可能態 その6
「私利私欲の限りをつくしてきた大魔導師が老いると死を恐れ、死を超越する魔法を作り出そうとしたのじゃ!その結果、この世の摂理を越えた魔法は暴走し、死そのものとなって大魔導師へ襲いかかった!命からがら逃れ、逃げ伸びた大魔導師だったが、死の魔法は、どこまでも追い続けてきた。年老いた魔法使いは、死の魔法から逃げるように世界中を旅し、解決法を探したが、その術は見つからず、ついには力を使い果たした……」
……終わりかよ!
どーゆうことだ?
俺に諦めろってことなのか!?
「フォフォフォ、まさしく今のお前さんのように、絶望し疲れ果てた老人は、最後に最果ての島と呼ばれる辺境へとたどり着いた。力を無くしたただの老いぼれは、そこで暮らす純然な人々に触れ、気づかされたのじゃ…死とは終わりではなく、自然へ帰り糧となって、新たな生命を生む、始まりであると!…そして死と向かい合い、死の魔法をも受け入れた一人の老いぼれは、やがて大賢者と呼ばれるようになったのじゃ」
そうか…壮大な、すげえ深い話だな。
…えーっと…死と向かい合い、死を受け入れるか。
つまり自分の闇と向かい合い、受け入れろって事なのか?
「そうじゃ」
そんな!無理だよ!ここにいるだけで嫌なのに!
…そんな事、考えるだけで恐ろしい。
「そうではない、闇を内に抱え込むのとは違う。…うーむ、ところでお主が思う、勇者とはなんじゃ?」
勇者!?また何言って…イヤ何か意味があるのか?
…うーん…勇者って言えば、強くて、正義感があって、
…イヤ、今関係ありそうな事と言えば…勇者…勇者、
そうか!字の如く勇気ある者!
…つまり勇気を出して乗りきれって事なのか?
「違うのう、お主の言う通り勇者とは、他人が見れば、勇気ある者、また勇気を与える程の、大いなる力をもった存在かもしれん、じゃがここで一番肝心な事は、真の勇者とは、人が見てそう感じさせる程の行動が取れる、'覚悟'を持った者の事じゃ」
覚悟…。
「そうじゃ、勇気をもてと言われてもピンとこんかもしれん、なら覚悟を決めろ!腹をくくるんじゃ!」
覚悟を決める!腹をくくる!
「そうじゃ!」
けど…恐い…嫌だ、いや…覚悟を、覚悟を決めるんだ!
闇を、己の闇を越える覚悟を!!
「そうじゃ!その意気じゃ!そして思い出せお主が何に導かれてここに来たかを」
何に?…何って、
………そう…いえば、
…何か暖かな光が、
……光…光!!
「そうじゃ!思い出せー!感じるのじゃー!!己の闇を晴らす内なる力を…」
感じる?
…光を、
…あの暖かい、
…ヒ…カ…リ…を。
…なんだ?
…何か、何か見える。
…光だ!わずかな光が見える!
…光!!
「フォーッフォッフォ、あれが、お主の出した、可能態じゃよ」
声の聞こえた方を振り返る。
そこには真っ白な、長い髪の毛も、長い髭も、肌も服装も真っ白な老人が立っていた。
「あなたはいったい?」
「フォフォフォ、言ったじゃろ?ただのしがないじいさんじゃよ、ちいーとお節介な、話し好きのな。…さあ行きなさいアレス、しばしのお別れじゃ」
光が大きくなり、眩しくて目をつむると、全身が温かい温もりに包まれていく…。
「よいかアレスよ、まずは己を超えよ…己の闇に打ち勝つんじゃ…さすればその小さな灯火は、やがて深い闇をも照らす、希望の光となろう…」
…。
……。
………。
…うーん。
…夢?
なんか不思議な夢を見ていたな。
起き上がって体を伸ばす。
「あー、痛ててて!」
身体中が悲鳴をあげた。
「しかしなんとも不思議な夢だった」
【アレスのエネルゲイア~あらゆるものを浄化させる光~が覚醒した!光の波動を覚えた。少し休息した為、DPが全快した】
「…本当に夢だったのだろうか?…これが女神が言ってた…俺の力、俺の花」
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