導かれし者の帰還 その5
「このくそガキがぁぁぁ!!」
「ったく、気にくわねガギだぜ」
怒りを露に近づく熊男と顔をひきつりながら近付いてくるジョー、しかし不思議と心は、落ち着いていた。
「ちょっと待て、ここじゃ迷惑だ!ヤルなら表へ出ろ」
と余裕をかまし、出口を指差す。
…くぅー、一度言ってみたかったぜこんな台詞!
そして後は、一瞥も与えずゆっくりと出口へと歩いて行く。
その間後ろを警戒しながらも、この胸の温もり、不思議な力の源デュナミスを右手に移しながら歩いた。
…それにこんな所で光の波動を使ったらギルドの中めちゃくちゃになるしな。
ああ、腕が暖けー…。
「このガキャー!ぶっ殺してやる!!」
そう言って、のそのそとついてくる熊男の大きく床を軋ませる足音とその他複数の足音達。
よし!ついて来てる、ついて来てる。
なんだか胸がドキドキしてきた。
…ビビってるのか?
いやこの胸の高鳴りは!
フッ、このまま外へ出て、こいつらまとめて町の外へ吹っ飛ばしてしまえば楽勝だぜ!
その後は門を閉めて、村の男らが来ればなんとかなるだろう。
出口のスイングドアに手を置きゆっくりと開ける。
…どうやらユーリはどこかへ隠れたみたいだな。
ヤベー!これから命懸けの戦いが始まるってのにワクワクしてくる!
数歩歩くとある玄関の階段を降りていく。
…やってやる、やってやるぜ!
【盗賊ウビが襲ってきた!】
え?
突然、無機質な女の声が!!
…ウビ?
振り返ろうとすると、
バーン!
スイングドアが開いた激しい音に振り返る。
「このヤロー!俺に恥かかせやがっつぇ!!」
ウビだ!
ウビが、襲い掛かってきた!!
振り上げられた手には、ナイフが!
「ウリャアァァーー!!」
…ヤベッ!殺される!!!
そう思ったと同時にナイフが降り下ろされた!!
とっさに避けようと階段を蹴り、
光の波動!!
心の中でそう叫びながら、右手を突きだし叫んだ!!
「ハァーーーーーッ!!」
解放された光の粒子が輝いた瞬間!!
ブウォォーン!!
四方へと飛散した無数の光の粒子がウビを吹っ飛ばした!!
「うおぉー!」
ガァン!!
ほとんど同時に大きな鈍い音が聞こえた。
しかし突然の出来事に無我夢中に後ろへ跳んでいた俺は、その勢いで倒れそうになったがなんとか踏ん張って、地面に左手が軽くつく程度で着地した。
「ハァー、ハァー、フー…」
大きく深呼吸する。
…ヤバかった。
…殺されかと思った。
突きだしたままの右手には、心地よい温もり、余韻が残っている。
「おい!ウビ!」
スイングドアの開く音と同時にジョーの叫び声が!
「どうした?ジョー?ウビの奴、急に飛び出しやがったと思え…」
【アレスの攻撃、アレスは光の波動を放った。盗賊ウビは吹っ飛んで…】
…いったい…何があったんだ!?
階段を登ると、
盗賊達の視線の先にウビが倒れていた。
大きく目を見開いたまま頭から血をたらし、
「オイ!ウビィ!!」
レックスの大きなダミ声の叫び声にも、
…ビクとも動かない。
…もしかして死んだとか?
【なんと壁に頭を強打した!!盗賊ウビに271のダメージ!盗賊ウビを倒した。アレスは、42の経験値を得た】
えっ?
…まさか?
…死んだ、のか?
「クソったれ!!」
ジョーが叫びこっちを睨む。
…まさか?
…俺が殺した?
…いや、まさか!
「テメー!よくもウビを殺りやがったなぁ!!」
レックスが鞘に手をかけ、襲い掛かろうと身構える。
…そんな!殺すつもりなんてなかった。
…ただ町の外に吹っ飛ばそうとしただけだ!
「…待て!レックス」
…正当防衛だよ!
「なんだ?ジョー」
カラーンカラーンカラーン♪
「…さっきあいつの腕、光ってた…」
今、鐘の音が?
「だからなんだってんだ!?」
レベルが上がったってことか…。
「あんな魔法見たことない、…こいつただの魔法使いか?…それとも、なんかもっとヤバイ奴、とか?」
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