第六話 GPSと飴からの能力
「新種のウイルスだと? しかもナノマシンによる非無線式?」
「ああ。例えるならば、他人の携帯機器そのものを手にとって、イジってくる。そんな感じだ」
なるほど。つまり、今までのコンピューターウイルスというのは、電波によって間接的に相手の情報を操作する。
しかし、新しく出たものは電波以前の問題。コンピューターの機器内部がナノマシンによって操作されているんだ。
「情報センターを防衛が出来なかったのは触れた瞬間に、ナノマシンに感染したってことか」
「そういうこと。一応、感染しにくいやつもあったみたいだ」
かなり危ない状況だ。警察も余裕なさそうだ。情報センターは占拠され、防衛アンドロイドは使い物にならない。
ん?情報センターが占拠されてるってことは、俺達は電波が使えないんじゃないか?
それを告げると幸は、他の地区の情報センターの力を借りていると言った。しかし、そこも時間の問題だとも。キナ臭い話になってきたな。
「なあ、蒼汰に頼みがあるんだ。この地区の情報センターを先に取り戻して欲しい!」
「はぁ?!アンドロイドがはびこってるところに行けるか!」
俺はアンドロイドが、じんま疹ができるほどに嫌いだ。たまにキッチンに住む、黒光りする生き物のように無理。あんなのと関わりたくねぇし、今回は命だって危険なんだ。そこまでする余裕はねえ。それに何でルナ姉を後にしなければならないんだ。
「頼む!お前が本気を出せばいけるだろ」
「断る!それに行くとしてもルナ姉の安全が先だ」
「ダメだ!」
「何でだよ!」
「……」
理由を聞くと突然、黙ってしまった。意味がわからない。そっちから止めておいて何も言わなくなるなんて。
「取り敢えず、これを渡しておく。機工力、使うのに必要だろ?」
幸は眉間にシワを寄せながらポケットに手を入れる。そこから出たのは棒付き飴だった。
「ああ。貰っとく」
俺は機工力を使うには甘いものを口にする必要がある。だから渡してきたのだろう。
そんな、情緒不安定なやり取りをしていると、画面に赤い矢印が浮かび上がってくる。GPSが反応した。しかし、それはすぐに消えてしまう。位置情報はここから少し遠いところだったか。
「おい……今反応したよな」
「してたな……」
しかも動いていた。ある程度の速度でだ。このGPSアプリは、そのときどれくらいの速度で移動していたかも記録される。車に乗っているかどうかなど判断するためのものだろう。画面の端に書かれていた数値を見たところ、時速約12kmだった。30秒で100m進む速さだ。普通に歩いていたらそんな数値が出るわけがないことがわかる。
走っているんだ。しかもこの速度は人が走れる範囲内だ。車やチャリを使うならもっと早くしていているはずだ。こんな時に呑気に流して運転する人もいないだろうし。
だとすると……アンドロイドから逃げていると想像できる。
俺は反射的に飴の包装を剥がし、舐める。そして、屋上のバリケードを飛び越えて気圧を操り、滑空する。屋上から何か叫んでいるが聞こえない。そのまま無視をして、さっきのとは別の校門の前にに降り立つ。『ここから出てはダメだ』と静止を振り切り、敷地からでた。
感覚が研ぎ澄まされていく。超集中状態に入っているのだろう。それはフローという集中状態よりもさらに上の状態。オリンピック選手が持っていることが多いのだとか。
この状態になったおかげか音に敏感になる。それがどこから聞こえてくるのか。何の音なのかが手にとるようにわかる。十数体ぐらいはいるようだ。
アンドロイドの動きはゆっくりだ。標的がいないからだろう。だからなかなか、ここから離れてくれない。壊してしまうしかないか。
「しかし、アンドロイドを家族にしている人もいるんだよな」
子供やら愛人やらとアンドロイドを家に置く人もいる。そのアンドロイドは目がカメラのようになっていたり、金属音が聞こえること以外は人と変わらない。
だから無闇に壊そうとすれば、その人達は消えない傷をつけることにもなる。非常にやりづらい。アンドロイド事体には傷つこうがどうとも思わないが、人にも影響を受けるなら別だ。
仕方ない。仕事用に造られたと考えられるアンドロイドだけを壊して、逃げるしかないか。
そう方針を練っていると、例のジッジジーという音がどっかのスピーカーから響いてきた。そして、アンドロイド達の足音がこちらに向かってきた。
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