青白く輝きだす。
「スゲー…」
壁が暗闇を照らすと広い空洞が見えてきた。
「この空洞には、私のイヤリングと同じブルーオーブの原石が含まれているの、だから少し魔力を込めるだけで光だすの」
「へぇー!すごいなぁー、綺麗だ…不思議な石だね?」
「そうね。一般的にブルーストーンと呼ばれるこの青い石は、いろんなことを記憶する不思議な石なの」
「そうなんだ。記録する石か…」
…パソコンみたいなもんかな?
「よその国では、神の石とも呼ばれたりするらしいけど私たちの村では、賢者の石と呼んでるわ」
「へぇー、賢者の石か…」
…ブルーオーブには、そんな秘密があったのかー…。
「ええ、この辺りは、昔鉱山だった名残で、あっちこっちにこういった空洞があるの」
…ん?じゃまだどこかにお宝が眠ってたりして!
「そうなんだ。…てことは、今は採れないの?」
「うん、私が生まれる、ずーと遥か昔に廃坑になったわ」
「そっかぁー。そりゃ残念」
「フフフ、そうね」
「うー」
しかし地下食糧庫だけあって寒いなー。
「それにしても寒いね?」
「そうね。さっさと運んでしまおっか?…こっちよ」
「ああ」
エリスについてゆっくりと歩きながら、辺りを見回してみると所々にぽつぽつと食糧らしい荷物が置いてあった。
…これだけの広さなら村の食糧も収まるだろうな。
青く輝く不思議な空洞を進んでいくと大小いくつかの穴が開いていた。
「ちなみに秘密の抜け穴って、あれよ」
「へー」
エリスの指す方に大きな穴が開いてある。
…なるほど!そういうことだったのか…けど奥は、暗くて見えないや。
…他はどこに繋がってるんだろうか?まあ一度みただけじゃ覚えきれないか。
「こっちこっち」
やがて大きな柱の近くに呼ばれると彼女の指した足下には、小さな体のわりに大きく鋭い角の生えた一角小鹿とその隣には、大きな袋が置いてあった。
「これ運んでもらえるかしら?」
「はーい…」
…あれ?
大き袋を持とうとしたが持ち上がらない!
「……くっ!」
かなり力をいれて持ち上げ、なんとか担いだ。
…おも!米1俵くいあるんじゃないか?よくこんなの担いでこれたな?エリス。
「大丈夫?」
「ん?ああ、これくらい平気だよ」




