導かれし者の帰還 その10
「お腹ペコペコだぜ!」
「ユーリ、その前に後片付けが先ね?」
「うー、腹へったぁー…」
…そうだった。酒場めちゃくちゃにされたんだっけな。
「フフフ、夜は、アレスの背負ってるウサギを使って、細やかなウサギ鍋パーティーでもしましょうか?」
「さんせーい!」
それを聞いて急に元気に走り出すユーリにテテとどこからか飛び出してきたティアが合流し、3人仲良く並んでギルドへと駆け抜けて行った。
「フフフ、私達も行きましょうか?」
「ああ」
…よし、ギルドへ行こうか。
「エリス」
ナキがエリスに声をかけ、肩をかしながらゆっくりと歩き出す。
俺は、先にミューネ達とギルドへ行った──。
やがてギルドに着いた。
だがその光景に愕然としてしまった。
扉の脇には、首を傾け、座り込むようにウビが倒れたままなのだ。
…そうだった。
…俺が殺したんだよな。
それは生気の感じられない肉体だけの存在がそこにあった。
…まるで人形みたいだ。
…俺が…人、殺してしまった?…のか。
言い様のない感情に体が震えだしてきた。
「アレス…」
…ミューネが心配そうに声をかけてきた。
「…俺、俺が?」
「…アレス?もしかして、人を殺したのは、初めてですか?」
「…ああ…」
「…そう」
そっと背中をさすってくれた。
「…酷かもしれませんが、ギルドの依頼には、こういったものもあります。だから今は無理でも、慣れないと体が持たないですよ?」
「……そう……か…」
…こんなの慣れるわけねぇ…え…ん!?
「わっ!!!」
ビックリしたー!!
突然ウビが無言で立ち上がったのだ!
…なっなんだ!?死んだんじゃ無かったのか!?
じーっとこっちを見つめてくる。
…なんなんだよ!?一体何が起こったんだ!?
…その目は、何か言いたい事でもあるのか??
「うわーっ!!」
「わっ!」
ビックリした!!
突然大声で叫けびやがって!
…や、やるのか!?
「…ひーっ!…たっ助けてくれー!!」
えっ??
逃げるように門の方へと駆け抜けて行った。
…行ったみたいだ。
…ビビったぜー!!
…なんなんだよ一体!?死んでなかったのか!ったくややこしい倒れ方しやがって!!
「フゥー」
…けど殺してなくて良かったな。
「いっいっちゃいましたね?」
「ん?ああ、そうだね」
「ビックリしましたー!生きてたんですね!?……あっ!…あのぅ?…さっきは、ああ言いましたけど、アレスが殺してなくて、良かったです」
「ああ、ホントに良かった」
「フフフ」
なんか安心してミューネと目が合ったら、自然と笑い合っていた。
「さあ片付けましょうか」
「そうだね」
ミューネがギルドの中へ入って行った。
ギルドに入る前に何気なく周囲を見渡してみると。
「あっ!」
ウビが倒れてた辺りに小さな袋が落ちている。
「なんだろう?」
拾って開けてみると中には、白銅貨や銅板が何枚か入ってる。
…へぇー、これがこの世界のお金か、ラッキー♪
…でもどれがどれくらいの価値があるんだろうか?…後で店に行って確かめるか。
早速自分の袋の中へ移しかえた。
【アレスは1000ダレル手に入れた】
顔を上げてみると。
…ん?あそこには、何やら光るものが?
柵の上にナイフが刺さっている。
…これはウビの!
…よっしゃ!もーらいっと。
【アレスは鉄のナイフを手に入れた】
…やっと武器らしいもの手に入れたな。よーし!これで棒切れから卒業だぜ!
早速装備しようと持って構えてみるが…。
…うーん、なんかしっくりとこない。
ブブー!
【アレスは鉄のナイフを装備できない!】
…えっ?そうなのか!!ショック!てかなんだよブブー!って効果音!
「ハァー」
…仕方ない後で売り払おう──。
それから荷物をギルドの中へと運んでまとめて隅に下ろし、先に着いたミューネや子供達と一緒に部屋を片付け始めた。
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