表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

恋と愛の本棚

独占欲の強い彼と夏祭りに行くのは一苦労です。



 ─ピーンポーン…



「おわ!夏海かな?来るのはっや!ごめんお母さん、代わりに出てて~」


 今日は夏祭りの日。


 彼氏の夏海なつみと一緒に夏祭りに行く為に、久しぶりの浴衣に苦戦しながら、どうにかこうにか着ることができた。

 髪をお団子に束ね、メイクもして、最後に姿見で確認すると。


「よしっ!」


 私は急いで玄関の方に行った。

 玄関では、夏海と私のお母さんが談笑していた。


「ごめん、夏海!浴衣着るのに手間取っちゃって…」

「こんばんは、あか…り」


 お母さんと何か笑いながら話していた夏海は、私が来ると目を大きく見開かせながら、私のことを見つめた。


あかり、はしゃぎすぎて夏海君にあまり迷惑かけちゃダメよ」

「わかってるよ。行ってきまーす」


 そうお母さんに言って、家を出た。




「…ねえ、何か怒ってる?」

「…別に」


 夏祭りに向かう途中。手を繋ぎながら隣を歩く彼の様子がおかしい。おかしいというか、何か不機嫌というか…


「浴衣…もしかしてダメだった?」

「ダメ…じゃないよ。めちゃくちゃ可愛いよ。でも…」

「でも?」


 だんだん、周りが騒がしくなってくる。みんな、お祭りに向かっている人たちだろう、浴衣を着た人たちがちらほらいた。

 すると。


「きゃっ!ちょ、夏海!?」


 ぐいっ!と、急に夏海に腕を引っ張られ、人気の無い薄暗い路地裏に連れてこられた。


「…どうしたの?なつ…」


 怒ってるような悲しいような…何とも言えない表情かおで私を見つめたと思ったら、ぎゅっ…と、夏海は私の体を抱き寄せた。


「…嫌だ、祭りに行きたくない」

「え?何で?昨日あんなに楽しみにしてたのに。急にどうしたの?」

「…浴衣姿の灯がいつにも増してめちゃくちゃ可愛いからさ。同級のヤツとか…てか、誰にも見せたくない」


 そう言って、夏海はぎゅっと、私の体をもっと抱き寄せた。優しく…けれども強く。


「なぁに?私が浮気するとでも?」

「そうじゃなくて、可愛い灯を独り占めしたいんだよ」

「…2人きりで行くんだから、これはもう充分に独り占めって言うんじゃないかな?」

「でも…」

「も~…これじゃあお祭り行けないじゃん」


 ため息をつきながら、抱き締める夏海を体から引き剥がし。



 ──────…



「んっ…」


 夏海の頬を両手で触れながら…夏海にキスした。触れるように…深く、奪うように。


「…灯」

「…じゃあ、祭りの間、私のこと…ずっと見てて。こんな風に…」


 夏海の瞳をじっ…と見つめ、私はまた夏海にキスした。




 人気の無い路地。


 私は夏海を独り占めする…


 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] きゃーーー!!(*/ω\*) その展開は予想外です!かっこいい……! キャラクターが魅力的で引き込まれました!! 独占!ありがとうございました!!
[良い点] うわああーーーにやにやします! すんごくニヤニヤします(2回言った) 彼氏さんが独り占めするつもりが、逆転する展開が最高でした。 読ませていただき、ありがとうございました!
[良い点] 『キス♡』が、テーマなのですね♡♪ オムニバスで、何遍かの構成で、 ラストにダダーン!!と、持って来るのも良いかも知れませんね♡♪ 『口づけで繋がる1秒後の君へ。』みたいな? 恋愛青春♡♪…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ