導かれし者の帰還 その1
この世の
どんなすばらしい気持ちよりも
たったひとつの
ちょっとした行動のほうが重要だ。
しかしドド村の門は閉まっていた。
なぜ?用心の為か?
「おーい!誰か?居ないかぁ!?」
…。
コソコソ、ガヤガヤ。
ん?
どこぞの子供の声がする。
「誰か来たぞ!?」
「なんの用だ!」
なんなんだいったい?
よし!
「村長から依頼された獲物を持って来た。名をアレスと言う。開けてはくれないか?」
なんだか様になってきたな。
「アレスー?」
「ナキ姉が言ってた人だよ!」
「開けよ、開けよ」
ギー、ゴゴゴゴゴー。
おっ空いた!これだけの門だからスゲー音だな。
…ん?
開いた門の隙間から3人の子供達が顔を出して、こっちを覗いている。
「アレスさんですか?」
「ああ、そうだよ」
利口そうな子だな。
「お兄ちゃん大変だ!」
「どうした?何かあったのかい?」
この面構え、なかなかのいたずらっ子とみた。
「ナキ姉!ナキ姉が!」
うーん、あと十年もすれば立派なレディーだ。
ん?
ナキ姉?ナキだとー!!
「ナキがぁ!…どうしたんだい?」
いかん!かりそめでも俺は、勇者なんだ。それらしく振る舞わらないと。
「嫌なおっちゃん達がギルドで暴れているんだ!」
嫌なおっちゃん達?
なんだそりゃ!
「どんな奴らだい?ギルドに向かいながら話そうか」
「うん!」
ギルドに向かって歩き出す。
それにしても嫌な予感がするな…。
まずはギルドに行ってみないと。
「さっき、ガラの悪そうなヤツラがやって来て、暴れまわって…」
こいつは…。
「ヒドイ…」
確かに利口そうな少年Aの言う通り、所々に物が破壊され、散乱している。
「そーなの!怖かったぁー」
「へっ、俺はへっちゃらだぜ!ティアは怖がりだからな」
「違うもん、ユーリがアイツらに向かって飛び出して行くから、あたし、怖くて…」
女の子はティア、いたずらっ子はユーリか。
「そーそー、ユーリがアイツらに捕まって危ないところを、ナキ姉が、お酒でもって、ギルドの酒場へと」
「違うぜテテ!ぜーぜん危なくなんてなかったぜ…そっ、それにとーちゃんが居ない時、村を守るのは、俺の仕事だからあんなの余裕だぜ」
「そう?全然そんな風に見えなかったけど」
「うっ…」
「フフフ、テテの言う通りよ!」
「あっそれでですね、ナキ姉が酒場に誘導している隙に、これ以上ヤツラの仲間が入って来れないよう門を閉めるように言われて、門を閉めたんです。それとアレスと言う人が来たら、助けを求めるように言われてたんで、門で待っていたんです」
そーなのか、ふむ…テテと呼ばれたこの利口そうな子の説明で、俺がいない間に何が起きてたのか分かってきたな。
「そうか、君達、良くやったね。後は、お兄さんに任せなさい……それにしてもいったい何者だろうか?」
「あいつらきっと、最近この辺りで悪さしている、盗賊ですよ」
最後は独り言のように呟いたつもりだったが、さすが俺のにらんだ通り、利口そうな少年A、いやテテと呼ばれた少年が空かさず答えた。
「盗賊?そんな物騒な連中がいるのか…」
まぁこう言う世界だから居ても可笑しくないか。
「それ知ってる!あたしもお母さんから聞いた。最近はどこも食べ物がないから、盗賊が増えてるって」
「そうか…」
どこも食料不足なんだな…。
それにしても相手は何人だろか?
…ウサギ一匹相手に瀕死になった俺に、どーにか出来る相手なのか??
…おっ!
ギルドが近づいてきたな。
「君達、後はお兄さんがなんとかするから、そこに隠れてなさい」
ギルドの建物の死角を指差す。
巻き込んだら危険だしな。それに相手によっちゃ…逃げるが勝ちってね。
だから別行動にした方がイイな。
「えー、ヤダよ!これからアイツらやっつけに行くんだろう?面白そうじゃん、見に行く!」
「あたしも!お兄さんがいれば大丈夫でしょ?
全然大丈夫じゃありません!!
「でも、危ないから下がってた方が…」
良く言った!お利口さんのテテよ。




