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異世界転生勇者物語  作者: 照師
可能態
10/40

可能態 その5

はっ!?もしかして、さっきの鐘の音って、レベルが上がったって音だったのか!?

ったく、ややこしい音たてやがって!

女神の奴め…可愛い顔してぇー。


…チキショー!

ダメだ!俺に女神を憎む事なんて出来ない。


【アレスは、それぞれHPが20、DPが10、攻撃力が2、防御力が3、素早さが2上がった】


おっ!なんやら色々上がったみたいだが……苦しくてそれどころじゃない。


…そーいやあのチャペルの鐘の音を聞いたら、職場の嫌みな先輩Tの事思い出すな…。


散々嫁の自慢した後、結婚式の時に鳴るチャペルの鐘の音って、祝福してる音じゃなくて、実はあの音、これから夫婦同士の開戦を知らせるゴングの音なんだとか。

そんな事知るか!しかし俺もいつかは誰かと…いやそれ以前に彼女が先だよな…。


ちぇ、俺にとって、チャペルの鐘の音は、レベルアップして、この先、新たなる強者とのリアルな戦いが始まるゴングってか!!


……そんなこんなでくだらん事考えてたら、だんだんと息が楽になってきた。


…ん?

なんだか胸が暖かくなってきたなー。


「うっ!…よいしょっと」


痛みをこらえて、起き上がると胸から光り輝くものが飛び出てきた。


「なんだこれは?」


綺麗だなー。

突然出てきた光が、目の前に浮いている。

けどなんだろう?怖くはなかった。

それどころか何故かこの光に惹かれていく。

そっと手を伸ばし、触れてみる。


…心地好い温もりが伝わってくる。

しかし特に何も起こらなかった。


…なんだろう?この光は?

なんとなく手のひらに乗せてみると手のひら全体に心地好い温もりが伝わってくる。


すると光は、吸い込まれるように手のひらに入っていった!

手の温もりが全身へと駆け巡っていく!


「ああー」


温かい…───。




…。


……。


………ここは?

気がつくと真っ暗な空間の中にいた。

どこだ??


…ダメだ!

何も見えない!なんだよこれぇー!


!!


そんな!声すら出ないなんて!

どうなってんだ!?


……?


イヤ!違う!声が出ないんじゃない、何も聞こえないんだ!!

自分の吐く息も…心臓の鼓動すら聞こえない!!


…もしかして俺、死んだとか!?


…死……!


そんな!

怖い…怖いよー…。

なんなんだよいったい!ここはどこだ?訳わかんねぇ!


…何も見えない。


…何も聞こえない。


…怖い…言い様のない恐怖に支配されていく…。


…。


……。


………。


「フォフォフォフォ」


突然男のしゃがれた笑い声が聞こえた!

誰だ!?

ダメだ!叫んだつもりが声が出ない!


「怖いのか?怖かろう…ここは、どこでもない、お主自信、お主の心の中じゃ」


はっ!?心の中?何言ってんだ!!てか誰だ?どこにいるんだ??


「わしか?わしの事などどうでもよい、ただのしがないじいさんじゃ。それよりも、ここはお主の心の中にある闇そのものなんじゃ」


俺の考えてることわかるのか!心の闇?何言って!


「フォフォフォッフォ。ずいぶんと恐れているのう?まぁ当然か、ここはお主の闇、恐怖そのものじゃからな。さてさてここから出たいのう?」


恐怖そのものって…確かにここにいると気がおかしくなりそうだ!早くこんなとこ出たい!どうやったら出れんだ!?


「…それはな?」


それは??


「お主の力でこの闇を打ち払う事じゃ!」


はっ?

だからどうやって!?


「どれ、ここで一つ昔話でもしようか」


昔話?なんでだ??


「むかーし、ある所に一人の才能豊な魔法使いの見習いの少年がおった」


始まったよ…。

けど何か意味ありげだな。抜け出す為のヒントでも含まれているのか?


「少年は、偉大な魔法使いになるべく賢明な魔法使いの元で修行に励んだ。やがて師を越え、さらなる秘術を求め修行の旅に出た青年は、世界中の偉大な魔法使い達の元で学び、彼らをも越える力を持つと、大魔導師とまで呼ばれようになり、栄華を誇った。しかしじゃ…」


やはり何か重要なヒントが隠されていそうだ!

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