導かれし者の帰還 その14
食事を終えたエリスが食器を運んでいった。
…俺も早く食べないとな、モグモグ。それにしても固いなーこのパン。
気がつけばまだ食べ終わってないのは、俺と村長だけになっていた。
パンの残りを口の中に押し込み、よーく噛んでからスープで押し流す。
…ふー。食った食った。
やがて食べ終わった頃を見計らってかエリスがやって来た。
…こんなに綺麗な人が近づいてくると緊張するな。
「私、これ片付けたら行くから、先に解体屋へ行っててくれる?」
「ああ、わかった」
…フー、俺の食器を片付けに来てくれたのか。
…よし!先に解体屋へ行こう。
立ち上がると荷物をまとめ、担ぎ上げて外へ出た。
「えーっと、隣か…」
…隣、隣…ここかな?
隣の建物に近づき、見上げると看板には、鑑定所&解体屋と書かれている。
…ここだな。へぇー、鑑定もしてくれるのか、便利だな。
看板を確認し中に入ろうと近づく、すると物凄い勢いで扉が開かれた!
「わっ!!」
…ビックリした!
「あぁぁぁ!!!」
…なんだ?なんだ?なんだ?ヤバイ!!
突然、太ったおばちゃんがかん高い奇声をあげながら、両手に掴んだ出刃包丁を突き出し、突進するように襲い掛かってきたのだ!!
「わぁー!」
とっさに横に避け、なんとかかわせた!
「おっとっと」
だか慌てて避けたのと荷物の重さのせいで足がもつれ、倒れ転んでしまった。
…死ぬかと思った!なんなんだよいったい!?
「くたばれ!!」
起き上がろうとすると突進されそのまま押し倒された!
「うわ!」
…重!痛ってぇな…つうかキモ!なんつう顔してんだ!
勢いそのまま上に乗りかかられる!
…くっどけろ…ヤバ!!マウントをとられた!動けねぇ!!
「こんのぅ盗賊がぁ!!」
…盗賊??って、ヤベ!
包丁振り上げた!
「待て待て待て!!」
…人違いだ!
「命乞いしても無駄だよ!」
「違う!違うんだってぇー!!」
だが無情にも包丁は、降り下ろされた!
俺は、反射的に目をつむり、顔を背ける。
「おばさん待って!!」
すると!同時にエリスの声が!!
「えっ?」
おばさんの拍子抜けした声の直後、地面に包丁が突き刺さった音が耳元に響く、
その音にビクッと体が跳ね上がった!
…ビビったー!
…助かった?助かったんだよな!?
目を開けてみると目と鼻の先に鋭利な刃物が刺さっていた。
…危な!!
思わず顔だけ後退る。
「その人は盗賊じゃないわ!!」
ああ、エリスが棒をつきながらゆっくりと近づいて来る。
「エ、エリスかい?何言ってんだいこいつは……えっ?そうなのかい?」
「ええ、それどころか盗賊を追っ払ってくれた村の恩人よ!」
…そうだよったく、とんだ勘違いおばさんだぜ。
てか重!早くそこをどけ!
「そうなの!?…ハハハ…ハァハァハァハァ!私、てっきり盗賊かと…」
笑ってごまかせるか!…まあいい、わかったならさっさとそこをどけ!
おめーんだ!
「そうよ、もう、おばさんったら」
「ハハハ、ごめんなさいね?」
…うっ肺がつぶれそうだ…。いい加減どいてくれ!
…くっ…だがエリスの手前、ここは紳士的に対応せねば。
「あの?まずは退いてもらえますか?」
さっさと退きやがれ!!
「あらごめんなさい、重かったでしょう?」
重かったなんてもんじゃない。窒息死寸前だ!
「アレス?大丈夫?」
「ああ、なんとか、いやーそれにしても驚いたよ!ハハハ」
気丈に笑いながら、立ち上がって、土を払った。
…助かったー。いろんな意味で。
「もう、早く言ってくれたらいいのに」
…はぁ!?何言ってんだこのおばさん!
「そんな余裕はありませんでしたよ?」
「そう?悪かったね」
…こんのう!人がオブラートに包んで接してやれば!…ここは、はっきり言うしかない!




